「論語の人間学 人間と知恵とを語り尽くす」 【守屋洋】
論語の人間学 人間と知恵とを語り尽くす(著者:守屋洋|出版社:プレジデント社) 論語の解説書といえば解説書なのだが、出版元がプレジデント社であることからも分かるように、サラリーマン向けの本なのである。 普通の論語入門書ではあるのだが、論語の中から、サラリーマン社会に役に立ちそうなものを選び、現代社会にもこういう点はそのまま通用するのではないか、と説くという面がある。 例えば、「子曰、不在其位、不謀其政。」を解釈した後で、「たとえば課長のポストにあるときは……」と説く。 参考にした書籍の中に宮崎市定『論語の新研究』があり、論語にひんぱんに現れる「君子は」という文は、「諸君はこうしてほしい」という意味だという解説もあるが、基本的には、伝統的な解釈にのっとっている。 論語の、さわりだけ読むにはちょうどいい本だ。