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“しょう”のブログ

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地球環境、エコロジー

2021.04.25
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​​​​​​​ 去る4月22日、菅首相は二酸化炭素の排出量を2013年の46%まで削減する、という目標を発表しました。これまでの目標に上積みする「宣言」ではありますが、これは評価できるのでしょうか。「野心的な目標」とか「無理ではないか」など、色々な声があるようですが、私自身は目標としても不十分だ、と考えています。事態の深刻さと、これまでの無為無策が十分踏まえられているとは考えられないのです。以下、ある学習会で問題提起した資料(一部)を紹介しながら、考えを述べます。

 一時期(今もNET上では)「地球温暖化懐疑論」が流行しました。丁寧にその関係の書籍を検討すれば、すぐ問題が見えてくるようなものが大部分(例:​『二酸化炭素温暖化説の崩壊』広瀬隆​)なのですが、「温暖化説は陰謀だ」といった言説は読むと面白く、かなりの影響力があるのではないかと危惧されました。
 今世紀に入って温暖化は停まった、ということを「温暖化懐疑論者」は強調していましたが、上記グラフの通り、2010年以降は上昇しています。
 以下、「温暖化」「気候変動」を背景とする問題についてPPの画像で振り返っておきましょう。

    
    
 
 確かにここ数年「特別警報」(数十年に一回のはずの)が連発されていますが、コロナ経済危機で二酸化炭素の排出量は減少し、濃度の上昇も停まっているのではないか、という見方もあるかもしれません。
 しかし、WMO(世界気象機関)が公表しているデータをグラフ化すると以下のとおり。2008年前後の世界金融危機(「リーマンショックに発する」)においても排出量は一時的に微減した程度、大気中の濃度に至っては増加し続けています。このグラフを見たとき、正直ぞっとしました。
   


 
 世界金融危機時も含めて濃度が上昇し続けている背景の一つは次の画像の下の部分で簡単に説明しておきました。

  

 このままでは「下り坂で制御不能になった暴走車」状態になるということで2019年あたりから世界中の多くの若者が「強い意思表示」を始めたのです。 ​

  

 そして、日本においても三大銀行が新規石炭火力発電所への投融資の停止を発表しました。そのような変化の背景については、次の画像で簡単にまとめています。「環境先進国」と比較してあまりに立ち遅れている日本の現状を踏まえ、これ以上足踏みをして欧州などの世界市場から相手にされなくなる事態を重く見たからでしょう。





 


 2020年の10月、菅首相が「2050年の二酸化炭素排出実質ゼロ(森林などの吸収量まで削減する)」ことを(やっと)表明したのも、「先進諸国」の取り組みから立ち遅れ、パリ協定参加国の中で孤立化することを恐れたからだといわれています。その流れの延長上に、2030年までに2013年比で46%削減する、という「上乗せ目標の宣言」があるわけです。



 新聞記事の右横に、これは「野心的な(無理な)目標」なのか、なぜ起点が2013年なのか、という疑問を提示しておきましたが、「温暖化防止京都会議」以降の無為無策を棚にあげて「野心的目標設定のポーズ」を取っている面が大きいのではないか、と私には思えます。
 というのは、京都会議で設定した「削減目標の起点」は1990年(日本では空前の好景気に沸いて二酸化炭素も大量排出していたいたバブルの時代)であるにもかかわらず、その後、日本政府は電力会社などの既得権益を優先し、大量の石炭火力発電所の増設を容認してきたからです。​
 
 下のグラフにつけた青い目印(ライン)は1990年時点を示しています。そこを起点として着実に削減を進めているドイツ、スウェーデンと比較すれば、日本がまともに対応していないことは明らかでしょう。

  グローバルノート - 国際統計・国別統計専門サイトより


 2013年比でという日本政府の削減目標の設定(再設定したわけですからしないよりいいのですが)には、京都議定書締結以降、長く続いた「無為無策」をごまかすものであると考えています。確かに、​2012年以降二酸化炭素排出量は減少傾向にありますが、これは長期にわたる「デフレ」の影響と、民主党菅直人政権時に成立した「再生可能エネルギー固定価格買い取り制度」の効果が大きいと考えています。​
 とはいえ、「日本以上に大量排出国として問題になるのは米国と中国だろう」という声もあることは事実です。ただ、下のグラフからも読み取れるように、日本の再生可能エネルギーの比率は中国やインドを下回っています。​(一人当たりの二酸化炭素排出量は中国よりはるかに多い。)​
 
 米国も現政権になって積極的な取組を打ち出している中、「責任を押しつけあう」のではなく「大量排出を続けて来た先進国」の一員として、本気で取り組みを進めていくことが必要だと考えるのです。


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Last updated  2021.04.29 19:52:46
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2021.01.03
 SDGs(「持続可能な開発目標」2015年国連サミット:キーワードは「環境・経済・社会」の調和)という言葉が広く共有されてきていますが、その困難な課題について11月23日のサンデーモーニングで述べられていました。番組内容を(一部補いながら)紹介します。

 まず、「環境」の問題。

 WMO=世界気象機関は23日、気候変動の主な要因である「温室効果ガスの排出量」が、去年、観測史上最も高くなり、今年も改善の気配は見られないとした。
 また貧困を巡る問題についても…



 国連のモハメッド副事務総長は、今回の新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、数百万人が再び貧困に陥ったと発表。
​ しかし、気候変動の問題と感染症の拡大は関係があるのでしょうか。

