米軍再編にかかる費用、日本の負担額は大きすぎる
千葉の補選、耐震偽造事件でようやく逮捕者、中学生による相次ぐ殺人、JR福知山線脱線事故から1年等の大きなニュースに国民の目が奪われているなか、沖縄に駐留している米海兵隊のグアムへの移転にかかる経費の日本側の負担を全体の59%、60.9億ドルとすることが、日米防衛首脳会談で合意された。60.9億ドルを、読売新聞は6,760億円、産経新聞は7,200億円と試算している。読売新聞によれば、「基地周辺対策費や、地元への振興費など、今後約10年で2兆円もの支出が必要になるという見方もある」という。米軍再編:日本側、大幅に譲歩 関連経費2兆円以上に (毎日新聞、06/04/24) 政府は「日本側からお願いしたことであり、応分の負担は当然」と説明してきた。しかし、一方で米軍は太平洋の戦略拠点としてグアムの機能強化を進めており、国会質疑では野党側が「米国の軍事戦略の一環」と主張。「日本のためか、米軍の都合か」の議論が整理されないまま、日米間の調整が進められてきた。 小泉政権下で在日米軍再編問題を決着させるためにはグアム移転経費負担などの関連法案を今国会で成立させる必要があり、大型連休前の合意を急いだ額賀福志郎防衛庁長官がワシントンに乗り込んで直談判することになった。政治決着を焦った日本側が大幅に譲歩した格好で、米軍普天間飛行場の移設などと合わせた再編関連経費は2兆円以上になりそうだ。「冷戦が終わり、ドイツから米軍が撤退するときドイツは費用を負担しなかった」(日本経済新聞)のに比べ、小泉政権最後のアメリカへの貢ぎ物のような印象を受けます。グアム移転費 負担の是非から考えよ (京都新聞、06/03/30) 外国軍隊の移転費用負担は、世界的に異例といわれる。独立国としての威信にかかわる問題でもあろう。 政府は負担にあたり、融資方式も検討している。根拠になる関連法案を今国会に提出する予定だが、まずは負担の是非をめぐる議論から始めるべきだ。必要と決まれば、その時点で負担割合の議論に入ればよい。 沖縄では一九九五年に米海兵隊員による少女暴行事件が起きた。海兵隊移転はそれ以来の懸案でもある。 県民の負担軽減のためにも、海兵隊移転は必ず実現させたい。とはいえ、費用の中身さえ国民に説明せず、拙速に負担に踏み切ることは許されない。 米当局は、日本に負担を求める根拠について「米国は日本を防衛している。日本は米国を防衛するわけではない」と説明している。 「守ってやるのだから当然」というのは筋違いだ。沖縄の米軍基地は、米国にとって世界戦略上の要の位置を占め、その恩恵は計り知れない。逆に沖縄の苦痛は計り知れないものがある。 グアム移転は、米国が世界的な米軍再編にとって必要であり、有益と判断したからだろう。独り善がりな主張には、日本政府が「過去の迷惑料」を請求するくらいの迫力で臨み、不当な移転費用要求なら撤回させてほしい。 ブログランキング ブログ村 人気blogランキングへ