エクステリアで考える、木と樹脂のこと
残念なことに、最近はエクステリアに「樹脂」を使っているお宅が増えています。腐らないとか、反ったり割れたりしないとか、再塗装不要とかいう、メーカーのPRが行き届いた結果でもあります。でも、樹脂が人間と相性のいい素材だとは思えませんね。「樹脂」とは本来、木から出るヤニなどの成分のことで、古くから塗料などに使われてきました。柿渋だとか、うるしとかですね。19世紀に石油から合成されて作られた「合成樹脂」が生まれ、いつしか、「樹脂」といえばプラスチックということになってしまいました。石油も元々は、大昔の植物や動物の化石から生まれたものなので、成分が近いということもあって、もともとは、植物や動物から採取されていた素材が、どんどん石油由来の「人工合成」ものに置き換わっていきました。木の箱はプラスチックの箱になり、麻袋もビニールの袋に、繊維も合成繊維に、皮も人工皮革に。それによって、確かに暮らしは豊かになりました。一方で大きな問題になったのは、「ゴミ問題」です。人工的に合成されたものは、自然には分解されず、土にも返りません。燃やせば有害物質が発生するとか、地中に埋めても微細にはなるものの、かえって有害なものとして残り続けたり、海の生物に吸収されて、環境や食の安全が脅かされたり・・・。21世紀というのは、そういった20世紀的な「大量消費・大量生産」の付けを清算すべき世紀でもあります。レジ袋を有料にするくらいなら、樹脂のデッキやフェンスに税金をかけたらどうか?と思ったりしますね。廃棄する際の問題を考えれば、木よりも樹脂の方が手間もコストかかり、リスクも大きいです。その処理費用というのは、当然、商品代に乗せておくべきものでしょう。木材は、成長する際には炭素を固定化し、酸素を吐きだします。林業を活性化させ、日本の国土の大半を占める森林を守ることはとっても大切なこと。もっと、「木を使う」ということが優遇されてもよいのではないか、と思いますが、どうでしょうか?