(以下、番組に補足)。​



 
 新型コロナも含めて動物由来の感染症が拡大していますが、その背景には気候変動に伴う動物の生息地(森林等)の縮小があるといわれています。個体間の距離が縮まることで、種内の感染が拡大し、家畜を通して人への感染が進んだというのです。
 じつは、この問題はすでに2006年、アル・ゴアが指摘していたことです。

​(以下、映画『不都合な真実』の場面)​






 
​(以上、番組への補足は終了)​
 


 番組は問いかけます。このままで、本当に「持続可能な社会」は実現可能なのか、
 


 斎藤幸平さん(大阪市立大学大学院准教授・経済思想) 「この根本原因は何かというと、やはり資本主義という経済システムにある。無限の経済成長を資本主義は目指すわけですが、それを、有限な地球で推し進めていこうとすると、やはりどこかで限界が来る」
 資本主義による利益の追求は、結局、人々の「格差」を拡大し、さらなる「環境破壊をもたらす。

 



 「経済成長というものだけを、際限なく目指すような社会から脱却して、資本主義そのものをスローダウンさせていく必要がある」

 「どういう選択をし、どういう形でこの世界を将来の世代に渡すのか。そのための知恵が今、私たちには求められています」という言葉が番組の締めくくりです。

 私自身は「​​​資本を暴走させない北欧の取り組み(格差の拡大や二酸化炭素の排出に一定の歯止めをかけているスウェーデン、フィンランド等)の取り組み」に多くを学ぶべきだと考えています。

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Last updated  2021.04.19 20:02:19
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2020.01.02

​​​  今年もよろしくお願いします。

 早速ですが、年末の「カナリヤの歌」という記事(2019年12月30日付朝日新聞)を紹介します。​テーマは気候変動(地球温暖化)。
 編集委員の二人が記事の末尾で述べている言葉「国際交渉の歩みはあまりに遅く、まだ時間があると思っていたが、世界が変わるより地球が変わる方が速かった。ただ、希望はまだある」「取材の翌週、小学生に温暖化の授業をした。2100年の地球がリアルな世代だ。『どうすればいいですか』と質問され、先送りはできないと強く思った」に共感を覚えました。


 まず1面(「吹き飛ばされた、いつもと違う、何かおかしい」)では、9月にカリブ海のバハマを襲った風速82mのハリケーン「ドリアン」による甚大な被害(下の写真)、日本を襲った台風15号・19号の被害に触れます。



 本ブログの関連記事1、​ 

 「今年(2019年)の日本の平均気温は過去最高を更新する見通しだ。日々の暮らしで感じる「おかしい」が地球のあちこちで共有されている。だれがいつ被害にあっても不思議じゃない。

 以上、1面のごく概略ですが、2面についてはより詳細な紹介をします。

 世界中が気候危機を実感している。ドミノ倒しのような悪循環に陥り、生存の基盤を失うかもしれない。岐路となる10年が始まる。(石井徹、戸田政考)

 わずかな温暖化でも、気温や海面の上昇などが連鎖的に起こるスイッチが入り、不可逆的な段階に移行するという説がある。英科学誌ネイチャーは11月、「転換点は近い」という論評を載せた。引き金になるのは「特に北極域の氷床だ」(・・・)​​

​ 12月に入ったというのにその滝は凍りついていなかった。8割以上が氷で覆われるグリーンランド。中心都市ヌークからボートで1時間ほど東にある高さ40メートルほどの滝は、通常なら10月中には完全に凍るという。(・・・)

 
 海に流れ落ちる滝は12月なのに凍っていなかった
 =グリーンランド・ヌーク近郊
                   石井徹撮影

 デンマーク気象機関によると、この1年に解けた氷床は平年を2割上回る約3300億トン。7月31日から3日で310億トンが解けた。世界の海面を0・1ミリ押し上げる規模だ。(・・・)

 北極圏は温暖化を先取りしている。世界の平均気温は産業革命前から約1度上昇したが、北極域では約3度に達する。白い氷や雪が解けて黒っぽい陸や海が顔を出すと、太陽光の反射率が減って熱がこもり、氷の融解が加速する。そんな増幅効果が働く。

 極域の氷と、足元の異常気象はつながっている。

 地球上の熱エネルギーの9割以上は海に蓄積される。この100年間で世界の平均海面水温の上昇は0・54度、日本近海は1・12度。台風19号は本州の近くまで広がった27度以上の海面水温の海域を進み、強大化したとされる。(・・・) 

 温暖化は私たちの家計をも脅かす。西日本豪雨などが相次いだ昨年度、気象災害による損害保険会社の保険金支払額は1兆5千億円を超えて過去最大に。今年度もこれに次ぐ1兆円規模になりそうだ。損保各社は今年10月、火災保険料を5~6%程度上げた。2021年1月にも再値上げの予定だ。

 スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥンベリさん(16)に触発された若者主催で、9月に世界で760万人が参加した「グローバル気候マーチ」。11月29日、国内では25都府県で約2千人が行進した。東京・新宿の都庁近く。「地球は暑くなり過ぎている」などと書いたプラカードを持ち、生まれて初めてデモ行進に加わった学習院大3年の栗林燦(あきら)さん(22)の姿があった。


 参考資料(グローバル気候マーチに関するネット公開画像)

