ちょっとショックな国語力
ねえねえ、と女子の主任研究員がやって来る。MSDSという、化学薬品についての注意書き(要するに化学合成をしている会社は、その一つ一つの原料や構成成分について危険性や取り扱いの仕方を明示する文章を付けなければならないわけだ)話を私の隣にいるマネージャに聞きに来るわけだ。ところが、話の中で「エキヨウか、ナンヨウか」と言う言葉が出てくる。「それはイヨウじゃないの?」と口を挟んでしまった。彼女は豆鉄砲を食らった鳩みたいな顔で「エキヨウじゃないの?」物が溶けにくいとか溶けやすいで難溶、易溶でしょ?「そうよ」「難易度」ってあるでしょ、あの通りですよ。ここまで話すと納得してくれたが、ばりばりの大卒でちょいキャリアだ。「化学の知識と国語力は違うんだ」と思い知った。試しにワープロで入れてみると、両方とも出てこない。そう言えば、「可溶・不溶」と言う言葉もあるが、この言葉とどう違うのか、明確な答えは聞けなかった。難溶は溶けにくい、易溶は簡単に溶ける、可溶は「溶ける」で不溶は溶けないだろう。化学大辞典を調べても、この4つの言葉の使い分けはあまりよく分からない。「きわめて難溶」などと書いてあったら「ほんの少しなら溶けるのか」とも思う。彼女には2人の男の子がいるそうだが、くれぐれも正確な読みをしてあげて欲しい。大人がきちんと覚えてなかったら子供には正しく伝わらない。 この頃、世代間の会話、語彙が通じないことがあるのはそのあたりが不徹底、いや親の世代が不勉強だからだろうか。