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2023.04.11
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テーマ:読書(8219)

書名



剣持麗子のワンナイト推理 [ 新川 帆立 ]

作者


新川帆立(シンカワホタテ)
1991年生まれ。アメリカ合衆国テキサス州ダラス出身、宮崎県宮崎市育ち。東京大学法学部卒業後、弁護士として勤務。第19回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、2021年に『元彼の遺言状』(宝島社)でデビュー


目次・あらすじ


法律相談に運動会(?)に、剣持麗子は今日も眠れない!ドラマ化ヒロイン再登場!連作ミステリー短編集。亡くなった町弁のクライアントを引き継ぐことになってしまった剣持麗子。都内の大手法律事務所で忙しく働くかたわら、業務の合間(主に深夜)に一般民事の相談にも乗る羽目になり…。次々に舞い込む難題を、麗子は朝までに解決できるのか!?

家守の理由/手練手管を使う者は/何を思うか胸のうち/お月様のいるところ/ピースのつなげかた


引用


心境の変化がなかったといえば嘘になる。
だがそんなこと、人に絶対言いたくない。
経験を積めば、気づくことが増えるのは当然だ。
考え続けていれば、考えは変わるものだ。
それを変化だとか成長だとか、きれいな言葉でまとめる奴らは、何にも分かっていやしない。
(中略)
他人に私の何が分かるというのだ。私自身も分かっていないことを外側からちょっと見ただけの人が分かるわけがない。
正直なところ、私の大部分は何も変わっていないのだ。
プリズムのように、見る角度によって見え方が異なるだけだ。片側だけを見てアレコレ言って、別の側面を見たら「人が変わった」と騒ぐなんて、見るほうの底が浅すぎる。


感想


2023年075冊目
★★★

『元彼の遺言状』『倒産続きの彼女』に続くシリーズ3作目。
2作目の『倒産続きの彼女』が剣持麗子視点ではなかったから、また戻った感じ。

麗子が相変わらずのワーカホリック。
やべえよ弁護士。みんなこんななの???
本業の弁護士事務所の仕事をこなしながら、みんなの困りごとを引き受けていた町の弁護士の遺志を継ぎ、その仕事まで個人請負しはじめた麗子。
本業を深夜までこなしてから個人業務を明け方までやる…みたいな毎日。
彼氏と別れていなかったのがびっくりだ。いつ会うんだこの日常で。

個人請負では、勾留中の依頼人の猫の世話など、弁護士業務以外の雑用も多い。
さすがに手一杯になってきたところ、ある事件をきっかけに被疑者として知り合ったホストの青年・「黒丑」の小回りの良さにバイトを任せるように。
しかしその後も、次々と事件が起こり、そこには常に黒丑の影があって――ー。

ついにワトソン役が現れたのかと思いきや、いやはや。
黒丑との関係は、次巻以降も続いていく感じ。

1巻で金の亡者みたいになっていた麗子が、すっかり「いい人」になっている…と思いきや、端々に「そうじゃない」という地の文があるのが良かった。
無償で働くやさしい人にはなりたくない、と彼女は言う。
それは弱者の脅迫だ、と。
この人、引用部にあるように、幼少期からとにかく一本気で、曲がったことが大嫌いなんだろうね。
黒丑の件も、発端は権力を持つ者が自己の権力行使力を疑わぬことへの反抗心から。
上にも下にも、厳しい。

法律事務所をあげての運動会は、閑話でちょっとコメディ回なのかと思ったら、ちょっとしんみり。
しかし「今この瞬間、体育館にどんな法的問題が降りかかってきても対応できる最強の布陣」ってすごいよね。いや体育館にどんな法的問題が降りかかってくるんよって話ですが。
審判への異議申し立てが「ルールブック第○条第○項の類推適用を〜」みたいな感じで、いやもうめんどいな?!笑
1日15時間以上(!)をデスクワークで過ごす彼らの運動会は、面白い。そして運動不足すぎて危険。
海外ドラマとかだと弁護士とかよく事務所の中にランニングマシン置いてあるよね。
会議机の下がサイクリングペダルになっているやつとか。
よほど運動が足りないのだろうなあ。
だからこそスタンディングデスクが流行るのか。

津々井先生の、「部下を信用するのは上司の仕事だが、上司を信用させるのは部下の仕事だ。自分の仕事をしなさい。そして、部下が仕事をしていないなら、仕事をさせなさい」という禅問答のような話。
これ、私はいまいちわからなかったんだよね…。
部下を信用するのは上司の仕事。これは分かる。
でも、「上司を信用するのは部下の仕事」じゃなくて、「上司を信用させるのは」部下の仕事、というところが引っかかって。
でも、「自分の仕事をしなさい」というのは、今の私に染みる。

右も左もわからず、何をしていいかも、そのやり方もわからず、途方にくれているなう。
そんな中、自分の仕事を見つけ、出来るようになり、「自分の仕事をする」ということ。
誰かが与えてくれるのを、教えてくれるのを、待っている年齢でも、役職でもない。
甘えたな自分を叱咤して。
(でも教えてもらわんと何もわからんねんけどな。無知の知やねんけどな)

新しい職場ではしゅんとして、すっかり借りてきた猫状態の私。
「あれ、前評判じゃそんなことなかったのに」って思われてるだろうなあ…と勝手に私の心の声が言う。
でもそれもさ、私の一面。
人見知りだから、人間嫌いだからこそ、それを覆い隠すように振る舞う。

これまで、その場面場面の「振る舞い方」を、他の人を見て徹底的に真似してきた。
子供の頃の切実な私の願いは、「生きていくためのマニュアルがほしい」。
そうしたら私はそれを読み込んで覚えて、間違えないように振る舞うのに。
首を傾げられないように。眉を顰められないように。
自分の中の何が間違っているのか、わからないまま。
だから関係性が育まれていない場面、振る舞い方がわからない場面が苦手。
お使いのバージョンには対応していません。
アップデート。インストール。
少しずつ、少しずつ、ね。


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最終更新日  2023.04.11 07:04:51
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