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戦国ジジイ・りりのブログ

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2014年12月26日
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カテゴリ:日光写真館
昨日、東武線の某駅にこんなものが貼り出されました↓。


      KIMG0149


「400年分の夢」か・・・
「日光山」は室町頃には所領は18万石を数え、僧坊は500にも及んだという。
往時に比べたら規模は縮小されたとはいえ、幕末から明治の激動の時代を経て
いまだあれだけのものが遺されているのは、世界の歴史からいえば奇跡に近い。

家康の死から400年という大きな節目の年を前にして、
日光ではイベントムードが高まりつつあるようですな。

来年は山内のあちこちで特別のイベントが盛りだくさんだろうし、
今のわたくしのペースで行くと「日光写真館」は確実に10年じゃ終わらないので(笑)、
来年は集中して日光を攻めるのもいいかもしれないと
このポスターに触発された戦国ジジイでございます。


さて、ここで少し山内の変遷を紹介しましょう。
と言っても、手持ちの史料は限られているので簡単なものですが。
まずはこちらが、現在の位置関係↓。


    山内図(現在)


「二つ堂」は常行堂と法華堂のことで、
「上野第二編(35)」で寛永寺の「にない堂」を紹介してますが、
寛永寺では常行堂と法華堂をつなぐ渡り廊下が高く宙に浮いてたのが、
渡り廊下が地面に付いている日光バージョンのにない堂です。

「慈眼堂」はその名の通り天海の墓がある場所で、
ぴったり寄り添うように家光の大猷院があるのがいかにも家光らしいとゆーか・・・
じゃなくて、今度は江戸期の図↓。


  山内図(江戸期)



三仏堂は東照宮の西隣の小高いいい場所にあったのが、
明治の神仏分離で山内が切り分けられることになったので
相輪塔とともに現在の場所へ引っ越したようです。
相輪塔は法華経が納められている、仏的建造物だからね。

で、現在の輪王寺の観光のメインエリアにはかつて御本坊がでーんと広がってました。
本坊の図は江戸博の企画展図録「日光東照宮と将軍社参」にあった
「家慶公天保十四年卯年四月日光御参詣之節御旅館絵図」から
大ざっぱに写したものです。

この図には間取りも細かく描かれているのですが、
立派な御殿サイズ。
もちろん、一品(いっぽん)法親王である輪王寺宮の
日光での滞在場所ということもあるでしょう。

が、それだけじゃありません。
徳川歴代将軍の日光社参は確実なところでは15回(秀忠の大御所時代も含む)
にもおよび、絵図のタイトルからもおわかりでしょうが、
御本坊が将軍のステイ先ともなっています。

家光の頃には山内に専用の御殿があったらしいのですが、
貞享元年(1684)の大火で焼失してしまい、そのあと御殿は再建されず
御本坊が宿泊先にあてられることになったんだそうな。
貞享元年の火災は、本宮神社なども被害に遭った大火のことですね。


現在の輪王寺観光エリアは、三仏堂と宝物館の間はぽっかりとした広い空間。
が、黒門を入ってすぐの場所から現在ぽっかりと空いた空間のほとんどを
本坊の御殿が占めていたようです。
やあ、まさかあの場所に宮の御殿が広がっていたとはね。


15回の将軍の社参のうち、半分以上が家康大好き、天海大好きの
3代・家光によるもの。
が、将軍の社参ともなれば文字通り「御動座」にあたる訳で、
重臣たちも将軍に付き従い、道中での警護もハンパない。
実際に行われた社参以外にも、「日光行くよ~」と予告はされていたものの
費用やその他の諸事情により中止された幻の社参もあるそうな。

しかし、将軍はおいそれと行かれなくっても、
将軍の霊廟を2つ抱える日光では年回忌などの大きな法要もちょいちょいある。
将軍が行かない場合は、名代を遣わしたらしい。

貞享の大火のあと、御本坊が将軍の宿泊先となってから日光社参を決行した将軍は
8代・吉宗、10代・家治、12代・家慶がそれぞれ1回ずつの計3回のみ。
さすがに将軍ともなれば日光でも御目見とか饗応も行われたりするので、
この3人が社参に来る前にはそういう特殊イベントもできるように
わざわざ御本坊にも改築の手が入ったらしい。

