超低金利時代を考える!(「論壇」寄稿を受けて)☆彡
静岡新聞朝刊(2019年5月11日)の「論壇」に学習院大学教授(国際経済学)伊藤元重氏の寄稿が掲載されていました。 <論壇寄稿内容(抜粋)> 『大学1年生に経済学の基礎を教えるときに、最も重要な項目として取り上げるのが金利(利子率)だ。預金の金利、住宅ローンの金利など、金利についてはなじみのあるものではあるが、それでも案外説明が難しいものだ。金利の代表的な指標としてよく取り上げられるのが、10年物の国債の利回りだ。長期金利とも呼ばれる。多くの金利はこの長期金利と連動して動く。長期金利であるが、平成のはじめには6%を超える水準にあった。それが現在は0%下回るマイナスの水準である。この30年間に随分と金利が下がったものだ。筆者が若いころ銀行から借りた住宅ローンの金利は7%を超えるような水準にあったが現在では、10年固定金利でも1%前後で借りることが出来る。 利払いの負担が少ないので、住宅ローンの返済が少ないので、住宅ローンの返済の大半は元金の返済に回すことができる。それだけ住宅が購入しやすくなった。結果として、社会全体として住宅に対する需要が増えてくる。これが住宅価格を引き上げる結果なる。金利が低い状態が続くと、不動産価格や株価が高くなって、それがバブルになる危険もあるということだ。 今後の金利は、当分上がらないとする予想する人が多い。この30年ほど金利はずっと下がっている。それだけ経済の基調が弱いということだ。問題は超低金利の状態が株価や不動産価格を異常に引き上げているかもしれない。日本ではまだそうした状態になっていないという見方もある。しかし、世界的にはそうした懸念がでており、それが最近の国際金融情勢を見る上での重要なポイントになっている。』 <低金利時代とは> 学生時代に経済学・金融経済学等を学びましたが、ほとんど記憶に残っていない全くの素人ですが、伊藤教授のご高説を踏まえ、「金利」等について、忌憚のないところでお話をさせていただきたいと思います。低金利時代というのは全くその通りですが、お金を借りるコストがかからないというのは、お金の需要をを増やす意味合いがあることは分かりますが、借りやすい状態が続くのは本当によいのかどうかよくわかりません。お金を調達するコストもタダみたいな金利、いわばタダ同然で調達し、ほんの少し利益をのせお金を貸すということです。伊藤教授の言われますように、この金利では、経済的にもこれ以上の刺激策はあるのでしょうか。みずほ「銀行」を例にあげますと、普通預金金利0.001%、定期預金金利でも、0.01%(1年)です。預けている保全的意味はあるものの、利殖にはまったくなりません。ところが、ATMで預け入れをしたり、引き出しをしたりすると手数料がかかります。銀行預金利息は増えるどころか100万円を1年預けても10円です。手数料は108円から216円かかります。通常の感覚ですと、1回のATMのお金の出し入れの方がよっぽどお金がかかるというのは、なかなか納得がいかないところもありますね。 自分の若いころですが、年の金利が7%という時代がありました。当時は退職金仮に1,000万円としたら、それを運用すれば1年間で70万円の利息がついた時代で、老後の資金の一部にもなった時代でした。当時、家を建てましたが、住宅金融公庫、厚生年金転貸融資などは5.2%から5.5%で当時としては安い金利でしたが、元金がなかなか減らないで苦労しました。一生懸命老後や万が一のための貯めたお年寄りが、お金が増えるのではなく減ることもあるというのはどう考えても理解がしにくいところです。 <国・世界を動かしているお金> 世の中お金のある方々のお金の使い方はいろいろと複雑で、世界中の資金が世界中を巡っている現状では、経済全体を一言で説明することが難しくなっていることと思います。日本にあるお金は日銀、銀行、企業、大手の基金、投資顧問会社、個人投資家以外にも、外国の資本・資金がいろいろなルートを通じて、会社や土地建物などの不動産、株式、貴金属などに幅広く投資・運用されているようです。個人の投資規模はしょせん知れていますので、市場の価格は「大手のお金」の動き次第で大きく変動するのですね。 <うまい儲け話などない> そういう中で、一市民、一個人として今あるわずかな「お金」の運用先を求めていくのですが、うまい話などは絶対ありませんね。今の世の中、地道に考えないと、財産を失いかねません。一面大変怖い世の中です。資産家は別ですが、一般家庭では、銀行預金は残念ながら全く増えないので、預金から資金運用にシフトしてきています。①投資信託、②株式(NISA含む)、③貴金属投資、④マンション投資、⑤不動産投資などが考えられますが、リスクがないわけではありませんから、たんす預金の方がいいという方もありますね。どうしたらよいのかわたしには、わかりませんが言えるのはすべて「自己責任」となりますから、慎重に、あまり欲をかかずに過ごしていきたいものです。 ~あとがき~ 日本政府の巨大な借金はどうなるのか気になるところです。最近、政府の借金は問題がない、インフレにならないように通貨の発行量を増やせばよいというような楽観的な論調を目にすることがあります。ギリシャの例にしても、国の破綻は起こりうることとして受け止めないと大変なことになりかねないと思います。借金は借金で、手品みたいな奇策はあり得ない話ではないでしょうか。地道に支出を減らして、借金を減らしていく、そのためには我慢するところは我慢しないといけないのではないでしょうか。国と家計と一緒にしては不適切かもしれませんが、難しい話はできるだけ簡単に例えて理解すべきではないかとも思います。お金がないの、いろいろなところから借金を重ねているのにそれでもなお、どんどんお金を使う家庭でしたら破綻してしまいます。「借りたお金は返すのはあたりまえです」だと思いますが、いかがでしょうか。 「老子」33章に「足るを知る者は富む」があります。みずからの分(ぶん)をわきまえて、それ以上のものを求めないこと。分相応のところで満足すること。ということのようです。「知足」という言葉には考えさせられます。 以上