本のタイトル・作者
劇場版 鬼滅の刃 無限列車編 ノベライズ (JUMP jBOOKS) [ 吾峠 呼世晴 ]
本の目次・あらすじ
その列車に乗ると、人が消える―――。
鬼が出るという「無限列車」に乗り込んだ炭治郎たちは、炎柱である煉獄と出会う。
車掌が切符を切ったその瞬間、彼らは眠りに落ちた。
引用
悔しくて苦しくて悲しくて、自分の弱さが情けなくて、隊服の上から両膝をぎゅっと握りしめる。
「悔しいなあ……」
絞り出すようにうめいた。
「何か一つできるようになっても、またすぐ目の前に分厚い壁があるんだ。凄い人はもっとずっと先の所で戦っているのに、俺はまだそこに行けない」
(中略)
「こんな所でつまずいているような俺は……俺は……」
(中略)
「煉獄さんみたいになれるのかなぁ……」
感想
2021年冊目
★★★★
あらすじ書いてて思ったんですが、いやもう、言わずもがなですよね。もがなもがなだ!
劇場版見て、アニメ見て、小説読んで。
そのすべてのラストで泣いてる私…。年かな。
Twitterで書いたことの再掲になるんですが、引用部分の台詞がもう、刺さる。
仕事や勉強に当てはめて、毎回毎回ウルっとくる。
すごい人はたくさんいて、上を見ればきりがなくて、自分の成長は遅々としていて、才能もなくて努力も出来なくて。
その事実に何度も打ちのめされる。
全体で俯瞰して見ると、自分がやっていることなんて無価値で、自分が何か出来るようになったって、大局的に何の意味もなくて。
それでも、私には「やるか、やらないか」しかない。
『独学大全』で「けれどその先に行けるのは、そういう馬鹿だ」と言っていた。
ここで諦めるか、否か。
途方もない道を、茫洋としたその先を見ない。
足元を、この一歩を。
『モモ』でおじいさんは言っていた。
あの電灯まで、その先の電灯まで、と箒を掃き続ける。
そうすれば長い道のりを、いつの間にか掃き終わっている。
馬鹿になって、今出来ることをやるしかない。
出来るならその道行きを楽しんで。
世界に意味はなくても、私には意味があるのだと信じて。
悔しい。悲しい。辛い。苦しい。情けない。
遠くまで行きたいのに。そこまで行ける力が、ほしいのに。
どうして私はまだ、ここにいるんだろう。
どうして私は、あそこまで行けないんだろう。
私に才能がないから。私に努力が足りないから。
けれど足を止めれば、もうここから一歩も動けない。
どこへも行けない。
だから、踏み出す。
一歩、一歩。
後退しているようにさえ思える、その足取り。
砂に足を取られる。上げることすら億劫で重い。
それでもどこかへ行きたいのなら。
いつか、どこかへ辿り付きたい。
夢見たあの場所へ、向かいたい。
一歩、一歩。
砂嵐は鳴りを潜め、空は青く晴れ渡る。
振り返れば、消えてしまった自分の足跡。
すこんと抜けた空に、ひとり佇む。
海が見える。
あそこへ行きたい。
いつか目指した場所に、いつの間にか辿り付いている。
それを信じて、進む。
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