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カテゴリ:絵本
久しぶりに絵本を手に取ってみたくなり、図書館で借りてきた。
いせひでこさんの絵本は、やはりいいなあ。 「大きな木のような人」いせ ひでこ (著) 内容紹介(出版社より) パリの植物園で、植物学者と少女が出会う。 少女は植物の面白さに目覚め、心に何かが芽生えたことを感じる。 雄大な植物に囲まれた、小さいけれど感動的な出会い──。 ・作/いせひでこさんからのメッセージ パリには2本の樹齢400年のアカシアがある。その一本の大樹のある物語はすでに描いた。もう一本の樹ははじめから植物園で大切にされ、樹齢を重ねていた。私の足が、植物園に向かうようになったのは自然のなりゆきだった。 パリの大きな植物園を訪ねては、目が追いつかないほど、四季折々の樹や花や芽を観察することになった。そんな春のこと、私は自宅裏庭のちっちゃな一角に、生まれて初めてひまわりのタネを蒔いた。朝、昼、夕、毎日芽が出ていないかと庭の土におでこを這わせる姿は、まるでチャペックのにわか『園芸家の一年』みたいだった。(あとがきより抜粋) ・担当者のうちあけ話 カバーや帯の惹句を考えるのはふつう編集者の仕事ですが、この絵本ほど、それが難しいと感じたことはありませんでした。とにかく何を書いても、作品を表現するには物足りない言葉のように感じてしまうのです。 それは、いせひでこという画家が、歩いて、見て、聞いて、嗅いで、触れて、感じて、そして何度も何度も考えたこと、それを筆だけでなく、全身で表現しているからだと思います。 『大きな木のような人』は、独立したひとつの作品ですが、そんな作者ですから、これまで描いてきた作品と深いつながりが生じるのは必然です。『ルリユールおじさん』(理論社)の少女ソフィーが大きくなって、植物学の研究者として登場しているのを見て、私はゾクッとしました。(若) 私が生まれ育った家は、森や木々に囲まれていた。 この絵本をみていると、幼い私が木々のざわめきや集う鳥たちのさえずり、 風雨の時や夕暮れには森が大きな怪物のように揺れて怖かったことなど思い出した。 晴れた日、曇った日、嵐の日、風雪の日、木々に積もる雪が輝いていた朝、 様々な表情を森や木は見せてくれた。 林や森に入っていくと、何だか気持ちが落ち着いて、爽やかな気持ちにもなった。 心の底に眠っていたそんな思いが、美しい水彩画の中から立ち上ってくる。 この本、買おうかな…。 「チェロの木」 内容紹介 森の木を育てていた祖父、楽器職人の父、そして音楽にめざめる少年。おおきな季節のめぐりの中でつらなっていくいのちの詩。 みどころ この物語の主人公となる少年のおじいさんは森の木を育てる仕事、そしてお父さんは木からバイオリンやチェロを作る楽器職人でした。少年は、小さな頃から森の中を歩き、その光や空気を感じ、音に耳を澄ませてきました。そして、家では工房で黙々と仕事をするお父さんを見て育っていったのです。 そんなある日、少年はお父さんの作った楽器を弾くチェリストのパブロさんに出会います。パブロさんは教会の演奏会に少年を招待してくれました。そこで触れたパブロさんの演奏に、チェロの音色に、少年は心を奪われていきます。 パブロさんのバッハの中には、森の風や川の音、小鳥たちのはばたきが見える気がしたのです。そしてそんな風に歌うチェロを作り出したのはお父さんなのです。 やがて季節も移り変わっていき、クリスマスも過ぎた頃、お父さんが誕生日のプレゼントとして作ってくれたのは少年のチェロ!お父さんの手の中で初めて音を出した時、少年は自分がチェロになったような気がして・・・。 季節を通して変化していく森の風景の、息をのむほどの美しさ。少年が小さく佇むその景色に見とれていると、どのページからも何か音色が聞こえてくるような気がしてきます。そして、それは楽器が並ぶお父さんの工房やチェロの演奏のシーンからも聞こえてきます。この絵本の中で少年の成長とともに描かれていくのは、おじいさんからお父さん、お父さんから少年へ、そして森から木、木から楽器、楽器が奏でる音楽へとつらなっていく大きな流れ。その命の詩がチェロの響きとして絵本全体から感じることができるのです。弦楽器の中でも何か特別な音色があると感じるチェロ。作者のいせひでこさんも、13歳の時に出会って以降現在にいたるまでずっと弾き続けられているそうです。阪神淡路大震災の復興支援「1000人のチェロ・コンサート」に参加された体験から生まれた絵本『1000の風 1000のチェロ』の発表以来、十数年の創作のモチーフとされてきた"木と人"を結実させた本作品。チェロの奏でる音楽と、いせさんの描く絵が、ひとつになって心に迫ってくるこの感動を、皆さん是非体験してみてください。 (絵本ナビ編集長 磯崎園子) これも本当に素敵な絵本。 私は音楽には詳しくないけれど、この絵本を読んでいると チェロには、生まれ育ったその木に刻み込まれた自然が奏でる旋律があるのだと思ったりする。 木々を守る人、大切に木を切り出す人、原木から楽器を作る人、作曲をする人、演奏する人、 そしてその音楽を受け止め感動する人。 どれが欠けても私達を感動に導いてくれる音は生まれない。 この本も買っておきたい。 国内外のニュースに心がささくれそうな毎日の中で、この絵本に心が洗われたような気がした。 考えてみたら、この絵本ももともとは森の木々だった。 私達はどれほど森や木々のおかげで命を守られているのか計り知れない。 、 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023年11月30日 09時08分54秒
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