カテゴリ:プレバト俳句を添削ごと査定?!
老犬や腹見せ眠る薄暑光 五月晴れ肉球あつし初散歩 ソーダ水結露が染みる珪藻土 初口上頭垂れ見る若楓 帰省して貼られたままの犬シール 夕立晴モップのごと微睡む まろび来る仔犬に夏の陽の香り
プレバト俳句。 お題は「待て」。 ◇ 三田寛子。 初口上 頭垂れ見る若楓わかかえで 若楓 初口上の健気な手(添削後) 原句は「子役」だけを描写しているので、 本来なら切れを入れずに、ワンカットにすべき内容です。 添削では、 「子供の手が若楓のようだ」という比喩を排除して、 あえて「若楓」と「子役」のツーカットにしています。 はたして「若楓」と「初口上」の二語だけで、 子供が座っている姿を想像させられるかは微妙ですが、 たとえば、 座礼にて初口上や 若楓 のようなやり方もあるかもしれません。 ◇ 蛙亭イワクラ。 ソーダ水 結露が染みる珪藻土 待てできぬ仔犬とソーダ水の結露(添削後) 原句が「ソーダ水の結露」の描写であれば、 やはり本来はワンカットにまとめるべき内容です。 かりに、 ソーダ水 結露に湿る珪藻土 とすれば、 コップの「内側」と「外側」でカットを分けられる気もするけど、 取り合わせとしては近すぎますね。 むしろ添削のほうが、 待てできぬ仔犬 ソーダ水の結露 と17音のツーカットにすべきかもしれません。 ◇ 的場浩司。 老犬や 腹見せ眠る薄暑光 老犬は眠る 薄暑の腹さらし(添削後) 内容的には「老犬」と「薄暑光」のツーカットなので、 原句のままでは、切れの位置がおかしい。 たとえば、 腹を見せ眠る老犬 薄暑光 としてツーカットに分けるか、 それとも、いっそ、 老犬が腹見せ眠る薄暑光 とワンカットにまとめてしまうか。 添削では倒置法のワンカットにしていますね。 ちなみに、 なぜ添削では助詞の「は」を使ったのでしょうか? それについての説明がありませんでした。 本来、比較するものがなければ「が」or「の」にすべきですが。 ◇ 梅沢富美男。 まろび来る仔犬に夏の陽の香り まろび来る仔犬は夏の藁の香よ(添削後) 内容がやや平凡でしたね。 添削句は「藁」を用いてオリジナリティを加えています。 なお、 この添削でも助詞の「は」を使っていますが、 やはり比較するものが無いのなら、 原句のまま「に」を用いるべきだろうと思います。 ◇ 小池美波。 五月晴れ 肉球あつし 初散歩 肉球のあつし 五月晴れの散歩(添削後) 三段切れ。 中七の「あつし」が「厚し/熱し」の二通りに読める。 一方、 添削句でも漢字を使っていないので、 やっぱり「あつし」が二通りに読めてしまうし、 そもそも散歩してるのが犬か猫か人間か分かりません。 「散歩から帰ってきた猫」とも誤読できるし、 「猫を抱きながら散歩してる人間」とも誤読できます。 ためしに、 飼い犬の肉球ほてる五月晴れ としてみました。 ◇ 千原ジュニア。 帰省して貼られたままの犬シール(「犬」は〇で囲んだマーク) 本来なら、季語を肯定的に用いて、 上五で「帰省せり」と切るべきところを、 あえて季語にマイナスの気分を込めた点が評価されました。 なかなか難しい議論でしたが、 たしかに詩情のある句だと思います。 ◇ キスマイ横尾。 夕立晴ゆだちばれ モップのごと微睡まどろむ犬 夕立晴 モップのような犬微睡む(添削後) 夕立晴 モップのように犬微睡む(添削後) 添削では、 原句の比喩を認めたうえで、 その比喩対象が名詞なのか動詞なのかを明示していますが、 わたしは、そもそも、 モフモフした犬をモップに見立てる比喩が、 さほど詩情に優れているとも思えないし、 むしろ、比喩を排除して、 夕立晴 微睡む犬とモップの柄 としたほうが、かえって詩情が増すように思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.05.30 10:30:06
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