 きっかけは台風19号だ。
 首都圏に迫っていた10月12日。東京都昭島市の自宅で目の前の多摩川がみるみる増水するのを見た。食料や身の回りのものをリュックに詰め、家族と車で家を出た。「異常気象は来るところまで来ている」。マーチには一人で参加した。「こんなに多くの人が気候危機に関心を持っている。大学生でもできることはあると感じた」という。

 グリーンランドのヌークの高校生、サッシャ・ビルドルフさん(19)は今年3月、グリーンランドで初めて若者による気候危機を訴えるデモ行進を企画した。約200人が、石油やプラスチックの使用削減などを求めて行進した。

 6月にはデンマークの国会議員選挙に立候補した。「自分や子供の将来が心配で、何もしないよりはいいと思った」。気候変動対策を訴えたが、当選はできなかった。「若者は自分の教育を犠牲にして世界を変えようとしている。私たちの声を聞いて、リーダーは行動を起こし始めないといけない」

​ 「科学から離れている暇はない」。12月にスペイン・マドリードで開かれた気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)で、グレタさんは訴えた。世界各地から集まった若者たちも連日、温暖化の原因をつくった先進国やこれまでの世代に責任ある行動を求める「気候正義」の実現を迫った。日本から参加した約20人の若者は、世界の若者たちの行動力に目を見張った。日本大3年の太田紘生(ひろき)さん(22)は「どうしたら活動が広がるのか、まず自分自身が勉強したい」と話した。

​​​​ 若者たちは動き出した。次は私たち大人の番だ。
​​​​

 ■排出上限は目前
 地球温暖化が重要課題になったのは1980年代後半。国際社会はまず、大気中の温室効果ガス濃度を安全な水準で安定させるとした気候変動枠組み条約を発効させ、97年に採択した「京都議定書」で先進国に排出削減を法的に義務づけた。その後、すべての国が参加する「パリ協定」が15年に合意され、20年から本格的に動き出す。

 パリ協定は、産業革命前からの世界平均気温の上昇を2度未満、できれば1・5度に抑えることを目指し、今世紀後半に排出を実質ゼロにすると定めた。ただ、各国が今の削減目標を実現しても3度程度に達してしまう。

​ IPCCが示すカーボンバジェット(炭素予算)という考え方によると、1・5度に抑えるには産業革命以降の累積排出量を2・6兆トン(二酸化炭素換算)程度にとどめなければならない。だが、排出は増え続けており、30年前に1兆トン程度だったのが17年に2・2兆トンに達した。このペースだと、10年もたたずに上限を超える。​



 編集委員 石井徹 1960年生まれ。97年の温暖化防止京都会議(COP3)から環境・エネルギー問題を取材。国際交渉の歩みはあまりに遅く、まだ時間があると思っていたが、世界が変わるより地球が変わる方が速かった。ただ、希望はまだある。

 科学医療部 戸田政考 1985年生まれ。世界の環境問題を伝えたくて電機メーカーから記者に転職。取材の翌週、小学生に温暖化の授業をした。2100年の地球がリアルな世代だ。「どうすればいいですか」と質問され、先送りはできないと強く思った。

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Last updated  2020.01.03 19:15:49
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2019.10.20

​ 「数十年に一回の危機」であったはずの特別警報が2018年の西日本豪雨では同時に11府県、2019年台風19号では13府県で発令され、甚大な被害をもたらしています。「気候変動」、「地球温暖化」は将来の問題ではなく、まさに現在直面している「気候危機」と考えるべきでしょう。




 台風のさなかに放映された​番組(10月13日サンデーモーニング「風を読む」)​で、重要な指摘が簡潔にまとめられていましたので概要を紹介します。

 1、各地に甚大な被害をもたらした台風19号。「(暴風域の直径600㎞以上という)大型で強い」勢力のまま、本州に上陸した背景には、日本近海の「海水温の上昇」があった。
 台風は熱帯付近で発達し、通常、水温が低い日本付近で勢力を弱める。ところが、台風19号の進路となった日本近海の海水温は27度と、1981年からの平均値と比べて2度も高くなっていた。



2、原因は、紛れもなく「地球温暖化」だと、国立環境研究所の江守さんは語る
 「海面水温は、温暖化が止まらなければ上がり続けますから、今回のように発達して勢力を弱めずに上陸してくる。より強く発達した台風が日本を襲うという確率、台風以外の大雨に関しても、発生する確率がさらに高くなっていきます。」

3、こうした待ったなしの温暖化対策を話し合うため、先月開かれた国連の「気候変動サミット」。スピーチに立ったスウェーデン人の16歳、グレタ・トゥンベリさんは訴える。
 「(生物種が)大量絶滅の危機に瀕しているのに、あなたたちは、お金や経済成長というおとぎ話だけ語る。何ということだ。」同じ会議の場ではグテーレス国連事務総長は、「77か国が2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにすると約束した」と確認。

4、だが、日本は、アメリカや中国など主要な温室効果ガス排出国と共に、その輪には加わらなかった。〔出席した小泉環境相に対して記者「(増設中の石炭火力を)日本はどうする?」小泉環境相「減らす」 記者「どうやって?」小泉環境相「…」。いまだ国際社会が一致団結して、具体的な温暖化対策に取り組んでいるとは言えない状況が露呈した。〕



