富士通のコーポレートガバナンス問題
今日の朝刊各紙に富士通前社長であり、野副州旦相談役の解任に関する記事が掲載された。日経ネットから引用すると、ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 富士通は6日、前社長の野副州旦相談役を解任し、昨年9月の社長辞任の理由も変更した。一方、野副氏側は富士通に社長辞任の取り消しを求めるなど両者の意見は食い違ったまま。日本を代表するIT(情報技術)企業の社長経験者解任という異例の事態となり、コーポレートガバナンス(企業統治)のあり方も問われそうだ。 富士通の発表によると、野副氏が主導した事業の一部に風評の好ましくない企業が関与。昨年2月ごろに取締役と監査役が注意し、野副氏は問題を認めて事業から外すと明言した。しかし、その後、その企業の経営者を個人として事業に関与させ続けていたことが判明。9月25日の取締役会の直前、間塚道義会長ら数人の取締役、監査役が、野副氏から改めて事情を聴いた。間塚会長らが「その企業との関係が事実なら社長を解任するが、辞任も受け入れる」と伝えると、野副氏は問題を認めて辞任を選んだという。 一方、野副氏側の弁護士は6日、「辞任しなければ富士通は上場廃止になる、辞任しないなら解任すると迫られた結果で、詐欺か脅迫に当たる」と反論した。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーこの記事は6日に富士通が発表した一部報道についてというプレスリリースを元に書かれている。 2009年2月ごろ、野副氏と長年にわたり親交の深い人物が代表取締役をつとめる企業が、野副氏が推進していたプロジェクトの一部に関与しておりました。当該企業グループについては好ましくない風評があったため、調査いたしましたところ、当社の理念・行動規範である FUJITSU Wayの観点からも、当社が取引等の関係を持つことはふさわしくないとの判断に到りました。この旨を野副氏に対し、取締役、監査役から注意したところ、野副氏もこれを認め、当該企業を当社プロジェクトからはずすと明言しました。しかし、野副氏は、その後も当該企業との関係を継続していることが判明しました。 要するに昨年9月25日に発表した社長交代に関する「代表取締役社長を務めている野副州旦氏が、病気療養のため9月25日に社長および取締役を辞任する旨を伝えたことによる。新社長は代表取締役会長の間塚道義氏が務める。」という野副氏の辞任理由が病気ではなく、社長としての行動規範上適格性に問題があり辞任させたという辞任理由の訂正発表ということだ。 富士通側は勧告したにも拘らず、野副氏が好ましくない風評のある企業と関係を継続していたと判断し、取締役と監査役が事前に取締役会メンバーの過半数の同意を得た上で、2009年9月25日、野副氏に事情聴取と弁明の機会を設けた。この場で野副氏には当該企業との関係が調査結果どおりであれば代表取締役社長を解職すること、しかし野副氏に辞任の意向があればこれを受け入れることが伝えられたという。 一方、野副氏側は、「事前に取締役会メンバーの過半数の同意を得た」としても、取締役会での討議ではなく密室での解職。法的効力がないとする。また、「弁明の機会」についても、解職を討議するのは取締役会であり、そこで弁明の機会を与えられなければ意味がないとしている。野副氏は事情聴取の場で、辞任しなければ会社が上場廃止になると解職を迫られた。当該企業の風評が事実だった場合、富士通に多大なリスクが発生するという点が争点になった模様で、野副氏はその場で辞任を受諾。その結果、取締役会に参加する資格を失い、続いて開催される定例の取締役会に参加することができなかった。野副氏側はこの解職の手続き自体に大いに問題があるとしている。また、野副氏の辞任理由とされた「病気療養」について、富士通は「野副氏自身が体調を崩していた事実もあったことから」と撤回はしなかっが、野副氏側は辞任後、通院していたことは認めている。しかし、通院は富士通が指示したものとされ、また病院では肩こり解消のために針をやっていた程度。いわゆる「治療」ではなく、病名も診断書も存在しないという。 野副氏は 1980年代、富士通が米IBMと特許をめぐって争った際、ワシントンで積極的なロビー活動を展開し、さらに、米半導体メーカーの旧フェアチャイルドの買収を画策し、結果的に頓挫したときにも実務担当者として働いた。秋草元会長が社長時代の2001年、富士通傘下のインターネットプロバイダー、ニフティをソニーに売却しようとした際にもその交渉役も担った辣腕の黒衣的人物で、社長就任の2008年に異例の人事と報道されていた。 しかし、社長就任後の野副氏は、ソフト・サービス部門の経験もないまま乗り込んで再建を図り、当時採算割れが多かったサービス事業で厳密な契約を結び、採算を月次で把握できる仕組みを導入、赤字プロジェクトの撲滅を成し遂げた。部門内では「ゲシュタポ」と呼ばれることもあったが、気がつけば「年間2千億円の営業利益をコンスタントに上げられる体制にした」のである。自らを「根なし草」と卑下しながら、常に大局を見据えて仕事をしてきた。ITバブル崩壊後、「明日こそ倒産か」と噂された富士通で、社内に体質改善を訴え続け、健康体に戻した。 証券取引 上、虚偽の発表は株価下落の一因にもなり、コーポレートガバナンス的に一流企業とは言えない恥ずべき行為だ。 http://tweetbuzz.jp/entry/13353160/japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000056020,20409941,00.htmhttp://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000056020,20409941,00.htm