『サバト鍋』。竜には竜の、不死には不死の夢がある。
『サバト鍋』の攻略完了。……一つ忘れているような気もするが、まぁいいだろう。横シューとか苦手なんだ。まず、『戒厳聖都』。RPG部分の出来は、物語を盛り上げる要素として充分。変則ジャンケンの剣道バトルは難易度高いが、レベルさえしっかり上げれば誰でもクリア出来るだろう。文章に独特の癖があり、奇妙な三人称個人視点で物語が進む。とてもじゃないがエロゲやってる気分にはなれない。しかし、硬派でありながら淡々とした調子で意表を衝いたギャグを飛ばしたりと、決して単調で血生臭いだけではなく、しっかりと読ませる文章だと思う。この様式、俺はすっごい好き。出来れば、いずれ同ライターが手掛けた前作『刃鳴散らす』にも手を付けたい。つまりは前作を知らない俺でも楽しめたわけだが、正直少し後悔しているというか…。登場人物の因縁など、劇中の描写だけでもなんとなく雰囲気は掴めたとは言え、しっかりと理解していた方がずっとずっと盛り上がることが出来ただろうな…。その辺、遊ぶ順番が前後してしまったのが無念だ。勿論、全部俺が悪い。あと、やっぱりラストバトルで主題歌ってのは王道にして最強の演出だな…。有体に言って、燃えた。思わず最終戦だけ何度もやり直してしまうくらいだ。次、『竜†恋』。アッパー系青春ドラゴンもの恋愛ADV。作品内容が何一つ伝わってこない意味不明なジャンル名だが、クリアした今なら確かに納得できる。全ては竜が望んだ筋書き。全ては夢(ロマン)が為せる業だ。特徴としては、固有名詞が完全に排除されている。ヒロインは一人称「己(おれ)」で乙女チックに街を破壊するトカゲ少女。強烈だ。キャラデザは『ToLOVEる』のララに少し似ている。彼女がエロゲヒロインとして非常に魅力的なキャラクターであることに疑いの持ちようが無い。声が無いのが惜しい。尺が無いのが惜しい。例えばこのゲームが、彼女と主人公が延々とイチャイチャするだけの下らない作品だったとして、それでも俺は満足したに違いない。で、物語の主題としては思ったことはもう全部書いてあるので言うことも無い。悪いドラゴンを倒して、お姫様とハッピーエンド。たまには、そんな童話のようなコテコテな結末も悪くない。それもロマンだ。ただ、お姫様を救い出す英雄殿の口癖が「死ね」。必殺技が「クロスカウンター」だというのは何とも締まらないもんだ。しかし、それはそれでいい。「正しくある」ことが、必ずしも読み手に夢を与えるとは限らないから。締まらないからこそ、夢に溢れた結末というのもある。…こんな感じか。ものすげー軽い気持ちで買ったゲームだけど、思った以上に楽しめた。安かったし。大作ばっか遊んでいたけど、たまにはこういう短いのも良いものだな…。