カテゴリ:プレバト俳句を添削ごと査定?!
髪結待つ客へ氷菓を出す母よ 在りし夏選ばなかったフレイバー 稽古後のピノは星形星涼し 風呂上がり火照るばあばとアイスの実 座席五度倒しアイスの蓋剥がす 青い氷菓を海に翳す放課後 ディッシャーを持って無敵な素足の子
プレバト俳句。お題は「アイス売り場」。 ちなみに、 「アイスクリーム」と「氷菓」は一般に別物だと思うけど、 俳句の世界では、後者が前者の訳語として使われるようです。 両者を同義で用いるのは違和感もありますが、 その場合の「氷菓」とは「氷の菓子」ではなく、 いわば「凍ったミルク菓子」みたいな意味なのでしょうか? ◇ 皆藤愛子。 座席五度倒しアイスの蓋剥がす 今週はこれがいちばん良かった。 2つの動詞を連ねた動画的な描写。 ゆっくりした動きと、主人公の表情が見えます。 ささやかな自分だけの時間と空間ですよね。 ◇ IKKO。 髪結待つ客へ氷菓を出す母よ 氷菓出す母よ 髪結待つ客へ(添削後) 前回の「ケーキの苺」の句に続いて、 生活感とリアリティのある内容。 なかなか安定した才能を見せている。 添削は、 上六の字余りを解消する意味はあるだろうけど、 倒置にする効果はそれほど感じられない。 字余りについては、 わざわざ「待つ」と書かなくても、 髪結の客へ氷菓を出す母よ で十分だろうと思うし、 いっそ「母」という凡人ワードも除いて、 髪結の客へ差し出す氷菓子 としただけでも十分に情景は成立すると思う。 ◇ 伊集院光。 在りし夏 選ばなかったフレイバー あの夏の選ばなかったフレイバー(添削後) この句の高評価はちょっと意外…。 全体的に映像喚起力が弱いと思います。 そもそも「フレイバー」と言っただけで、 アイスクリームのことだと理解できるのかが微妙。 おそらく紅茶のことだと考える人が多いだろうし、 料理人なら、さらに多義的な解釈をするだろうと思う。 ちなみに「フレイバーを選ぶ」とGoogleで検索すると、 圧倒的に紅茶の情報のほうが多く出てきます。 まあ、添削句のほうは、 キャッチコピー的な意味でオシャレかもしれませんが…(笑)。 ◇ 酒井藍。 稽古後のピノは星形 星涼し 星形のピノ 稽古後の星涼し(添削後) てっきり「稽古後のピノ」って、 ピナ・バウシュの愛称か何かかと思いましたが、 同じ固有名でも、アイスの商品名なのよね。 人名やアイスだけでなく、 自動車とか、ロボットとか、アニメキャラとか、 いろいろ誤読の危険性が多い固有名だと思います。 型としては出来ているけれど、 「星型」と「星」との取り合わせも面白味が薄いし、 せいぜい、中の上ぐらいの句でしょうか。 ◇ 高城れに。 風呂上がり 火照るばあばとアイスの実 風呂上がり ばあばと私とアイスの実(添削後a) 風呂上がり ばあばとれにとアイスの実(添削後b) 型としてはしっかりまとまっていて、 中七の「火照る」以外はとくに直すべき点も無いし、 最下位とはいえ50点台は取れてるし、 通常回なら2位か3位くらいの凡人句なのでしょうが… やっぱりねえ…これも商品名が引っ掛かる。 てっきり「アイス」と呼ばれる植物があるのかなと思ってしまう。 さらに添削後bは、 「れに」と「アイスの実」って、 さすがに固有名を2つも入れたら意味不明でしょ。 … すでに一般名詞と化している商品名を、 "季語相当" と見なすのも悪くはないと思うけど、 句の主役を商品にするわけでもあるし、 たんなるCMコピーみたいになりかねません。 そして、今回の「ピノ」とか「アイスの実」ってのは、 かりに読み手がジジババじゃなくても、 いろいろと誤読の可能性が高いかなと懸念します。 ◇ キスマイ千賀。 青い氷菓を海に翳す放課後 なにやら嘘っぽくて作為的で嫌いな句だけれど!(笑) まあ、出来としてはとくに異論もありません。 ◇ フルポン村上。 ディッシャーを持って無敵な素足の子 ディッシャーを手に無敵なる日焼の子(添削後) 中七の「持って」は説明臭いので「手に」が正解ですね。 家の中で裸足なのか、 店内でサンダル履きなのか、 …みたいな解釈論争については、 正直なところどっちでもいいし、 原句の「素足」のままでもいいような気はするけど、 たしかに「日焼」のほうが「無敵」と釣り合いがいい、 という先生の理屈も、まあ分かります。 いずれにせよ、 傑出した内容とは思えないのでボツで異論なし! 比喩的表現としての「無敵」も、 近ごろはいろいろと誤解されかねない語彙になってるし、 なかなか積極的な評価がしにくい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.07.18 11:33:31
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