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2012年01月08日
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カテゴリ:地域の歴史・伝承

岡山にも、興味深いところがたくさんあるとはいうものの、
年末年始というのは、時期が時期だけに休館しているところも多く、
また、駆け足でまわったため、じっくり見て回わったという感じではありませんでした。


そんな、岡山の中でも、私が最近興味深く思っているうちの一つがこれ。


桃太郎像


この銅像が、、、

というわけではなくて、岡山の桃太郎伝説についてです。


岡山に行く前に、桃太郎のことを少し調べていたということもあるので、
今回は、桃太郎伝説のことについて、書いてみたいと思います。



***



桃太郎のモデルとなったと言われているのが、吉備津彦命という
日本神話にも登場してくる古代の皇子。

この吉備津彦命が、吉備国(岡山)で猛威を振るっていた、
ウラという猛者を退治したという伝説が岡山に伝わっていて、
これが桃太郎話の原型になったのだと云われています。


とはいっても、桃太郎の話というのは、
岡山だけではなく、同じような伝説が、日本各地にあったと云われていて、
ゆかりの地とされる場所も、実は、全国各地にあるのだそうです。

さらに、その話の筋についても、様々なものがあったようで、
桃を食べた老夫婦が若返って子供を産んだという話だったり、
桃太郎は、力持ちだが怠け者で、寝てばかりしていたという話など
地方によって、話も様々だったのだそうです。

今では、誰もが知っている桃太郎のストーリー。

では、それが、いつ頃、出来上がってきたのかというと、
それは、どうも明治時代のことのようです。

明治20年、国定教科書に掲載された「桃太郎」のお話。
これが、ほぼ現在の形の話となっていて、
それ以降、この教科書用に作られた話が、
広く一般に定着していったというのが実際のようです。


ところで、そうした桃太郎の話と岡山との関わりについて。

吉備津彦の伝説が、その原型と考えられているということが、
もちろん、あるわけですが、でも、それだけではなく、
桃太郎=岡山というイメージが、ここまで、定着しているということの背景には、
岡山県自体の宣伝活動ということもあったようです。

「きびだんご」は、「吉備団子」。岡山県は桃の産地。
明治期、こうしたことを全県あげてPRを行い、
観光資源につなげていこうとした努力が、その陰にはあったのだそうです。


さて、それでは、もう一度、話を戻して、
桃太郎の原型となったといわれている、吉備津彦の伝説とはどういうものなのかについて、
ご紹介しましょう。

今の桃太郎の話とは、もちろん、大幅に内容が違うのですが、
それでも、そこには、古代神話の世界が広がっていて、逆に、味わい深くもあります。


>> 吉備津彦のウラ退治伝説


むかしむかし、吉備国に異国より空をとんでやってきた者がいたそうです。

その名をウラ(温羅)という、恐ろしい顔をした荒々しい男で、
やがて、鬼の城(きのじょう)と呼ばれる城を築き、
そこから、都へ向かう船や婦女子を襲うようになりました。

都の朝廷もこれを討伐しようと兵を送るのですが、それでも、
変幻自在の術を使うウラのことを誰も討伐できないままにいました。

そこで、ついに朝廷は、武勇の誉れ高い吉備津彦を派遣することにします。
吉備国に着いた吉備津彦は、陣を敷いて、戦いの準備を始めました。

やがて、ウラと吉備津彦の戦いが始まるのですが、
ここで、さすがの吉備津彦も苦戦を強いられることになります。

ウラが投げる石つぶて。
吉備津彦が矢を放っても、ウラの投げる石により、
ことごとく、これが空中で打ち落とされてしまいます。

そこで、吉備津彦は、一度に二矢を射ることができる強弓を作ることを考えました。
これが功を奏して、ついに、一本の矢が、みごとウラの左目に突き刺さります。

ウラは、たまらず、雉に姿を変えて、山中に逃げこみますが、
対して吉備津彦は、鷹となって追いかけます。
追い詰められたウラは、左目から流れ出す血で血吸川という川を造りだし、
今度は鯉に姿を変えて、川に逃げ込みます。
これに対して吉備津彦は、鵜に変身。
血吸川を逃げるウラを見つけ、ついに捕まえることが出来ました。

勝利した吉備津彦、ウラの首をはねて、これを曝します。

しかし、死してもなお、ウラは抵抗を続けました。
大きな声で、なおも唸り声を上げ続けるのです。

これに、困り果てた吉備津彦。

しかし、そうした中で、ある夜、ウラが吉備津彦の夢枕に現れます。

『吾が妻、阿曽媛をしてミコトの釜殿の御饌を炊がめよ。
もし世の中に事あり、竃の前に参り給はば、幸有れば裕に鳴り、禍有れば荒らかに鳴ろう。
ミコトは世を捨て、後は霊神として現れ給え。われは一の使者となって四民に賞罰を加えん』

