レアアースって何?
尖閣列島問題がこじれて、中国政府が交渉材料に真っ先に輸出制限を掛けているレアアースとはどのような物で、どの位の量を日本では必要として、その内中国のシェアはどの位を占めているのか?また、中国一国の寡占状態にあるレアアースを世界中の他国はどういう対策を打とうとしているのか?などについてまとめてみた。1.レアメタルとレアアースはどう違うのか? レアメタルとは非鉄金属のうち,埋蔵量が少なかったり採取が難しいなどの理由で,生産量や流通量が非常に少ないもののことで、国際的には明確な定義はないが,日本では経済産業省がプラチナやニッケルなど31種類の金属をレアメタルに指定している。 一方、レアアースは 希土類元素(英語ではrare earth elements)は、スカンジウム 21Sc、イットリウム 39Y、ランタン 57La からルテチウム 71Lu までの17元素からなるグループである(元素記号の左下は原子番号)。周期表で表すと、第3族のうち第4周期から第6周期までの元素である。なお、希土類・希土とは、希土類元素の酸化物である。(下図元素の周期律表参照)2.レアアースの用途水素吸蔵合金、二次電池原料、光学ガラス、強力な希土類磁石、蛍光体、研磨材などの材料となる。マグネシウム合金に微量添加することで機械的特性を向上する。 使用後のリサイクルとして、乾溜ガス化燃焼等で有機質を熱分解し、レアアースを回収する方法がある。具体的製品としては、ハイブリッド車(プリウス)1台に約400g、超強力磁石(モーター、携帯電話のバイブレータのような小型で強力な磁石)、ネオジム、サマリウム、ジスプロシウムなどから作られる。他には、液晶ガラス基板研磨剤(セリウム)、蛍光体(テレビ、蛍光灯、LED)(イットリウム)などがある。3.日本の需要量と輸出先品種によって異なるが、ここ数年は全体としてほぼ90%前後が中国からの輸入である。2000 年のIT バブルの崩壊の影響を受け2001 年に一旦落ち込んだものの、その後回復し2006 年は41,955 トンと過去最高記録である2005 年の31,107 トンの初めての3 万トン台から一挙に4 万トン台に達した。前年2005 年までは実需に基づいたものであったが、2006 年の急増は世界主要生産国である中国の2005 年からの政策転換に対応する形で日本の加工メーカーを中心として在庫確保に走った為と思われる。輸入金額も2003 年16,351 百万円(トン当たり単価636 千円)、2004 年20,792 百万円(同777千円)、2005 年24,426 百万円(同785 千円)、2006 年43,096 百万円(同1,027 千円)と着実に増加して来たが2006 年は単価の上昇が顕著である。2006 年は中国の関連国内政策が矢継ぎ早に発表され、既に希土類では委託加工は前年度より禁止されていたが2006 年1 月1 日からは稀土類以外のその他全品目の委託加工も一切禁止とし、更に希土類の輸出税還付を2006 年9月1 日に廃止したばかりか11 月1 日からは逆に希土類の輸出に賦課を行った。既に世界の鉱石生産量(酸化物換算123 千トン)の内の120 千トン(98%)を中国が生産するというほぼ独占状態に入っていたため、この還付税廃止相当額、更には輸出税相当額も価格に上乗せされ海外の買主が負担することとなった。暦年推移は下表参照。 2002 2003 2004 2005 2006 単位はマテリアルトン酸化イットリウム 917 1,235 1,377 1,226 1,603内中国シェア 96% 97% 100% 99% 99%酸化ランタン 1,315 2,240 1,915 1,801 2,141内中国シェア 85% 87% 97% 98% 98%酸化セリウム 4,161 4,241 4,178 6,147 11,489内中国シェア 87% 83% 83% 83% 83%セリウム化合物 6,225 6,609 6,381 7,216 9,069内中国シェア 91% 89% 88% 73% 73%希土類化合物 4,463 4,802 6,230 5,738 7,645内中国シェア 79% 82% 85% 90% 90%希土類金属 4,985 6,119 6,379 8,387 9,460内中国シェア 79% 99% 100% 100% 100%フェロセリウム 505 458 298 592 548内中国シェア 11% 23% 22% 44% 44%合 計 22,571 25,704 26,758 31,107 41,955内中国シェア 88% 88% 90% 88% 88% 出展:財務省貿易統計4.中国の寡占状況対策世界中の消費量の50%以上を占める日本のみならず、中国一国に依存し、占有されていることを危惧している国が、プロジェクト体制で下図のような、発掘開発を展開している。