将軍の日光社参についてはおいおい紹介していきますが、
ここでは現地へ戻りましょう。


輪王寺の宝物殿からは、南側に広がる庭園に出られる。
ようかんの綿半さんとともに、今回わたくしが外せなかったお目当てでもある。
庭園の名は、「逍遥園」(しょうようえん)という。

 【この庭園は、逍遥園といい、江戸初期の造園。小堀遠州の作と伝える回遊式庭園である。
  池を中心に、鶴亀に擬した中島と岬とが配されており、四季折々の風情に富み、花木が
  織りなす美しさは格別である。かつての当輪王寺法親王宮の本坊の庭として、今に
  伝えられている。江戸後期の儒者佐藤一斎(いっさい)は、庭園の勝処八景をあげて
  「逍遥園」と名づけた。】
  (現地解説板より)

このお庭はかなり昔に一度だけ歩いた記憶がありますが、
庭園に興味がある訳でもないし日本史に興味もなかった頃なので、
それ以来入ることはなかった。

そんなわたくしに転機が訪れたのが寛永寺シリーズ。
あのシリーズでは寛永寺創建やら輪王寺宮誕生やらについて色々考えて
そのまま書き散らしてきましたが、その頃の「上野第二編(52)」
宝物殿に隣接する庭園が宮のための庭だったと知ってホントに驚きました。

佐藤一斎の『逍遥園記』からの引用文が日光輪王寺のホームページに
載っていたので、転載します。

 【園内には琵琶湖の近江八景を模した大池があり水清くたたえ、その水面に空の雲と
  囲りの木立が映し出される様、ならびに夕月が東から上って池の嶋の付近の樹木を
  照し出して、水面にうつし出される様は格別。嶋にかかる石の小橋を渡りつつ
  観賞されるあたりのたたずまいは、別天地に参ったような感慨を深める。】

近江八景を模したお庭を宮が逍遥する姿から「逍遥園」としたようですが、
小堀遠州の作庭というのはどんなもんか・・・
もしこれが初めから宮のために作られた庭だったとしたら、
年代的に少々無理がある。
というのも、小堀遠州が亡くなった年に初代輪王寺宮である守澄法親王は
やっと関東に下向した段階なのだ。
(輪王寺宮が誕生するまでの流れは「上野第二編(19)」を参照)

とはいっても、宮をお迎えする契約はもっと早い年に決まっていたんだし、
まだ見ぬ法親王宮のために名高い小堀遠州を迎えて
早々と日光に宮のための庭を作っていたという可能性もないとは言えないし、
宮のために作られた庭でなかったとしても、東照大権現を安置した日光山内に
華を添える庭園の作庭を遠州に依頼したという可能性もある。

もし宮のための庭でなかったとしたら、寛永寺周辺が叡山のコピーだと
一般に言われるように、日光のも叡山のコピーである可能性はある。

輪王寺のホームページによると、逍遥園は時代を下るごとに改作が加えられたらしいので
日光にお勤め中の宮がなごんだお庭そのものではないにせよ、
その雰囲気を味わうことはできる。
では、写真で現地の様子を紹介しましょう。

宝物殿の奥にある扉を抜けて庭園への道を歩き出すと、
頭上にはネットが張られていた↓。


      14輪王寺・逍遥園2


ナニコレ・・・
なにか引っかかってるな。
カリンかな?
足元を見ると


      14輪王寺・逍遥園


こぶしぐらいの大きさはある。
アハハ、こんなのが頭に直撃したら痛いもんな。


      14輪王寺・逍遥園3



      14輪王寺・逍遥園4



      14輪王寺・逍遥園5


この池は東西に長い。
少し雪が積もっていてくれた方が風情があって良かったかもな・・・


      14輪王寺・逍遥園6


      14輪王寺・逍遥園7


ところで、宮萌え~もさることながら、この時は池の中にあると思われる石を
探しておりました。
中島がどーのとも言うから、中島にある石かもしれないんだけど、
どれが中島じゃい・・・
こっち側じゃないのかな。 

池の東端には小さな亭がある↓。


      14輪王寺・逍遥園8



      14輪王寺・逍遥園10



      14輪王寺・逍遥園9



茶室かと思ったけど、炉がきってないなあ。
『宝ものがたり』には【江戸期の棟札に「お茶屋御殿」とあったという】とある。
江戸期なら、宮もお勤めの合間にここから池を鑑賞したかもしれないな。


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最終更新日  2014年12月26日 23時55分35秒


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