カテゴリ:人間関係、不即不離
本来他人と交流することは、人生の楽しみの1つだと思います。
自分ひとりで生きていく事は出来ませんし、多くの人と助け合いながら毎日楽しく過ごしていきたいものです。ところが、現実には人間関係で葛藤や苦悩を抱えてのたうちまわっている人が後をたちません。 その大きな原因は、他人が自分に対して「かくあるべし」を押し付けてきたとき、自分も相手に対して「かくあるべし」で対応しているために、いつも2人の関係性が戦闘モードに入っているためではないかと思います。 相手の仕草や言動、自分に対する仕打ち、他人の思惑や意志などに振り回されて、相手のペースに巻き込まれているために、自ら苦しい人生を選択していると言わざるをえません。 これを解決するヒントは森田療法理論の中にあります。 森田理論は「かくあるべし」を少なくして、現実、現状、事実に基づいて生きていく態度を養成することをお勧めしています。これを人間関係に応用していけばよいのです。もう少し詳しく見ていきましょう。 森田理論では、自然に湧き上がってきた感情や気持は全て素直に受け入れましょうと言っています。 不安や恐怖などの感情もやりくりしないでそのまま自然の流れに任せましょうと言っています。 腹が立つことや怒りや恨みの感情も同様です。 対人関係で苦しんでいる人は、腹が立つような感情は、表面に現れないように抑圧しています。 我慢し耐えていることが多いのです。しかし、心の中では憎み続けているのです。 心の中と外面が大きくかい離しているのです。 それらが積み重なると、無意識の心の中では恨みの感情はどんどん増悪していきます。 最初は小さな怒りだったものが、とてつもなく大きくなり、最後には自分の力ではどうすることもできなくなってしまいます。 それが親子関係、夫婦関係、学校や職場での人間関係でも同様の対応をしているために、すべての人間関係が油の切れた歯車を回すようにギクシャクしているのです。 森田理論では、まず自分の素直な感情に気づくことが大切であると言います。 これは森田でいうと「純な心」に当ります。 第一に起こってきた感情、最初に起こってきた感情のことです。 それに引き続いて沸き起こってくる「かくあるべし」を含んだ感情のことではありません。 これに気づくことはとても大事です。最初のうちは意識しないとすぐに逃げてしまいます。 他人の言動に接すると、好き嫌い、快不快といった感情が湧き起こってきます。 どんな感情が自分の中で沸き起こり、今自分がどんな気持ちになっているのかに気付きましょう。 そこに意識を持っていかないと、すぐに売り言葉に買い言葉で相手のペースに巻き込まれて、 「かくあるべし」の対応になってしまうのです。 自分の中でわき起こった感情に気づくと、次に自分の気持ちや意志を明確にする必要があります。 自分は何がしたいのか、何をしたくないのかという欲求に気づく必要があります。 次に、そんな気持ちや意志を相手にしっかりと伝えていくという作業に入ります。 自分の欲求に基づいて、断りたいのなら、しっかりと断る。 やってみたいのならば、勇気を出して取り組んでみる。 伝え方の技術というものはあります。例えば「私メッセージ」の方法があります。 それはおいおい身につけていけばよいものです。 自分の気持ちや意志を大事にする人は、相手の思惑に振り回されることはかなり少なくなるでしょう。 そういう人は自分が楽になる方法を見つけようとします。 自分が自分の最大の味方であると思っています。 自分は愛しい存在であり、自分こそ真っ先に大事にしなければならない存在だと思っています。 そうしなければ、結局相手の存在も大事にすることはできないと思っています。 考えてみれば、自分という存在は神様からレンタルしているようなものです。 粗末に扱うことは許されません。 「かくあるべし」を少なくして、自分の素直な感情に気づき、自分の気持ちや意志を前面に押し出していく。その方向が、人間関係の葛藤や苦悩から抜け出す唯一の道だと考えます。 よく森田の学習会などで、「自分の症状は人の思惑にとらわれることです」という自己紹介をされる方がいますが、自分を感情、気持ちや意志を大切にする生き方を目指してほしいものだと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.06.02 22:38:02
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