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カテゴリ:読書
天童荒太氏の作品は、「永遠の仔」の時からずっと気になっていた。
しかし図書館でその本を手に取ってみても、 作品の分量と内容の両方の重みに気持ちも何となく重くなり、 今まで読んではいなかった。 「家族狩り」が出たときもそうだった。 この題名自体にすでに気が重くなり、 現実の様々な事件のニュースを見ているだけで充分だという気がしてしまった。 しかし、10日ほど前に図書館に行くと、 「家族狩り」を文庫本化するために新たに書き下ろしたという、 「幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉」(新潮文庫)が目に留まり、 「祈り」という言葉に救われたような気がして手に取った。 そして、文庫本であれば持ち歩きやすいし読みやすいと思い、 ついでに一緒に並んでいた「遭難者の夢(第二部)」「贈られた手(第三部)」も借りてきた。 さて、結局は読み始めたら引き込まれて一気に読んでしまった。 内容は想像通りでとても重く、 手離しで「面白い」と言うことには戸惑いがあるけれど、 色々なことを綿密に調べて思いを込めて書いた作品であることは間違いがない。 虐待や家庭の問題が軸になっているが、社会や広く国際的な背景にもメスを入れていて、 これらの問題を見据える視点にはとても共感を覚えた。 第四部「巡礼者たち」も早く読みたいのだけれど、 残念ながら貸し出し中であり、リクエストして待っている人もいるようだ。 第五部はまだ発行されていないようだが、結末がとても気になる。 その間に、「家族狩り」を読んでおこうかと思っている。 【補記】上の文章を書いてからネットを探したら、天童荒太さんの見た光というのがありました。 彼自身の言葉が紹介されていますので、興味のある人はご覧下さい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2004年05月26日 11時24分55秒
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