5、その一方で、年々極端になっていく気象。しかし現代の私たちは、日常の生活を送る中で、温暖化の原因とされる二酸化炭素を中心とした温室効果ガスを大量に排出。
 そこで、こうした現状に警鐘を鳴らす行動が、今、注目されている。
 それは「flygskam(フリュグスカム)=飛び恥

 列車の乗客(スウェーデン人)「飛行機が温暖化にもたらす影響がこれほど大きいとは知らなかった・・・」実は、温室効果ガス排出量の8%を占めると指摘されるのが観光業。そのため二酸化炭素を多く排出する航空機に乗ることは「恥」だとして、ヨーロッパを中心に、利用を避けようという動きが広がっている。

6、航空機に限らず、日夜目にするトラックから、洋上の巨大タンカーまで、世界中に網の目のように広がった商品や食料配達の流通網。そして日常生活に欠かせない、レジ袋やペットボトルなどのプラスチック廃棄物。回収後、7割近くは燃やされて、同じく大量の二酸化炭素を排出している。



  江守正多副センター長(国立環境研究所・地球環境研究センター)
「温暖化対策を抜本的にやるということは色々な社会のシステムを大きく変える必要があります。このまま便利な生活を諦めないとか、まだこれで儲かるのでやりたいというのをやめて、温室効果ガス排出ゼロの社会を目指す。先ずは考え方を変えて頂く必要がある」

 今、地球温暖化は、遠い将来の問題ではなく、現実の脅威として、私たちの暮らしを脅かしつつある。
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Last updated  2019.10.20 14:51:13
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2019.09.30

​​​ 国連 気候変動スピーチで注目のグレタ・トゥーンベリさん彼女が去年(2018)の八月、一人で始めたストライキが、子ども・若者を中心に全世界に広がり、この度は全世界で400万人以上が参加したとのことです。
 
 9月23日、グレタさんの国連でのスピーチは全世界の人々にかなり強烈な印象を与えたと思われますが、多くの共感と同時に反発の声・揶揄する声も多く聞かれました。しかし、気候変動の問題について研究を積み上げてきた科学者はこの度の演説や若者の動きをどのように見ているのでしょうか。

 気候変動に関する研究者・科学者である江守正多が9月28日に見解をまとめていましたので内容を紹介します。本人の文章(全文)も、ぜひご一読ください。 

「国連 気候変動スピーチで注目のグレタ・トゥーンベリさんについて知ってほしい5つのこと」
​                                  江守正多  | 国立環境研究所 地球環境研究センター 副センター長 9/28() 11:10​​​

​ (​ 気候変動 抗議する若者たちの懸念は正当である:世界の科学者が支持声明を発表​ もぜひ)​​ ​



​ 気候変動。大人たちが子どもの将来に危機をもたらしていること。世界のCO2排出量をあと10​年で半分にすべきこと。牛肉の生産が大きな環境負荷をもたらすこと。日本の石炭火力発電の新設が世界から批判されていること​

これまで一部の関心がある人たちの話題でしかなかったこれらのことが、今週、一気に日本全国の「お茶の間」に届いたことに、筆者は興奮を隠せない。

923日(・・・)国連の気候行動サミットは、小泉環境大臣効果により、日本のメディアから例外的な注目を浴びた。そして、日本のお茶の間に映し出されたのは、16歳のスウェーデン人少女の怒りのスピーチだった。

ほとんどの日本人にとって目の前に唐突に現れたこの少女、グレタ・トゥーンベリさんに対して、共感と反感の両面から、多くの反響が寄せられている。

今回初めてグレタさんを知った多くの人たちに対して、昨年からグレタさんに注目していた筆者が知ってほしいと思うことを5点述べたい。

1.本人の意思で行動を始めた

 グレタさんを見て、親や左翼の活動家に操られていると思う人がいるようだが、それは違う。

〈根拠〉

1)     彼女が去年の8月に、学校を休んで議会前での座り込みを一人で始めたとき、両親は心配して止めた。飛行機に乗らず、肉を食べないことを決めたのも彼女自身。両親は結果的にそれに付き合うことになり、オペラ歌手である母親は、海外での公演活動を休止・・。

2)     彼女の「ストライキ」が世界に広まり始めるとき、影響力のある環境メディアの起業家イングマール・レンツホグが彼女に手を貸した。しかし、レンツホグがグレタさんの名前を使って資金集めをしていることを知ると、彼女はレンツホグと縁を切った。

3)     これだけ有名になったグレタさんが、多くの大人から支援やアドバイスを受けていることは想像に難くない。しかし、大人の影響を受けることのリスクに対して彼女が敏感であろうことも、この例から、想像に難くない。

2.感じ方、表現の仕方が、「ふつう」と少し違う

グレタさんは、「アスペルガー症候群などの診断を受けていることを自ら公表している。ものの感じ方や表現の仕方が、「ふつう」の人と少し違うのだ。 (…)

筆者は次のように解釈している。

我々のように「ふつう」の脳の持ち主(・・・)は、地球の危機の話を聞いて、そのときはとても心配になったとしても、日常生活を送るうちに気をまぎらすことができる。(・・・)

しかし、グレタさんは違う。彼女には地球の危機を心配し続けることができる「才能」がある11歳のときに彼女は地球環境について心配するあまり、2か月もの間、ほとんど会話も食事もできなかったそうだ。

社会の中に、このような特別な脳を持った人が少数いて、ふつうの脳を持つ大多数の人たちに対して危機に際して警告を発することは、人類種の進化の過程で遺伝的な多様性として埋め込まれた、種の存続のためのメカニズムではないかと筆者には思える (・・・)

