「大好き!クサイさん」評論社
著者 デイヴィッド・ウォリアムズ (作),クェンティン・ブレイク (絵),久山 太市 (訳)
<商品説明>
路上生活者のクサイさんは、ものすごく、くさかった。そばにいるだけで涙が出るくらい、くさい。でも、クロエはなぜか心ひかれ、ある日、思い切って話しかけて…二人の友情がはじまった…んだけど?
〇著者について
イギリスのコメディアン・俳優・作家。ブリストル大学で演劇を専攻。卒業後、BBCのコメディ番組「リトル・ブリテン」で人気者になる。2008年から児童文学を執筆しはじめ、発表する作品がつぎつぎにベストセラー入りしている。ほかの作品に『ドレスを着た男子』(福音館書店)、『おばあちゃんは大どろぼう?!』(小学館)がある。
児童文学なのだが、新聞で書評が気になり早速図書館から借りた本。
著者はコメディアン・俳優・作家となっていて、そのせいか現代社会の様々な子どもをめぐる課題が
ユーモアとペーソスのなかに描かれている。
児童向けなので、その展開には希望や明るさがあり、人として大切なことは何かを伝えているのだが、
決してハッピーエンド、良かった良かったという単純なものではない。
この本を読みながら、時々札幌に出かけた時に札幌の地下歩行空間で出会う
ホームレスとおぼしき人のことが脳裏に浮かんだ。
人は誰でも、それぞれの人生の道のりの途中として今がある。
何が幸せか不幸かなんて、人には決めることができないし、
幸せになることを拒むような生き方をせずにいられない人もいるだろう。
ただ、子ども時代だけに限っては、子どもは保護者に愛され認められ、
しっかりと抱きしめられることが必要だ。
それがなくては、人としての心を歪められてしまうだろう。
それだけは、古今東西普遍的な真理だと思う。
子どもだけではなく、大人にも読んでもらいたいと思った一冊である。