と、ウラは告げます。
吉備津彦が、そのお告げの通りにすることで、
やっと唸り声も治まり、吉備に平和が訪れたのでした。


>>


以上が、吉備津彦伝説の概要。

この話に出てくるミコトの釡殿というのが、
吉備津神社に今も伝わる「御釜殿」であり、
そこで行われている「鳴釡神事」の由来であるとされています。



御釡殿



岡山には、他にも、この伝説の舞台となった場所が、いくつも残されているのだそうです。

ウラが築いたとされる「鬼の城」と呼ばれる石積が残っていたり、
吉備津彦が射た矢と、ウラが投げた石が空中で衝突し落ちた所とされる場所には
「矢喰宮」という神社があります。
ウラが、流れ出す血から造りだしたという「血吸川」が、その近くを流れていて、
さらに、鯉となって逃げるウラを捕まえた、その場所には「鯉喰神社」が建てられているとのこと。

伝説の話に登場してくる、様々な場所が、実在しているというのも凄いですね。

吉備のこの周辺は、古代、大和王権に対抗していたとされる吉備王朝があったところでもあり、
なかなかに、ロマンを感じさせる場所でもあると思います。

この記事を書いていると、なおのこと、一層の興味が湧いてきました。
吉備のこの周辺は、いつの日か、一度訪ねてみたいものだと思っています。






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最終更新日  2012年01月08日 23時00分54秒
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ウラが空を飛んできたというのは・・   ハッピーフューチャリスト さん
UHOだったりして・・とか考えると面白いですね。

伝説だと分かって居ても、、
こういうお話しにはロマンと人間の営みとが含まれていて、
大好きです。
桃太郎伝説もあちこちの地方でそれなりに似たようなお話があると言うのも思白いですね。

岡山の人たちの宣伝効果で、私はきび団子が好きなのですね。
だから、、
桃太郎と言えば、岡山の図式にまんまと嵌っています(笑)

(2012年01月09日 10時36分04秒)

Re:ウラが空を飛んできたというのは・・(01/08)   gundayuu さん
ハッピーフューチャリストさん
こんばんわ~

>UHOだったりして・・とか考えると面白いですね。
>伝説だと分かって居ても、、
こういうお話しにはロマンと人間の営みとが含まれていて、大好きです。

そんなはずはないやろと、突っ込みたくもなることろですが、
ここまで、荒唐無稽な話だと、逆に感心してしまいますね。
色々な想像が広がったりもしますね。

>桃太郎伝説もあちこちの地方でそれなりに似たようなお話があると言うのも思白いですね。
>岡山の人たちの宣伝効果で、私はきび団子が好きなのですね。
>だから、、
>桃太郎と言えば、岡山の図式にまんまと嵌っています(笑)

この伝説にゆかりの地というのは、もちろん作り物などではなくて、
そうした伝承がずっと伝えられてきているということですけど。
今では、桃太郎といえば、岡山以外はイメージが湧きませんね。
吉備団子も美味しいですし、私も大好きです!
(2012年01月09日 18時06分53秒)

Re:桃太郎伝説について   FC司馬 さん
私も昨年の5月に訪れました。
残念なことに釜御殿は見れない日でした(金曜日だったかな)
回廊の雰囲気がとても好きでして。

鬼の城にも行きました。
ここで生活するには厳しいと感じました。
追い詰められた民族がやむを得ず拠点にして、吉備津彦と争っていたのでは?
そんなことを考えたのを思い出しました。

秀吉が攻めた高松城もすぐ近くにあり、実際に秀吉と安国寺恵瓊が会談したといいます(秀吉の枷の受け売りです)


(2012年01月10日 22時07分55秒)

とりあえず何でも桃太郎   楊ぱち さん
gundayuuさん、おこんばんは。
岡山駅東口から城下まで続く「桃太郎大通り」。
国産ジーンズ発祥地、岡山県児島の「桃太郎ジーンズ」。
岡山市の夏祭りといえば「おかやま桃太郎まつり」。
県のマスコットキャラクター「ももっち」などなど、岡山県民は日々桃太郎にまみれて生活しております。
でも吉備津彦の話は、昔どこかで聞いたことがあるような気がする…ぐらいの感じで、ほとんど知りませんでした。
吉備路(桃太郎伝説地)には古墳やら国分寺・国分尼寺跡やらもあり、ちょっと古代ロマンを掻き立てられます。

いつかまた機会がありましたら、吉備路においでんせぇ(^^) (2012年01月11日 19時13分58秒)

Re:桃太郎伝説について(01/08)   picchuko さん
鬼が島のある香川県からpicchukoで~す!^^
岡山が桃太郎でPRしているのに対し、ここ最近 香川も「うどん県」として頑張ってます。
お隣の丸亀市は「うどん県 骨付き鶏市」として売り出すみたいだし。(爆)

