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カテゴリ:読書
図書館の「新刊本コーナー」で見つけた本。
「恥さらし 北海道警悪徳刑事の告白」稲葉圭昭/著、講談社 この事件は、現職刑事が覚醒剤や拳銃の密輸や覚せい剤使用に関わっていたというショッキングな事件で、私にも記憶にある。 このニュースが流れた時には、警察ぐるみの事件のようにも思った記憶があるが、 時間の経過とともに記憶のかなたになっていた。 ただ、この事件の後に北海道警察の組織ぐるみの裏金作りが内部告発され、 警察組織がかなり腐っているという印象を抱くことになった事件でもあった。 そんな印象を抱いたまま、その後の色々な公務員や官僚がらみの不祥事などを見るにつけ、 警察のみならず、公僕と言われる職業の組織や、 そこに所属する個人の倫理観は絶望的だと思うことが多くなっている。 だから、この本を読んでも「やっぱり…」という気持ちも強いのだが、 「エエーッ! そこまで!!」という衝撃も強かった。 一番ショックだったのは、銃の摘発や覚醒剤の密輸も、 警察と税関の「やらせ」か「自作自演」であったことや、 それが一部のどうしようもない警官達の手柄目当ての仕業ではなく、 警察組織ぐるみのものであったということである。 このことについて、下記の記事を見つけたのでご参照を。 覚醒剤130キロの密輸を意図的に見逃した!? 元刑事が語った北海道警の闇 覚醒剤密輸が警察の手引きで行われていたとしたら、 現在、薬物汚染が日本中に蔓延している原因の一端が、警察組織にあったということになる。 もう、どうなっているんだ!!! この本を読んだ感想をもう一つ付け加えれば、 著者の稲葉氏は刑期を終えて出所しこの本を出版したわけだが、 彼は当然自分の罪を反省していることは間違いはないけれど、 現職当時には完全に罪の意識が麻痺していたということの怖さである。 まじめで仕事熱心、組織に忠誠を誓うタイプは、このような「思考停止状態」で、 命じられるままに評価されることを目的に、仕事として頑張ってしまう。 これは、「オウム事件」の死刑囚(麻原を除く)達と同じであろう。 そして実は、自分で考え、自分の良心に問うて自分で判断することをしないようにさせたのは、 他でもない、日本の教育の成果ともいえるのだ。 そのことに、私達は真剣に向き合う必要があるのではないか。 多少の救いは、最後に解説を書いている原田宏二氏の存在。 元道警本部長であった彼の告発で、北海道警察の裏金問題が明るみに出た。 稲葉元警部はこの人の下で仕事をしたこともあり、 原田氏自身が自分の責任についても書いている。 彼は現在、 「明るい警察を実現する全国ネットワーク」「市民の目フォーラム北海道」で、 民主的な市民のための警察を目指して活動している。 頑張っていただきたいと心から願っている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011年12月02日 09時58分16秒
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