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つまずく石も縁の端くれ

つまずく石も縁の端くれ

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2009年09月12日
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カテゴリ:アート
英一蝶(はなぶさいっちょう)を知ったのは、まだ
キリンではなく、エプソンが提供していたころの
「美の巨人たち」を見たときだった。

「布晒舞図」を取り上げていたのだが、その躍動感に
見入ってしまった。それからこの絵師が、幕府ににら
まれ、三宅島に遠島になり、そこでも腐ることなく
絵を描き続けたこと。再び赦免により江戸に戻って、
長寿を全うしたことなど、その数奇な運命も興味深かった。

今回の展覧会は、タイトルも「一蝶リターンズ」と
ある通り、御赦免300年記念とのこと。生誕とか没後
何年という記念の展覧会はあるが、こういうのは初め
てだ。さすが板橋区美術館。ユーモアあふれるネーミ
ングだ。ちなみに今回も、それぞれの作品のタイトルも
工夫を凝らしていた。

布晒舞図.jpg

さて、お目当ての「布晒舞図」。この絵は、埼玉の遠山
記念館で、一年に一度しか展示されない名品であり、
なかなか見る機会がなかったので、今回は大チャンス
である。

踊り子.jpg

顔.jpg

新体操のリボン演技のように空中でクネクネとまわる
「さらし」は、まるで龍がうごめくよう。おまけに
踊り子の少女の足腰は、実際の人の動きとは大きく
異なるのであるが、まったく不自然に感じられない。
お囃子や三味線などの人たちの顔や格好も踊り子と
一体感となって躍動感にあふれている。

そのほかの絵もすばらしい。何が素晴らしいかという
と、絵に登場する人々の表情だ。みな生き生きとして
いるのだ。そして、ユーモアあふれる絵が多いこと。

坊さんの頭に釣り糸で何か垂らして悪戯している光景。
釜が頭にかぶって抜けなくなった人。炎の光背を外して
滝に打たれて修行する不動明王。鳥居に扇子を通す
遊びに熱中しているおとな・・・
人々が人生を楽しむ姿があちこちに表現されている。

朝とん曳馬図.jpg

「朝とん曳馬図」は湖面にかかる橋を渡る人馬。水面に
映る影も生きた人間のようである。ほのぼのとする
風情。

「張果老・松鷺・柳烏図」の三幅対の掛け軸も好きだ。
黒白の鳥の対比。真ん中にある「瓢箪から駒」の絵は
日本の幻想絵画だ。

18世紀はじめ。師宣が浮世絵の美人画を確立した頃。
まだ春信も北斎も生まれていない時代にこういう絵師が
活躍していたことを再発見した。

これから行く方は、絵の顔の表情を確認するために、
双眼鏡か単眼鏡が必須です。会場でも貸し出してくれ
ますが、おもちゃみたいでよく見えませんでした。





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最終更新日  2009年09月13日 07時59分01秒
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板橋よいですね   あおひー さん
こんばんは。
初の板橋区立美術館、大満足でした~。
独特なフォルムとひとを見る暖かい目線がよいですね。 (2009年09月18日 00時52分26秒)

あおひーさん   一村雨 さん
はじめは、一蝶なんてと思っていたのですが
実際の絵の数々を目の当たりにして、
ころっと印象が変わりました。
今はもう一蝶ファンです。 (2009年09月18日 05時29分56秒)

一蝶   はろるど さん
こんばんは。布晒舞図、こうして図版で見ても仰る通り躍動感に満ちあふれていますね。見事でした。

>人々が人生を楽しむ姿があちこちに表現

苦難の三宅島時代も変わらずに快活な表現が多かったですね。
絵に「そうありたい。」と思いを込めていたのでしょうか。楽しかったです。 (2009年09月29日 22時37分16秒)

はろるどさん   一村雨 さん
島流しにあっても、人々の応援があったのですね。
それだけ、庶民に好かれた絵師だったということに
魅力を感じます。 (2009年09月30日 04時50分40秒)

Re:英一蝶展  板橋区立美術館(09/12)   一青 さん
NHK日曜美術館で取り上げられていたのを視聴し、英一蝶にとても惹かれました。人間を、人間らしく生き生きと描いているので、生きる元気が沸いてきます。人生を小難しく考えず、一瞬一瞬をそのまま喜び、楽しみとする姿勢が、どんな境遇でも柔軟に生きていく原動力だと感じました。 (2009年10月04日 10時29分04秒)

一青さん   一村雨 さん
コメントありがとうございます。
一蝶の生き方から学ぶものは大きいですね。
日曜美術館、録画してあるので
さっそく見ます。 (2009年10月05日 08時34分19秒)

ファンになりました   もか さん
こんにちは。
一蝶のユーモア・センスと、板橋美術館の遊び心がマッチして、楽しい展覧会でしたね!
見終えてすっかり元気をもらえました。
(2009年10月07日 07時05分13秒)

もかさん   一村雨 さん
あそび心もほほえましくていいですね。
美術を好きになってほしいという
この美術館の願いを感じます。 (2009年10月08日 04時39分39秒)


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