3.特定政策ではなく、科学者の声を聞くことを訴えている

 グレタさんが具体的にどういう対策を求めているかわからないという人がいるようだが、そんなのは当たり前だ。彼女はまだ16歳なのだから、問題解決の処方箋を彼女に求めるのは無理筋である。

その代わりに彼女が主張しているのは、科学者の声を聞くことだ。とりわけ、昨年10月に発表された、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の1.5℃の温暖化についての特別報告書」は彼女の持っていた危機感と共鳴した。

加えて、彼女がニューヨークのスピーチで強調したのは、気温上昇がある臨界点を超えると、フィードバックの連鎖反応が起きて、人間がどんなに対策をしても、気温上昇が止まらなくなる可能性についてだ。

ただし、この点について、今回の彼女のスピーチは誤解を招くと筆者には思われたので、補足しておきたい。筆者の理解する限り、「1.5℃」を超えると必ずその連鎖反応が起きるとはいえない。(・・・)起きるとしても、何でそれが始まるかはわかっていない。

しかし、「最悪の場合」それが1.5℃付近で始まってもおかしくはないし、彼女が「最悪の場合」を心配するのであれば、それはよく理解できる。

それに、彼女がスピーチで指摘したように、あと10年で世界のCO2排出量を半減できたとしても、気温上昇を「1.5℃」で抑えられる可能性は五分五分なのだ。「五分五分の賭け」に彼女が安心できないことは、極めてよく理解できる。​

このようにみて、グレタさんの主張する危機感は、大筋において最新の科学を踏まえたもの​だといえるだろう。​

日本の科学者コミュニティーとしても、919日に、日本学術会議の会長談話として、同様な趣旨の緊急メッセージを発信している。

なお、「そもそも気候変動は本当に人間活動のせいなの?」という方もまだいらっしゃると思うので、これこれこれをご一読頂きたい。

4.個人の変化だけでなく社会システムの変化を求めている

 グレタさんが飛行機に乗らず、肉を食べないことから、他人にもそれを要求していると思う人がいたら、それは違う。

彼女は、個人の変化だけでなく、社会システムの変化が大事だと主張している。(・・・)

もちろん、気候の危機を認識するならば、グレタさんほど徹底しなくても、飛行機には必要最小限しか乗らない、肉はほどほどに食べる、くらいの意識の変化は個々人にあってしかるべきだろう。

筆者の解釈になるが、たとえば、飛行機がすべてバイオジェット燃料水素燃料で飛ぶようになれば(そしてそれらの燃料をCO2を出さずに作るならば)、人々は気兼ねなく必要な飛行機旅行をすることができる。あるいはテレプレゼンス技術によって、実際に移動せずとも海外に「居る」のと同じ感覚を味わえるようになるかもしれない。肉にしても、代替肉はすでにできているし、みんなが食べるようになれば、安く、おいしく改良されていくだろう。

(・・・)筆者の考えでは、彼女が求める社会システムの変化のための行動には、こうしたイノベーションを含めた社会や常識の大転換や、それを促進するための制度整備や投資を(・・・)進めることが含まれると思う。

5.大人に怒っているが、大人を憎んではいない(たぶん、まだ)

 ニューヨークでのグレタさんのスピーチが怒りに満ちていたことに、面食らった方も多いだろう。実は、筆者もその一人だ。

今回初めてグレタさんを知った人は、ぜひ、以前のスピーチも見てみてほしい。たとえば​このスピーチ​。
これまでの彼女のスピーチは、冷静で、淡々としており、そのトーンから繰り出される辛辣な表現が胸に刺さる、というのが筆者の印象だったしかし、今回のスピーチは違った。用意した原稿にも、話し方にも、怒りがむき出しだった

今回のスピーチが違った理由は筆者にはわからない。しかし、スピーチをよく聞くと、気になる表現があった。

「もしあなたたちが状況を理解していながら行動を起こしていないのであれば、それはあなたたちが邪悪な人間ということになる。私はそれを信じたくはない」という意味のくだりだ。

グレタさんはこれまで、人々が行動を起こさないのは、危機が訪れていることを理解していないからだろう、と言っていた。だから、若者の学校ストライキで意識を喚起し、人々が目を覚ます、つまり、危機を本当に危機として理解することを求めていたのだ。そして、人々が目を覚ませば行動(つまり、本当に気候変動を止めるための対策)が起きると考えていた。

しかし、今回、彼女の中に、この考え方に対する疑念が生じたのではないか。サミットに集まっている首脳たちは、「理解しているのに行動していない人たち」、つまり、若者の未来を奪いながら、そのことをはっきりと自覚して平気でいる「邪悪な」人たちではないか、という疑念だ。​

この疑念が確信に変わるとき、グレタさんの大人への怒りは、大人への憎しみに変わるのかもしれない。

彼女は現時点ではまだ「そう信じたくはない」と言っている。筆者には、彼女が疑念と確信の間を揺れているようにみえた。これが、今回のグレタさんの怒りと関係しているように筆者には思えてならない。 

以上が、グレタさんについて筆者が知っていることや、考えてきたことだ。

グレタさんや、彼女と共に立ち上がった世界中の若者たちは、大人が上から目線で褒めたり貶したりしていい対象であるようには、筆者には思えない。​​

筆者は、今後も彼らを尊敬し、見守り、機会があれば支援し、操らず、邪魔をせず、そして彼らと共に考え、共に行動したい。

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Last updated  2019.10.08 21:46:12
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2018.07.04

