医者との相性
30年以上も慢性膵炎と共生している。急性膵炎で入院して以来、治療も続けていないが、急激に悪化することもない。一病息災といった感じで、脂っこいものを食べ過ぎたり、食生活が不順になり疲れが溜まってくると左上腹部が痛み始める。慣れたもので、そうなると軽く絶食したり、1、2日間ほど粥食にして休養したり、脂肪分の制限をすると2、3日のうちに軽減してしまうので、自分なりにうまく共生しているつもりだった。 今回は週半ばから痛みが出始めてなかなか軽減しないので、近くの診療所で受診した。血液検査くらいはして、少し薬を貰ってくればよいと軽く考えていたのだ。これまでの経緯と症状を訴え、まだ触診もしないうちに「今日は何も食べていませんか?」と聞かれ、「はい」と答えたら、すかさず「偶然に今日は他の患者さんの検査もありませんので、これから胃カメラの検査をします」と言われた。心の準備ができていないので、「今日でなくてはいけませんか?」と聞くと、「ただの腹痛だけなら医者が診なくても、薬局で薬を買えばいいじゃないですか」と言う。よほど、このまま帰ろうかと思ったが、断る勇気のない私は否応もなく従うしかなかった。看護師さん達も気の毒そうな顔をしていた。月末なので検査をして収入を増やそうとしているのだと思いつつ、一番苦手で苦しい検査を受けた。しかも、保険証を忘れていき、現金支払いをしたので2万5千円近くもかかった。トホホである。 こんなことなら遠くても今までの経緯を熟知し、私の意向をきいてくれる知り合いの医者にかかるべきだった。私はどんな病気になっても、痛みなどの苦痛は軽減してもらいたいが、積極的な治療(それに伴う検査も)は受けたくない。できるだけ、入院もしないで普通に家で暮らし続けたいのである。先進医療などもっての外。苦痛の軽減さえしてくれれば必要最小限の医療を受けて死にたい。有無を言わせずに、自分の治療方針(消化器専門医)に従わせる医者は好きじゃない。さらに自分ができない検査をするために他の病院を紹介し、3日後には行かなければならない。一連の検査が済み、検査結果を聞いたら、この診療所には来ない。医療費が増え続ける原因の多くは医者のさじ加減かもしれない。患者の治療方針があっていいはずだし、それをきいてくれる医者がいてほしい。