可憐な水男
セーラーの箱と似てるように思うのは私だけ?その逆で、セーラーの方が似ているのか?香港のセントラルにある「華佑金筆行」で、以前、ご紹介した「モンブラン 251」と一緒に買ったのですが、暫く放置していました。・華佑金筆行(Winner Pens Collection)Man Yee Arcade, Shop 110, 68 Des Voeux Road, Central ウォーターマンの万年筆、「カレン」です。色は、2009年に廃盤になった「ガーネット・レッド」だと思います。赤系では、現行品には「グロッシーレッド」がありますが、それと比較すると、暗めの赤で地味な印象の色です。正直「ガーネット・レッド」が私に似合うとも思えないのですが、現品限りHK$795(約9,278円)の特価だったので、即、確保しました。良く考えると、ウォータマンの万年筆って初めて買いましたね。本社倒産の影響で、現在は、フランスに拠点を置くフランスメーカーとなっていますが、1883年にアメリカ創業した老舗。創業者のルイス・エドソン・ウォーターマンは、現在の万年筆に使われているペン芯の原型を発明者でもあり、現在の万年筆の生みの親とも言うべき人ですが、なぜか、ウォータマンの万年筆を手に入れる機会がありませんでした。保険外交員だったルイス・エドソン・ウォータマンが、大口の契約の場で、新品の万年筆から漏れたインクで契約書を汚してしまい、契約書を作り直している間にライバルに出し抜かれた経験が、良い万年筆を開発しようと言う原動力になったと言う嘘っぽい?逸話もよく登場しますね。なぜ、契約書を予め2部作っておくとか、別の方向に力を注がなかったのか不思議なのは私だけ。とは言え、大きな功績を残したメーカーであることは確かです。 「カレン」の最大の特徴は、シルエットの美しさ。キャップを外すと、シルエットの美しさが良く分かります。どんなに美しい軸もペン先でシルエットが崩れるものですが、カレンは、それを克服していますね。キャップは、嵌合式。軸側の金属リングで、キャップを固定する仕組みなのですが、そこに突起物があり、安定感があります。キャップを開け閉めする際の、感触も気持ち良いですね。クリップなどの金具は、シルバー色で統一。キャップリングには、「WATERMAN」、「FRANCE」と刻印。おふらんすっ!フランス製かは知りませんが・・・。天冠も軸の後ろ端も、丸みを帯びたデザインになっており、優しいシルエット造りに一役買っています。軸の後ろ端は、斜めにカットされたような形状です。金属パーツ取り付けられており、中央には、樹脂製の黒ストーンを配するデザイン。独特の形状のペン先は、18金でロジウムメッキが施されています。首軸に切れ込みを入れて、ペン先を差し込んだようなデザインが面白いですね。ペン先は、首軸に乗っかるように取り付けられており、横顔も、すっきりしています。独特のペン先のお陰で、キャップを外しても、美しいラインを保っている訳です。裏側から見ると、パーカー51のようですが、ペン芯は全く見えていません。「F」と字幅の刻印があり、その下の穴がありますが、この穴の機能は不明。裏側から見る限りは、フーデッドニブですが、実際にはフーデッドではない点が面白いですね。この万年筆は、両用式でコンバーターが付属していました。家でペン先をルーペで見ると、切り割りがイリジウムの中心線から少しズレていると言うか、垂直方向で斜めに入っており、イリジウムの下側が6:4~7:3分けくらいになってました。使用上は問題ないのですが、気分的には、中心を通って欲しいものです。この程度ならメーカー基準でも合格品でしょうし、仕方ないですね。実は、店でルーペを借りてチェックしたんですが、チェックしたのは一緒に買った「モンブラン 251」の刻印で、その時、カレンのペン先は見ませんでした。「カレン」と言うモデル、一見すると、女性向きの万年筆に見えますが、実際に触ると、ちょっと違うかもと言う感じもします。長さ、約145mmと結構、大柄で、金属軸を採用している事もあり、コンバーター込みで33.7gと結構、重め。シルエットの美しさで売るモデルなんでしょうか?最後に、いつもの如く、汚い字で書いてみました。使用した紙は、ブロックロディア。5mm方眼が入っています。インクは、モンブラン ブラック。比較は、パイロット カスタム823 Fセーラー プロフィット21 Mです。見た目から予想はできましたが、殆ど撓らない硬いペン先です。筆記線は、日本メーカーの中細くらいで、海外メーカーのFとしても、それほど太くはありません。紙当たりは悪くなく、筆圧の強弱に関係なく、一定の線が引けるので、これはこれで書きやすいペン先と言えます。ライバルのパーカーより良いかもしれません。それなりに重量がある分、持ったときに軸は安定しますし、重量感が気にならなければ、非常に扱い易いと思います。キャップを、尻軸に付けない状態が安定しており、手の中でバランスを取りやすいですね。最近は、樹脂軸主体で、使っている金属軸は、軽めのパーカー 75だけだったので、最初、違和感がありましたが、重量のある万年筆も良いかもしれません。ずっと敬遠してましたが、「カレン」は、結構オススメかも。