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2014.12.31
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カテゴリ:哲学・思想


アドルノ入門 (平凡社ライブラリー)

ロルフ・ヴィガースハウス

訳 原 千史、鹿島 徹

1998年刊


 アドルノは、音楽家兼哲学者でした。

 ピアノを弾いていた哲学者は多くいたようですが、

 職業ピアニストになったこともある人はアドルノだけかもしれませんね(^^♪



 ホルクハイマー宛の公開書簡より・・

「・・ぼくは、そもそもの生まれと若いころの経験からして、芸術家、音楽家だった。

 とはいっても、今日の芸術とその可能性をなんとか弁明したいという思いで、

 一杯だったのだけれども。

 その思いにはやはり客観的なものが、つまり社会の趨勢に直面して素朴に美的に

 振る舞うだけでは不十分なのではないかという予感が、頭をもたげようとしていた。」



≪学業を終えて哲学の博士号を取得したのちアドルノは1925年初め、

 作曲家兼コンサートピアニストになり、シェーンベルク・サークルの

 一員としてその音楽を普及させる一助となりたいという思いを胸に、

 ウィーンにいるアルバン・ベルクのもとへ赴くことになる。≫


≪・・彼にとってショックだったのは、シェーンベルクに認めてもらえなかったことだった。

 彼のじつにわずかな作曲の仕事にしても、また哲学的傾向をもった音楽論文にしても

 そうだった。≫



≪構成的主観性という迷妄を主観の力によって打ち破ること。

 数学的-自然科学的思考を理想と仰ぐような矮小な合理性概念に取って代えて、

 「非同一的なもの」の経験に場を与える幅広い合理性の構想を打ち立てること。

 アドルノが哲学者として自分の使命と見なしていたのは、このことである。≫


≪哲学体系といったようなものを作り上げることなど、アドルノには問題ではなかった。

 体系というものは、特殊な対象への没入を妨げ、特殊なものから始める思考の

 代わりに上からの思考だけを許容する秩序だと見なしていたからである。

 アドルノの理想は、百科全書的な思考、つまり、全体として合理的に組織されて

 いながらも非連続的で、くり返し新たに始まる、エッセイ的な思考なのだ。≫



≪アドルノは暗鬱な(dunkel)、いやそれどころか暗黒の(schwarz)社会理論家であった。

 しかし思考と芸術から発する希望の輝きは彼にとって、社会に対しラディカルな批判

 をくわえるのに十分なものである。


 そのさい彼を照らしみちびく明かりとなったのは、人間が貶められ、奴隷となり、

 見捨てられ、軽蔑すべき存在になっている状況をすべて転覆せよ、

 というマルクスの命令が妥当であることに変わりはないという確信であった。≫



≪哲学とはちがい、芸術は<幸福の約束>を秘めている。

 否定弁証法に立脚する哲学が目指していたもの、

 つまり「主観の行為をつうじて客観的なものが見えてくること」を実行する芸術なのだ。≫




<目次>
第1章 ファシズムの時代を生きた市民階級のインテリ・アウトサイダー
第2章 非同一的なものの哲学―否定弁証法
第3章 批判的社会理論―権威主義的主体の管理社会
第4章 モダニズム芸術の哲学―美的仮象による「幸福の約束」
第5章 多岐にわたる影響





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最終更新日  2014.12.31 21:59:46
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