高校生に以下の協力を求められました。
 よろしければ、ご記入お願いします。
 大人の回答が少なく、困っているようです。

パリ協定及び地球温暖化に関する意識調査

 最近、『不都合な真実2』を視聴しました。
 ぜひ、みなさんご覧ください

〔​あらすじ・感想等​〕

  『不都合な真実』(06)により、大衆文化に気候変動のテーマが持ち込まれてから10 年。人々の注意を引き、奮起させるような続編が登場する。エネルギー革命を身近に感じさせる作品だ。アル・ゴア元副大統領 は世界中を飛び回って大勢の気候チャンピオン(※注)を養成したり、国際的な環境政策に影響を及ぼしたりと、引き続き終わりの見えない戦いに挑んでいる。これまでになく高いリスクを伴いながらも、彼は「人間の知恵と情熱により、気候変動による危険は乗り越えられる」という信念を追求している。そんな彼の舞台裏の姿を、公私や苦楽を問わず、カメラは捉えた。

 https://pickup.cinemacafe.net/articles/728

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Last updated  2019.01.25 21:41:49
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2014.10.18

政府、経済産業省、政権与党あてに次のような「意見」を送信しておきました。

よろしければ、ご一読ください。

 

現在、経済産業省は、固定価格買い取り制度見直しの議論をスタートさせているとのことですが、再生可能エネルギーの普及を抑制するような検討は論外であり、普及をさらに促進するような条件整備を強力に進めていくべきであると考えます。(権利だけ獲得して、設置・発電開始を遅らせて利益拡大を目指す「悪徳業者」を防ぐ見直しには賛成ですが…。)

 

よくご存じのように、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)927日、報告書を公表し、温暖化の影響で、今世紀末に海面は最大82センチメートル上昇し、気温は最大4.8度上がると予測。「気候変動を抑えるには、抜本的で継続した(温暖化ガスの)排出削減が必要だ」として、再生可能エネルギーの比率を2050年までに3~4倍に拡充するといった対策を求めています。

 

ところが、我が国においては水力を除く再生可能エネルギーの総電力量に占める割合は2.2%であり、あまりにも低い数値であると言わなければなりません。

http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/shoene_shinene/shin_ene/pdf/001_03_00.pdf 

このような中、電力会社によるメガソーラー接続中断を容認し続けることは許されることではありません。スペインの例からもわかるように、電力供給を安定させつつ再生可能エネルギーの普及を促進する方法はいくらでもあるはずです。

http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1406/20/news038.html

 

地元紙でも「国は買い取り制度の見直しを始めたが、透けて見えるのは原発再稼働に前のめりになる電力会社と現政権の再エネに対する消極姿勢だ」と指摘しています。政権与党の皆様におかれましては、長年の原発推進政策を背景に引き起こされた大事故の責任を明確に自覚し、再生可能エネルギーの普及促進に向けて全力を挙げていかれるべきであると考えます。 

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2014.09.28

再生エネ固定買い取り抜本改定へ 経産省が専門部会

 2014年9月26日 21時11 政府は26日、送電網の容量限界から電力会社が再生エネルギーの買い取りを中断する動きが広がり始めた事態を受け、固定価格買い取り制度の抜本改定に着手した。再生可能エネルギー特別措置法は3年ごとの見直しを定めているが、政府は早急な対策が必要と判断、改定を前倒しする。

 小渕優子経済産業相は26日の閣議後記者会見で「電力系統の現状を精査する必要がある。再生エネルギーの最大限の導入に向け、あらゆる角度から検証する」と述べ、再生エネルギーの導入促進に関する有識者会議の中に専門部会を立ち上げることを明らかにした。

〔東京新聞 9.26.21:11〕

 上記、東京新聞の記事は簡潔にまとめられていますが、他紙の多くは「電力会社による買い取り中断検討の言い訳」をダラダラと書いているものも多いですね。

 私自身の考えは小渕経済産業相の考え(「電力系統の現状を精査する必要がある。再生エネルギーの最大限の導入に向け、あらゆる角度から検証する」ことが大切)とほぼ同じです。

 そして、その際、再生エネルギーの導入が日本よりもはるかに進んでいるスペインなどに学ぶことが大切だと考えるのです。
 はっきり結論を言えば、大規模な送電網の整備や高価で大容量の蓄電池を導入しなくても、5割程度を自然エネルギーでまかなうことは十分可能です
 
 その根拠については、スペインに学ぶ「3条件」、再生エネの比率を5割以上に の全文をご一読いただけばすっきり理解できると思いますが、私なりに一部引用、一部要約しながらコメントします。

「スペインで全国の系統電力の運用を担当する企業REEは、2014年1~5月の発電量のうち、再生可能エネルギーに由来するものが、52.7%に達したと発表した。」

 「日本で再生可能エネルギーの比率を高める議論があると、不安定な電源であるため、系統連系可能な規模は、20%程度が上限ではないかといわれている。しかし、スペインの規模はその2倍以上だ。」
 なぜ、全電力量の4割~5割を不安定な自然エネルギーでまかなえるのでしょうか? 理由は3つあるということです。

