にほんばれ。4 初星。
「ひかりは・会長の好みなんじゃないの?」教室に戻った俺を心配してくれたのか・と思いきや。小町が鋭いことを言い放った。もし、そうだとしたら気持ちが悪いけど。「で。生徒会に入るの?」髪の毛をいじりながら聞いてくる。まるっきり女の子の仕草じゃないの。「入らないよ。」「ふうん。」今に始まったことじゃないけど、そっけない・。俺に興味が無いのかなー・・。あまり深く聞いてくれないし。俺が生徒会に入ったら、ひとりで帰るんだぞ?寂しいんだぞ?・・俺が。あーあ・・。少しは深く聞いてよね。「ひかり。今日の夕ごはん。うちで食べよ。」なんだ?いきなり。やさしいことを言おうとしてくれているのかな!?「え?」期待をこめて聞き返してみた。「母さんがたまには一緒にって言ってたの思い出した。」「あ・ああそう・・。」はー・・と肩の力も抜けた。期待するのが間違いだった。「越野。宮御先輩が呼んでるよ。」近江があわてている。「宮御先輩?って誰?」「会長だよ!ほら、廊下で待ってるよ!」「えーーーー?」ものすごく会いたくない。席を立ちたくない。「ひかり。むくれてる。」小町が俺のほっぺたを 人差し指でぎゅっと押した。ぽふっと・口から空気が抜けた。意外なくらいに小町が俺をじっと見ている。「小町・・?」小町の大きな目が・・近い!いつもより・・近い!ちかいよ?顔がかーーーっと赤くなってしまう・・。耳まで熱い、困った困った。あわてて頬を両手でぱんぱん叩いてみる。「どうした越野?」「なんでもない!」「早く宮御先輩のところへ行けよ。会長待たせるなよ、なんか怖いからさー。」「あ・あ・うん。」「きみは秋田小町くんだね。」げ。ここに来ちゃったんだ・・。「会長・・宮御先輩。なんですか?」「ひかりくん。膳先輩と呼んでくれ。俺のフルネームは宮御 膳 。 会長とか肩のこるような言い方はしなくていい。」「ひかり・・・って呼んでるんですか。」こ・小町?どうした?「きみだけの特権だとでも?秋田小町くん。」宮御・・膳先輩は首をかしげてみせた。細い首をかしげて、なかなかきれいな姿勢だけど・・目が全然笑っていない・・。このひとは怖い。 「そうです。俺の特権です。」 えっ?! 今なんて言った?小町!「小町、関わるなよ。このひとは生徒会長だぞ?」嬉しくて心臓が活魚のように跳ね回りそうなのをこらえて。声が上ずってしまいそうだけど、ここは抑えさせなきゃ・。「秋田小町くん。女の子みたいな容姿の割りに強いね?」 「ひかりは。俺が初恋の相手なんですから。昨日今日会ったようなひとが。 馴れ馴れしくしないでよ。」何だこれはーーーー!?いや。その前に。小町は何て言った?ちょっと・・ちょっとお?「初恋・・相手を間違えたんだね。ひかりくん。」ふふ・・と鼻で笑うなー! 「間違えていないよ。ひかりの ひとめぼれだよ。」 小町ーーーーーー!! お前は何を言い出しているんだ。しかも何だ・その強さは。この最悪な状況は俺の生活を一変させるに違いない。近江がおそるおそる・・尋ねてきた・・。「おい・・越野。これマジ?」「悪い。黙っててくれないか?俺・泣きそうなんだけど。」