みんなどこへ行ったのだろう
我が家の近くにある桂橋を渡った場所に高齢者デイサービスセンターができたのが8年くらい前だろうか。高齢化の著しい地域ではあるが、まだ近所のお年寄りは元気だったので利用者はいるのだろうかと思っていた。それでも送迎の自動車が2台でフル稼働していて、通りすがりに窓から利用者がゲームをしている様子が見えたり、カラオケの声が聞こえてきていた。3年ほど前にそこから15分ほど離れた地域に空き家になった民家を改装してデイサービスセンターがオープンした。施設の名称が似ていたので多分同じ法人の経営だろうと思っていた。最初の施設はデイサービスをする目的で建てられたものだったが、2か所目の民家はデイサービスの施設基準をクリアするのに大掛かりなリニューアルが必要だっただろう。 2か所とも私の大好きなウォーキングコースにあり、今年になって民家を改装して作ったデイサービス施設が閉鎖されていた。そして橋のたもとにあったデイサービスセンターも閉鎖され建物も駐車場もガランとして冬の風が吹き抜けていた。 その直前に2か所の施設の中間あたりに古民家を改造したデイサービスセンターが開設されたのをみて、急激に利用者が増えたのだろうかと不思議に思っていたのだが、もしかしたらこれまでの利用者を受け入れるためのものだったのかもしれない。 2020年のコロナ禍以来、世の中は大きく変化し、高齢者医療と介護の現場はその対応が一番困難な部分であり今に至ってもその状況は変わっていない。3年が経過しても感染状況が収まったとはいえず、2類から5類に変わったとしても先の見えない不安はまだまだ続きそうだ。高齢者が持病を持っているのは当然のことだが、コロナによって死亡するのはほとんどが70歳以上だという。 デイサービス施設が閉鎖されたのは通所していた利用者が減ったためか、あるいはコロナ感染によるケアスタッフの数や働き方の問題で運営が継続ができなくなったのか知る由もないが、通所していた高齢者は行き場をなくして困っているだろう。新しくできた古民家を改造したデイサービスセンターは、その人たちのために急遽作られたのかもしれないと想像している。 歳を取ると外出が困難になり、人との関りもなくなってくるのでデイサービス施設の存在はありがたいと思っている。決まった時間に送迎をしてくれて、お昼も3時のおやつも提供してくれ、何よりもありがたいのは入浴サービスをしてくれることである。一緒に歩いていた知人が「私が年を取ったら利用したいと思っていいたのに」と呟いた。私はみんなと一緒に長時間過ごしたり、食事もおやつもいただくというのはちょっと苦手かな?