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音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2011年07月18日
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インスト中心、ジャズ・ロック志向のサンタナのひそかな名作 


 本盤『キャラバンサライ(Caravanserai)』は1972年にリリースされた。サンタナ(Santana)としては4枚目のアルバム。インスト中心の演奏ながら全米で8位、全英でも6位のヒットを記録した。

 時折誤解されるので一応書いておくと、サンタナというのはバンドの名称であって個人アーティスト名ではない。そしてそのリーダーがカルロス・サンタナ(Carlos Santana, 本名カルロス・アウグスト・サンタナ・アルベス)という人物である。カルロスはメキシコのハリスコ州生まれだったが、10代の時に家族とともにティフアナ~サン・フランシスコへと移住。ティフアナ(米墨国境の町)では、ハビエル・バティスから教えを受け多彩なプレイを学んだ。その後は『フィルモアの奇蹟』(1968年)への参加、ウッドストック参加およびカルロス・サンタナ・ブルース・バンドとしてのデビュー(1969年、この際にバンド名は単にサンタナと変更している)とキャリアを積んでいった。 

 この頃のカルロス・サンタナは東洋哲学(インド出身のヨガ指導者シュリ・チンマイの教え)に傾倒しており、同じ一門のマハヴィシュヌ・ジョン・マクラフリンとの共作アルバム(『魂の兄弟たち』)を本作の翌年にあたる1973年に残している。本盤がどこか瞑想的なのもこうしたカルロス・サンタナの思想的傾向と関係がある。それは、前作までに確固たる人気を築き上げたサンタナというバンドが、それまでと同じ“売れる”路線を安易に継承せず、次なるステップへとバンドの音楽性を移行させていこうという試みでもあった。その結果、本作の後にバンドは大幅なメンバーチェンジを余儀なくされる(グレッグ・ローリーとニール・ショーンが脱退し、二人はやがてジャーニーを結成することになる)。

 さて、上記の試みを押し進めたのは、カルロスに加え、共同プロデュースに携わったマイケル・シュリーヴである。実際、シュリーヴは、この盤によって“我々は、これからどんな音楽に取り組もうとしているのか、いったいバンドがどこに向かって行こうとしているのかを明確に表明したい、そう考えていた”と後年語っている。

 時は折しも、マイルス・デイヴィスの『ビッチェズ・ブリュー』、さらにはウェザー・リポートの登場と、ロック界に限らずに音楽界を見渡せば、まさに新しいステージに入る様相を呈していた。そんな中で、カルロス・サンタナとマイケル・シュリーヴの打ち出した音楽性を見直すと、なるほど納得のいく方向を向いていた。つまりは、ジャズ的な要素を取り込んだロック、という方向性であり、新たな音楽のムーヴメントを自分たちも担って行こうという姿勢である。その結果としての本盤はジャズ・ロック的志向が作品として見事に結実した1枚となった。

 アルバムのオープニングである1.「復活した永遠なるキャラバン」は、幻想的な虫の鳴き声から始まるインスト・ナンバー。その後も2.「躍動」、3.「宇宙への仰視」とインスト曲が続く。4.「栄光の夜明け」以降、6.「宇宙への歓喜」、8.「ストーン・フラワー」と3曲の歌入りのナンバーがあるが、もともとヴォーカルの比重がさほど高くなかったサンタナにとって、本作でのヴォーカルは“添えもの”的でしかなくなっているように見える。以前からのサンタナの特徴であったリズムはいくつかの曲では控えめながらも複雑さを増している。ギターの伸びのある音を生かした演奏を中心にしながらも、全体の流れ方(しばしばそれはドラムとベースを伴ったスイング感となって現れる)を強く意識しているように思える。

 それにしても、各曲の邦題の仰々しさにはつい笑ってしまう。3.では“look up(見上げる)”が「仰視」と訳されている。5.は直訳すると“風の歌”だが、わざわざ動詞化し、能動性を出して「風は歌う」。さらに9.「リズムの架け橋」は、元のタイトル(スペイン語の曲名)が“La fuente del ritmo”なので、正しくは「リズムの源」であって、puente(橋)とfuente(源)を取り違えた誤訳と思われる。まあ、この仰々しさ、それはそれで悪い和訳ではないようにも思うけれど…。



[収録曲]

1. Eternal Caravan of Reincarnation
2. Waves Within
3. Look Up (to See What's Coming Down)
4. Just in Time to See the Sun
5. Song of the Wind
6. All the Love of the Universe
7. Future Primitive
8. Stone Flower
9. La Fuente del Ritmo
10. Every Step of the Way

1972年リリース。




 
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