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カテゴリ:プライベート
約一年ほど前にFBに書いた。少し手直しして再録する。
僕の人生には何度かドストエフスキーがやってくる。一度その波が来たらしばらく離れられなくなる。今回は罪と罰と白痴を読み直し、小林秀雄などの評伝や評論を大量に図書館で読み、ついでに手塚治虫の漫画と、大島弓子の漫画ラスコーリニコフを本箱から引っ張り出し、カラーマゾフの兄弟の三度目を読み返そうかと思案中。新訳が出て読みやすくなったとはいえ、気力がいる。 ちょっと箸休めに黒沢明の白痴を初めて観て、かなりまいった。小説とは違うが白黒映像がインパクトある。ムイシュキン公爵の印象が変わってしまうことはない。映画は映画。小説は小説。 それで最近話題らしいドラマ化された罪と罰を昨日三話まで見たらかなり面白い。 ので、原作漫画を探したら無料で読めるサイトがあって、これもはまってしまった。 まだ読了していないが、ペテルブルクを現代日本に置き換えて、金貸婆さんを援交をとりまとめるボスに、ソーニャを薄幸の◯◯女優に置き換えて、それでもかなりしっかりとドストエフスキーしてる。 本作の独特のテーマは、ひきこもり観念青年がいかに世界に触れ合うか。触れ合ってみたところで、悲惨な現実しかないとしたら、触れ合う意味があるのか?さらに共依存されて骨抜きにされた側の自立の苦悩を描いてるとも解釈できる。 第三チャクラが発達しつつある思春期の少年が読めばはまるだろうなあと思う。精神世界の住人でお腹が空くとか空かないとか忘れてしまうタイプのひとにはなかなかの漫画。 もちろんドストエフスキーの原作とは比べようもないが、作者も本気で書いているのは伝わってくる。 明後日は、村上春樹の新作が出る日だ。騎士団長殺しとはなかなかドストエフスキーを思わせるタイトル。 僕は村上春樹の世界の終わりとハードボイルドワンダーランドが大好きで、ハードボイルドワンダーランドの方の主人公がこの世からいなくなるシーンを読み返すことも、人生で何度も巡ってくる。 レンタカーで、ディランの激しい雨を聴きながら意識が途切れるシーンに至るプロセスが大好きだが、今回罪と罰を読み直して、スヴィドロガイノフが自殺するくだりがそっくりだと思った。 一般には評判のよくないエピローグが好きで、ラスコーリニコフの影とも言えるスヴィドロガイノフの自殺シーンは前は感銘を受けなかったが、今回はガツンときた。ハードボイルドワンダーランドは、これを意識してるんじゃないかと思った。 1Q84の牛川さんは、「俺はソーニャに出会わなかったラスコーリニコフだ」と言ってたし、タクシードライバーを見直したら、トラビスもソーニャのいないラスコーリニコフだった。 僕は数々のソーニャに出会ったけど、いまだ救われないで昼夜逆転でドストエフスキーなんか読んでる。 今回ドストエフスキーを読んでると、なぜだか昔の地方巡業で泊まったビジネスホテルとかの光景がページと別に頭に浮かぶ。 たぶん陰惨な心理状態を思い出すんだろうけれど、不思議にどんな文章を読んでも、その日の夢は雪景色のように真っ白で、魂なんて言葉を思い出す。 春日さんたちの音の輪の演奏聞いたあとみたいに魂が清められるのだ。そういえばナーヤさんはどこかロシア人ぽい。ドラマや漫画にはそこまでの力はないけれど、おすすめです。暗くて万人向きではないけれど。さて、村上春樹の新作が楽しみだ。 このあいだテルミーのコオロギ先生と、ドストエフスキーで盛り上がった。 漫画の無料リンク http://fbk.is/book/comic/search/%E7%BD%AA%E3%81%A8%E7%BD%B0 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018.02.23 16:18:01
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