桃太郎伝説も発想が大胆で面白いですね。
私は桃太郎=岡山の図式が出来上がっていますけど、日本各地に伝説があるんだ~。
じゃぁ、鬼が島も香川だけじゃないんだね。。。(残念!)
そうそう、高松市には鬼無(きなし)という地名も残っています。(桃太郎が退治しちゃったから、鬼がいないの~。笑)盆栽で有名なところです。
そうそう、浦島太郎も香川に伝説があるんですが、こちらも日本中にあるんですよね~。
ということは、日本人の発想ってどこも似てるのかな??? (2012年01月11日 20時02分47秒)

Re[1]:桃太郎伝説について(01/08)   gundayuu さん
FC司馬さん
おはようございます。
お元気にされていますか?

>私も昨年の5月に訪れました。
残念なことに釜御殿は見れない日でした(金曜日だったかな)
回廊の雰囲気がとても好きでして。
>鬼の城にも行きました。
ここで生活するには厳しいと感じました。
追い詰められた民族がやむを得ず拠点にして、吉備津彦と争っていたのでは?
>そんなことを考えたのを思い出しました。


御釜殿や鬼の城にも行かれたんですか、さすが、FC司馬さんはどの時代も守備範囲が広いですね。
吉備津神社の回廊は、風情があってとても良かったですね。


>秀吉が攻めた高松城もすぐ近くにあり、実際に秀吉と安国寺恵瓊が会談したといいます(秀吉の枷の受け売りです)


備中高松城も近くにあるのは知っていましたが、少し遠いですけど備中松山城も行ってみたい所です。 (2012年01月15日 08時51分26秒)

Re:とりあえず何でも桃太郎(01/08)   gundayuu さん
楊ぱちさん
おはようございます。

>岡山駅東口から城下まで続く「桃太郎大通り」。
>国産ジーンズ発祥地、岡山県児島の「桃太郎ジーンズ」。
>岡山市の夏祭りといえば「おかやま桃太郎まつり」。
>県のマスコットキャラクター「ももっち」などなど、岡山県民は日々桃太郎にまみれて生活しております。

「桃太郎」が冠されたものが、確かによく目について、さすが桃太郎の町という感じはしましたね。
「桃太郎大通り」は、何度か行ったり来たりしました。

>でも吉備津彦の話は、昔どこかで聞いたことがあるような気がする…ぐらいの感じで、ほとんど知りませんでした。

そうなんですか。
でも、、逆に地元は身近か過ぎて関心が低いということはありますね。
とは言っても、小学校の時の郷土教育などでは、きっと取り上げているのだろうとは思いますが。

>吉備路(桃太郎伝説地)には古墳やら国分寺・国分尼寺跡やらもあり、ちょっと古代ロマンを掻き立てられます。
>いつかまた機会がありましたら、吉備路においでんせぇ(^^)

ええ、岡山・吉備路には色々と興味深いところがあると思っています。
ぜひ、一度、行ってみたいですね。
(2012年01月15日 08時55分10秒)

Re[1]:桃太郎伝説について(01/08)   gundayuu さん
picchukoさん
おはようございます。

>岡山が桃太郎でPRしているのに対し、ここ最近 香川も「うどん県」として頑張ってます。
>お隣の丸亀市は「うどん県 骨付き鶏市」として売り出すみたいだし。(爆)

「うどん県 骨付き鶏市」とは、面白い売り出し方ですね。
私は、picchukoさんに教えてもらうまで、骨付き鶏って知らなかったのですが、確かに本当に美味しかったですね。

>桃太郎伝説も発想が大胆で面白いですね。
>私は桃太郎=岡山の図式が出来上がっていますけど、日本各地に伝説があるんだ~。
>じゃぁ、鬼が島も香川だけじゃないんだね。。。(残念!)
>そうそう、高松市には鬼無(きなし)という地名も残っています。(桃太郎が退治しちゃったから、鬼がいないの~。笑)盆栽で有名なところです。

そうなんですよね。
香川も桃太郎伝説が多く残っているところなんです。
ただ、こちらの桃太郎のモデルは吉備津彦命ではなくて、その弟の稚武彦命みたいですね。
高松の田村神社というところも、この桃太郎伝説に由来のある場所で、今は桃太郎像が建てられているそうです。

>そうそう、浦島太郎も香川に伝説があるんですが、こちらも日本中にあるんですよね~。
>ということは、日本人の発想ってどこも似てるのかな???

浦島太郎伝説も全国的なようですね。
各地の浦島太郎伝説を取材していたジャーナリストが、次々と事件に巻き込まれていくという松本清張の小説があったのを思い出します。
同じような話が、全国に伝わっている・・。
日本人の源流となった民族(海洋民とか)が持っていた民話があって、彼らが日本各地に散っていったのではというのが私見です。
(2012年01月15日 09時00分27秒)

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