スマートフォンに切り替えて1年半、空き時間を埋めるツールとして活躍してきましたが、最近少しずつ風向きが変わりつつあります。これまではlineのゲームやyoutube、ニュース閲覧などが主なお相手でした。しかしながら、電車内や役所の待合室では誰も彼もがスマホに興じている姿を見ていると、天邪鬼の私としてはそれを控えようと考え、かつてのように読書をすることにしたのでした。思えば学生の頃からほんの数年前まではウォークマン(途中からiPod)で好きな音楽を聴きながら読書をするのが私の定番の空き時間の過ごし方でした。例えば電車内で名曲に心が震えた時、名作に考えさせられた時、降車して目的地までの足どりがいつもと違い、浮遊感の中で歩を進めたものでした。前述のようにスマホに浸食されていた頃はそういった心の動きはなく、無味乾燥なものです。
そんな気持ちを味わおうと、久々に読書を再開したのですが、巷で普及しつつある電子書籍を使おうとはあまり思いません。慣れの問題で食わず嫌いなのかもしれませんが、書店に足を運び、おもしろそうな本を選ぶ行為自体が楽しいのです。背表紙の解説を参考に絞り込んでいき、複数で迷う時は、全部買ってしまい、積ん読となることもしばしば、買ってから数年後に読むことも珍しくありません。それに私の好む本が著名な作品ばかりとは限らず、電子化されていないものもまだまだありそうです。最近読んだ小説は村上龍の「共生虫」、遠藤周作の「海と毒薬」、今読み進めているのはアラン・シリトーの「長距離走者の孤独」…まだまだストックがありますので、この楽しみはしばらく続きそうですね。