 その一つ目は、気象予測と対応させながら、出力を正確に予測する仕組みを整えていることです。

REEは、早くも2001年に(・・・)風力発電所の発電量予測システムを開発し、翌年から運用を始めている。この予測システムは48時間先までの電力量を1時間単位で予測可能だ。予測値は15分ごとに更新する。予測精度は年を追うごとに正確になっている。」

 第2に、上記予測システムがREEの中央給電センター(「CECRE」)と結びついて、全国の系統を安定化させることに成功していることです。「CECREは、出力10MW以上の風力発電所と通信回線で結合されて」います。 

(なお、スペインの場合は風力の発電量予測が中心ですが、例えば日本において気象予測と太陽光の発電量予測を結び付けることは容易でしょう。)

「3つ目の理由は、CECREが発電量予測システムに基づいて、水力発電やコンバインドサイクルガスタービン発電などの調整力を計算、系統のバランスを保つ能力を備えていることだ」とのこと。 

「CECREの開設後、2008年にはスペイン全国の強風により、風力発電の発電比率が1日のうちに一時的に40.8%まで高まったこともある。これも無事乗り切った。」

 上記のような仕組みによって、スペインでは「不安定な自然エネルギー」によって、電力量の4~5割をまかなうことが可能となっているのです。

 さて、日本では上記の仕組を取り入れることは技術的に無理なのでしょうか? あるいはコスト的に無理があるのでしょうか? この疑問に対しても明確に回答が出されています。

 「日本の再生可能エネルギー普及を抑えているのは技術ではない。スペインの気象予測技術が日本の技術より格段に優れているということはない。蓄電技術の進歩を待つ必要もない。スペインは蓄電池を全く使わずに風力発電などの規模をここまで高めることができた。高価な大容量蓄電池を開発し、再生可能エネルギー発電所ごとに導入するよりも、スペインの方式の方が投資額も少ないと考えられる。」

 というわけで、自然エネルギーを普及させていく意志がありさえすれば、いくらでも対応は可能なのです。
 「再生エネルギーの最大限の導入に向け、あらゆる角度から検証する」、という小渕経産大臣の発言、ぜひ文字通り実行してほしいものです。

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2011.10.02

  広瀬隆、『二酸化炭素温暖化説の崩壊』も含めて「人為的温暖化懐疑論」にはどのような実害があるのでしょうか。言うまでもなく、温暖化によるリスクや問題点を拡大してしまうことにつながる、ということです。

 とりわけ、これまでの二酸化炭素排出に責任のない次世代や、植民地支配などで押さえつけられてきた途上国に多くのリスクと被害が集中していくことは、大変な問題である と考えます。

 それでは地球温暖化によるリスクというのは、具体的にどのようなものでしょうか。

 例えば、台風の巨大化です。今年、日本を襲った大型の台風は大変な被害をもたらしたのですが、温暖化によって海水温が上がることは、さらに強い台風発生の可能性を高めていきます。

 IPCCは第4次報告でも「極端な高温や熱波、大雨の頻度は引き続き増加する可能性がかなり高い」「熱帯域の海面水温上昇に伴って、将来の熱帯低気圧(台風およびハリケーン)の強度は増大し、最大風速や降水強度は増加する可能性が高い」としています。

 それだけでなく、以下の点も複数の研究者によって予測されているのですが、問題なのは、一人当たりで途上国の何倍にもなる「日本もふくむ先進国」の二酸化炭素排出が原因で、途上国に住む多くの貧しい人々が大変なリスクに直面することです

1、1℃以上の温暖化は、毎年新たに数百万人のレベルで沿岸の洪水被害に苦しむ人々を生み出し、世界の生物種の30%以上が絶滅するリスクを高める

2、2℃以上の温暖化は、毎年新たに数億人の水不足で苦しむ人々を生み出す

温暖化による被害がより懸念されている地域。(IPCC第4次報告書)

アジア

 例えば1mの海面上昇で、沿岸のデルタ地域(ベトナムの紅河流域では400万人が影響を受け、メコン川流域では350~400万人)が影響を受ける

アフリカ

 2020年までに、7500万~2億5000万人が気候変動にともなう水不足および洪水の増加にさらされる。2020年までに、いくつかの国で天水農業における収穫が最大で50%減少する。

南米

 飢餓のリスクにさらされる人が、気候変動によって2020年に500万人増加する。

〔なお、IPCCにも関わったイギリスの研究者の一部は「クライメートゲート事件」を起こしており、信用できないという人もいるかもしれませんが、公的機関による調査の結果、不正の事実は何も見あたらなかったということです。ウィキペディアは玉石混交ですが、この事件に関する記述は出典も明記されており、よく調べてあるため、かなり信頼できると考えています。〕

 その他、IPCCではありませんが、熱帯アンデスの氷河の後退によって、農業用水などに甚大な影響がある、という研究結果もあります。

 なお、このようなリスクを可能なかぎり回避・軽減するための二酸化炭素削減の取り組みが、広い意味での自然の循環を回復させることや、ゆったりした落ち着きのある生活と両立可能であることを私は2007年にHP「『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』について考える」で述べました。 一部引用しておきますね。

〈引用〉 そもそも二酸化炭素削減の「数値目標」をたてて取り組みを進めていくことと、武田氏の言う「人生にとって大切なこと」は両立不可能なのだろうか。私は両立可能ではないか、と考える。

