頑なな自分
前回のブログで歳を重ねるとともに経験や苦労を重ねて度量が大きくなり、いわゆる人格者というものになれるのだろうかと書いたが、自分自身を振り返ってみるとそれがどんなに難しいものであるかがわかってきた。かわいい年寄りとか人格者になろうなんて端から思ってもいないが、できるだけ穏やかで周りの人に嫌われない年寄りになろうとは心がけている。 ところが、最近気づいたのだが、人に対して警戒心が強くなったというか、心を許さないようになってきている。若い頃は何事に対しても好奇心旺盛で、仕事をはじめとする周りの人、特に初対面の人に対してすごく関心を持っていた。仕事の面だけでなくその人が自分の人生にどんな影響を及ぼすのか、どのような位置づけになるのだろうかと思うだけでわくわくしていた。第一線の仕事を終えて田舎に引っ越してきてからも、ジャム作りを始めたので新しい世界が広がり、人との関わり合いは刺激的だった。 コロナ禍もあり、年とともに人との交流が少なくなってきたのは自然なことではあるが、だんだんと人と関りあいを持つことが億劫に感じられてきている。先日、地域の社会福祉協議会の肝いりで、高齢者向けのマージャン教室が開催されるのでぜひ参加してほしいと誘われた。4年ほど前に近くの公民館で開催されていた時に1回だけ参加したことがあったが、その後はコロナ禍のため継続中止になったらしい。 せっかくのお誘いなので久しぶりに参加してみた。初めての場所と馴染みのない場所と知り合いがいなかったため結構緊張していたが、ゲームは始まった。私自身は家族マージャンが主で、自宅か娘の家で楽しむだけで点数さえも数えられない程度の腕前なのだが、その日はどういう訳か配牌も積もってくる牌も絶好調で、3回のうち2回は独り勝ち、あとの1回は2位だった。「強いなぁ」とおだてられ、「いやいビキナーズラックですよ」と笑ってごまかしたが、へとへとに疲れてしまった。午後1時から4時30分まで、休憩もなくゲームは続けられた。知った人のいない初めての場所、知らない人相手のゲームの緊張感で終わった時は立てないくらいだった。そのあとは会場の片付けと掃除をし、「次回は2週間後ですので、必ず参加してください」と誘われたが、とっさに「その日は歯医者の予約がありますので」と即座に断ってしまった。こんなに疲れるのなら楽しめないというか、その場になじめるような気がしないというか、もう一度参加しようという気持ちの余裕がない。自分が思っているよりも頑なな自分の気持ちに自分で驚いている。先が思いやられる?