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テーマ:†黒執事†(570)
カテゴリ:「黒執事」小説
BLの苦手な方は読まないでください。
あくまで二次創作ですから苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m 「もう一度言います。貴女は自縛霊なのです。死んだ場所 から離れられないと思い込んでいるだけで、貴女は何処に でも行けます。そもそも呪術の力で人間は魔女や守り神に はなれないんです。さあ、私の言葉を信じて、湖から一歩 踏み出してみてください。」 セバスチャンは手を差し伸べた。彼女は決意したように セバスチャンの手を取り、歩みだした。湖から岸辺へと容易 に移動できた。セバスチャンはにっこり微笑んでこう言った。 「ジェームス様の棺にご案内いたします。」 セバスチャンが案内したのは魔女狩りの拷問道具が置いて ある部屋だった。3体の鉄の処女のうち聖母マリアを模した 顔のふたを開けた。その人形型の鉄の処女は頭部に長い針 がびっしりとついているが、胴体部分には針がなかった。 子供用の小さな棺は胴体部分にすっぽりと収まっていた。 セバスチャンは鉄の処女の中から棺を取り出すとこう言った。 「月の魔女の指輪をこの棺の鍵穴に差し込んでください。」 ジェームスが指輪を棺に差し込み、180度回すとカチッと 音がして棺が開いた。棺の中には手枷足枷をした少年が 100年前の姿のまま眠っていた。100年経っていたら白骨化 しているはずなのに、少年は生きたまま眠っているかのよう だった。少年は御伽噺のお姫様のように雪のような白い肌 と薔薇の花びらのような赤い唇をしていた。 「やっと見つけた。僕の体。」 ジェームスはそうつぶやくように言うと幽体離脱をするように エドワードの体から離れて自分の体へと入っていった。すると 棺の中のジェームスが目を開けた。 「お母様、僕は100年もの長い間、この棺に閉じ込められて いても、お父様を恨んだことなど一度もありません。全ては 僕を助ける為にしたことですから。お母様もそれは同じはず、 一緒にお父様の所へ参りましょう。」 「おお、ジェームス。」 二人は抱き合った。ジェームスの母が体を抱き上げ、棺から 出すと、ジェームスの体はサラサラと舞い散る灰になった。 半透明の幽体となったジェームスは母に抱きかかえられた まま幼子のように笑った。やがて、美しい光が二人を包み 天国へと導いていった。 「ありがとう。シエル。」 「ありがとう。望みを叶えてくれて。礼を言います。」 二人は口々に御礼を言って光の中へ消えて行った。 「坊ちゃん、この指輪はどうなさいますか?」 セバスチャンが棺の鍵穴から月の魔女を取り出して 聞いてきた。 「湖に返そう。」 シエルは指輪を受け取ると、窓を開けて、湖に投げ捨てた。 月の魔女は湖に沈んでいった。 「棺も後で湖に沈めてくれ。」 シエルは母親の血で描かれた魔法陣の棺を指差して言った。 「イエス・マイ・ロード。では、エドワード様をベッドへお連れ してから、そう致します。」 セバスチャンは気を失って倒れているエドワードを抱き かかえて微笑んだ。 (続く) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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