テーマ:Jazz(1969)
カテゴリ:ジャズ
無国籍的現代ジャズの好作
キム・ハクエイ(Hakuei Kim,金伯英)は、1975年、京都生まれのジャズ・ピアニスト。父は韓国人、母は日韓ハーフという出自で、札幌で育ち、オーストラリアの大学で学んだという。日本・韓国・中国・アメリカと活動の幅を広げたとのことで、筆者はこの人のことをよく知らいないけれど、経歴を見る限り、様々な国において活動を繰り広げているということのようである。 2005年にインディーズでデビューし、2008年の本盤『シャドウ・オブ・タイム(Shadow of Time)』は3作目の作品である。その後は、2011年にユニヴァーサル・レーベルからメジャー・デビューも果たしている。この第3作は、当初からのオーストラリアのミュージシャンとのトリオ盤であるが、スタンダード曲を題材にしている。そうは言っても、ありきたりな“スタンダード曲集”ではなく、ひと捻りした選曲という風に思う。 キム・ハクエイのピアノは、一言で表すなら“美しくてエキサイティング”。タッチがはきはきしていて、音が美しいのだけれど、ただそれだけじゃなく、その上で、わくわくさせるようなプレイが身上なのである。どちらかというと激しいドラムおよびベースとの息も抜群。ものすごく奇抜なことは一切していないのだけれど、スタンダードなことをしてその延長線でこうした“奇抜さ”を感じられるというのは、きっとピアニストとして、またアルバムの制作者としての力量ゆえということだろうか。 収録曲の中で特に注目したいのは、まずは1.「ラウド・ジー」。ピアノが登場するまでに敢えて“タメ”を設け、その後、淡々とピアノを利かせる姿勢に冒頭から好感が生まれる。4.「タイム・オン・マイ・ハンズ」は、妙に余裕のある演奏が聴きどころ。ジャズ・アルバムらしからぬ5.「ドナ・ドナ」はジョーン・バエズで知られるナンバーだが、1975年日本生まれというところにこの選曲は関係しているのだろうか(日本では1960年代にカバーなどもあって知られるようになり、70年代には定番曲となっていた)。T・ダメロン作の7.「レディ・バード」もテクニックとエキサイティングな期待感のバランスが実にいい。ここまで触れなかった曲についても、捨て曲がなく、アルバム1枚通して抑揚があり楽しむことができる。 ひょんなことから、たまたま聴いてみたピアニストだったのだが、これ1枚で他の盤も試してみたいと思わせてくれる好盤であった。キム・ハクエイの他の盤についても、機会があればいずれ取り上げてみたいと思う。 [収録曲] 1. Loud Zee 2. Elsa 3. Holy Land 4. Time on My Hands 5. Dona Dona 6. A Hundred Years from Today 7. Lady Bird 8. In the Wee Small Hours of the Morning [パーソネル、録音] Hakuei Kim (p), Ben Waples (b), Dave Goodman (ds) 2007(?)年録音。 【国内盤CD】【ネコポス送料無料】HAKUEI KIM TRIO / SHADOW OF TIME 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020年04月29日 20時37分17秒
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