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カテゴリ:連載小説
あああ、なんか来ちゃうんだよなあ。癖というか、習慣なんだよ。ちょっと、近所のコンビニにたばこ買いにでてきただけなのになあ。
気が付くと、駅に来て日経を買ってるんだな。 あれ、この売店のおばちゃんかわったなあ。おねえちゃんになってるよ。 「ここおくよ」 まあ、いつも思うけど、いたるところから手が伸びてお金をうけとって、瞬時に値段をよみとって、おつりを渡す。おれにゃあ、できねえなあ。 でも、どこいこ。とりあえず定期残ってるし、電車に乗るか。 混んでるなあ。でもさ、なんで、みんなニガムシつぶしたような顔してるんだろうな。 明るく行こうぜ、だよなあ。 といってもどこいこう。定年で追い出された会社にいくわけにもいかんわな。 いたーっ まったまった、足ふむなよ。女性のヒールの高い靴は凶器だよ。 でもさあ、これからどうするかなあ。退職金は、きょう銀行に振り込まれてるはずだしさ。 おっと、つり革がもてたよ。 「かわりましょうか?」 「けっこうです」 おいおい、おれに席を譲らないでくれよ。こう見えても、しっかりしてるつもりなんだけどね。 でも、この娘、かわいいなあ。こんな優しい娘はいまどきいないよ。それにいい身体してるなあ。 なんだ、さっきまで優しい目をしてたのに、なんだってんだ。どうぜ、スケベジジイだよ。 次でおりてみるかな、電車から見えるあの看板!そう、いちどいってみたかったんだよなあ。それになあ、そのつぎまで行くとちょっとなあ、知った顔にもあうかもしれないし。 でもなあ、40年だよ。よく勤めたもんだよ。 なんか頭のなか、いろんなことが錯綜するよなあ。 マックか。若い頃はときどきいったけどなあ。モーニングをやってるのか。 あ、携帯がなってる。 「うん、わかったよ。」 なんだって、おれが大根と肉を買ってかえらないといけないんだよ。あいつ、おれを何様と思ってるんだろうな。 まただ、 「えっ、わかった。」 あと牛乳も忘れないで、か。 ま、いても金もかかるし、かえるかなあ。あの看板はまたのお楽しみだな。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005.06.13 06:59:32
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