カテゴリ:書評・読書メモ
和田秀樹「この国の冷たさの正体 一億総「自己責任」時代を生き抜く」 (朝日新書) 2016年刊 「一億総自己責任」を求められる日本の社会・・・ 生活保護のバッシングやテロ犠牲者に対して「国に迷惑をかけるな」と非難する論調・・ でも、少し立ち止まって考えてみると、 「私たちは強者の嘘の情報にまみれている」のではないか。 和田さん曰く、自殺は断じて自己責任ではない。 ギャンブルなどの依存症は、企業の責任である。 弱者を叩くのは、もう止めよう。弱者を叩いて、正義の味方づらをするのをやめよう。 なぜなら、いまの日本は、強者が責任をとらなくなっているから。 ≪やはり問題は自己責任という言葉が、強者の責任逃れの言辞に過ぎなくなっている ということでしょう。 もちろん、自己責任を真面目に守っているのは、弱者だけです。≫ 自己責任論を蔓延させる本当の目的とは・・ ≪私は、自己責任論の本当の目的というのは、高齢者殺しではないかと思っています。・・ 蓄えのない高齢者や年金の少ない高齢者は、このままいけば、生活保護を受給せざる を得なくなるでしょう。 ただ、生活保護の原資には限りがあります。 彼らが受給申請をしなければ、財政問題は片付くわけです。・・ 自己責任論の行き着く先は、いわゆる終末期医療もしくは寝たきりになってからの 医療打ち切りを含めて、国に依存する人を切っていく社会の到来です。≫ 私たちは、「自己責任論」から決別する必要がある。 ≪自己決定ができない状態に置かれている弱者である私たちには、 自己責任論を甘受する必要はない、ということをまず大前提としましょう。・・ そうでなければ、あなたの人生は、強者のいいようにされてしまうのです。≫ <目次> 第1章 「国に迷惑をかけるな」の異常さ (誰かを蹴落とさないと自分が蹴落とされる社会;新幹線放火事件のやるせなさ ほか) 第2章 人の弱みを食い物にするやつら (社会不安を背景に拡大する依存症ビジネス;ネットゲームの依存性の怖さ ほか) 第3章 何があっても自分を責めるな (自己関連づけを止める;「かくあるべし」思考から脱却する ほか) 第4章 自分の人生まで冷たくしないために (強い者になびくスクールカースト世代;競争原理をなくすことで、個性を潰す日本の教育 ほか) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017.01.14 09:08:13
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