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つれづれなるままに―日本一学歴の高い掃除夫だった不具のブログ―

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2011.03.16
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カテゴリ:百人一詩
「旅客機」
近藤 東(あずま)

あかつきに いどむかのように
巨大な旅客機が機首を東方にむけていた
空はすでに白々と明けはじめていた
ときどき 銀色の翼が濡れたように光った

すると 飛行場の一隅に
黒々とうごめいていた私たちの群から離れて
ひとりの異国人が旅客機に近づき
タラップをのぼると 大きく片手をあげた
一群は それにこたえて
両手をあげ 帽子を振った

その人と私は いつ敵となるかも知れぬ
彼の背負っている国家と私の国家とが――
私はだまって 手を振らなかった
しかし旅客機は 私の感傷を黙殺したまま
たちまち私の視野から消えていった
朝日のあがった雲の中へ

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非常に視覚的なので解説の必要もないと思いますが、来たるべき第二次世界大戦を予感させる詩です。今現在国家間の戦争は起きていませんが、中東各地で内戦状態が続いていることを思うと、決して時代遅れの作品とは言えないでしょう。

なお近藤さんは国鉄職員でした。






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Last updated  2011.03.27 10:01:50
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