中島敦「悟浄出世論」
大阪教育大学近代文学ゼミナール
【 序論 】
1、遍歴に出るまで
2、悟浄の変化について
3、悟浄はどのように救済された
【 結論 】
悟浄よ、諦らかに、我が言葉を聴いて、よくこれをきいて思念せよ。(略)まずふさわしき場所に身を置き、ふさわしき働きに身を打ち込め。身のほど知らぬ『何故』は向後一切捨てることじゃ。これをよそにして、爾の救いは無いぞ。さて、今年の秋、この流沙河を東から西へと横切る三人の僧があろう。西方金長老の転生、玄奘法師と、その二人の弟子どもじゃ。(略)悟浄よ、爾にふさわしく、疑わずして、ただ努めよ。