カテゴリ:哲学・思想
小阪修平「現代思想のゆくえ」
彩流社 1994年刊 2007年に亡くなった小阪修平さんの講演会記録を4つ収めたもの。 現代思想がなぜ相対主義という思考法をもつようになったか? が、共通のテーマとなっています。 現在の「理想の喪失状態」の原因の背景には、マルクス主義の失敗があり、ナチズムがあり、ヨーロッパが他民族と接した時の無自覚な思い上がりがある。 その以前に、18~19世紀の理想が崩壊し、ことばの持つ力が失われたことにある。 一人の自由と万人の自由が一致すると考えた18世紀の理想はない。 近代の理想主義の根拠にあった「理性」への信頼は、もうない。 現代思想の流れを一言でいうと、「差異」の強調ということになる。 現代は相対主義の時代であるが、意外なほどに多様性はない。 均質な社会は、その均質性から外れたものを排除する要素を持っているから。 ≪ぼくは、やはりこれから、何とか新しい価値基準をつくりあげなければならないだろうと思います。・・ しかし、人間は未来をかんがえ、「理念」や「理想」をかんがえずにはいられない動物です。 未来を見ないと現在自体も見えてこないと言ったほうが正確でしょう。≫ <目次> はじめに あるいは相対主義をめぐる寓話 第1部 現代思想と相対主義 (現代思想と相対主義 近代の理想主義とその解体―あるいは理想主義の条件はなにか? 知の可能性と不可能性) 第2部 経験の思想と確信のゆくえ (経験と理念 経験と確信について)
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011.05.06 20:04:31
コメント(0) | コメントを書く
[哲学・思想] カテゴリの最新記事
|
|