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カテゴリ:百人一詩
「校歌」
荒川 洋治 ぼくの詩は よいもので十年 へたをして一冬も越さないが 鳥の声 風の音をころして 出来上がった 校歌はどうか 二十六歳の作曲家は きょう 雨の日に ピアノをつまみながら うたいそめる。 これですよ と その人はいわない だが それは十一年 いや 百年は生きるかもしれないものなのだ ぼくは 羽をつけて飛びたつ めずらかな歌をみつめた。 遠い冬の日にさえ 生きて わがむくろへと吹きつける 惨酷な 意味の歌を。 *福井県立ろう学校校歌。作曲は久木山直。 ---------------- 荒川洋治さんの足元にも及ばないモグラ詩人の不具ですが、この気持ちはよくわかるなあと思いました。校歌はいわばポスターに似ています。どちらもメッセージ性が強いものです。これに対して、詩は、言葉でかいた絵画です。ポスターに絵画性がない、詩にメッセージ性がないとはいいませんが、どちらもその本質からすれば第二義的なものにすぎません。 なお、この詩を読めばわかるように、冒頭の三行は作者一流の諧謔です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.02.26 23:21:53
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