 環境保全や二酸化炭素削減を目指して真剣に取り組んでいるNPOは、全国で数千は存在するといわれる。活動の中心になっている人たちの多くが共有していると思われる考え方は、いわゆる「スローライフ」の大切さである。

 「環境運動」を行う多くの人たちは必ずしも眉を吊り上げて自分を駆り立てているのではなく、そもそも人生や生活にとって大切なことは何か、という原点に立ち返りつつ「自然との関わり方」や「生活仕方」の見直しを進めているようにみえる。

 (・・・)『NHK地球だい好き 環境新時代』(日本放送出版協会)のなかに具体的な取り組みが数多く紹介されている。

 私自身も、今は自家用車をほとんど使わず、暑い夏にはなるべく扇風機を用い冷房をつける場合にも設定温度は29℃から30℃、水を含んだ生ごみは庭に浅く埋める等々、できることは取り組んでおり二酸化炭素排出量は一般家庭の3分の2程度かもしれない、と思う。しかし、子どもと一緒にバスを待ったり家庭菜園を作ったり、JRのなかで本を読んだりと、以前よりもゆったりした気分で生活している。

 高い数値目標をあげて取り組むことと、いわゆるスローライフが両立するかどうかは、EU諸国、特にドイツの事例が参考になるだろう。

 ドイツでは「古いものに価値がある」ということでおもちゃや古着を販売するフリーマーケットは大人気、海外旅行よりも国内旅行が奨励されグリーンツーリズムが盛んである。また、農業政策であるが「(ドイツの)州政府はあらゆる方法で農村を支援し、八〇年代の始めには現在のEU(ヨーロッパ連合)の農業政策に先駆けて、環境保全型の農業経営に補償金を支払う制度を実施した。


 このような背景から、八五年のECの「共通農業の政策展望」では、農業の集約化の反省と共に環境保全型の農業への転換が示唆された。(...)EC理事会は八九年バイエルン州から提出されていた「田園景観維持計画」を採択した。」ということである。

(『ドイツの分かち合い原理による日本再生論』 関口博之著 より)


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2011.09.28

 前回記事では広瀬隆『二酸化炭素温暖化説の崩壊』について、「科学的な観点」から批判してきましたが、それとは別に「原発推進派こそがまさにこの人為的温暖化仮説で大もうけする連中だ」⇒「従ってそのような利権に関わらない主張である『二酸化炭素温暖化説の崩壊』の信憑性が高い」という状況判断をする人がいるかもしれません。

 確かに、科学的仮説の「妥当性」、「信憑性」を判断するに際して全体的状況の評価が重要になることはありえます。しかし、その場合においても、一つの観点だけでなくより総合的な状況判断を行う必要があるのではないでしょうか。

〔別の角度から見た状況〕

1、「人為的温暖化仮説」が嘘だという宣伝を大々的に行いながら、大もうけしようとする人々もたくさん存在している。例えば米国ブッシュ政権の支持基盤であった石油業界関係者が、人為的温暖化に関する政府の科学レポートを懐疑的な表現に修正していた、という事実がある

2、温室効果ガスの増大を抑止すべく努力している環境運動の活動家はほとんど例外なく原発に反対する立場を取っている。有名なところでは環境エネルギー政策研究所の飯田哲也、『不都合な真実』のアル・ゴアなど。

〔「維持費ばかりが高くつく、放射能を帯びた厄介者がある-原子力である」(アル・ゴア著『私たちの選択』ランダムハウス講談社)〕

 また、以前、私が一緒に活動していた市民運動家も例外なく温室効果ガスの削減と原発の廃止を同時に主張している。(福島原発事故よりもはるか以前から)

3、「人為的温暖化仮説」を原子力産業が利用したことは事実であるが、「原発は二酸化炭素を出さない」というのは嘘であり、ほとんどの環境運動家はそれを知っている。

 確かに核分裂反応自体は二酸化炭素を発生させないが、原発が動くために必要な、燃料採掘・精錬・濃縮・核燃料の輸送、使用済み燃料の保管・輸送・再処理など多くの過程で太陽光発電、風力発電、地熱発電とは比較にならないほど多くの二酸化炭素を発生させる。

 電力1kWあたりの二酸化炭素排出量は、天然ガスによる火力発電が443gに対して原子力発電は288gである。(『私たちの選択』アル・ゴア)

4、温室効果ガスの削減で全世界の温暖化対策をリードしているEUは、独自の科学者グループを結成して温暖化の危険性に関する試算を行い、共通見解に達している。EUの中には、原発を保有する国も、脱原発を決定した国もあるが、いずれも温室効果ガス削減の重要性について合意している。

 二酸化炭素税や排出権取引など日本の経団連が「経済成長を妨げる」と主張していることさえ先進的に導入している国が多いことにも注意。


 以上のように、状況判断に関してもそれだけで『二酸化炭素温暖化説の崩壊』について信憑性が高いとはいえないでしょう。そして、前回述べたように広瀬氏の著書のある部分は「科学的な妥当性に問題のある従来の懐疑論の受け売りでしかない」と考えます。

 それでは、「二酸化炭素温暖化説はウソ」という広瀬氏の主張には、どのような実害があるのでしょうか。言うまでもなく、温暖化によるリスクや問題点を拡大してしまうことにつながる、ということです。

 とりわけ、これまでの二酸化炭素排出に責任のない次世代や、植民地支配などで押さえつけられてきた途上国に多くのリスクと被害が集中していくことは、大変な問題である と考えます。

基礎的な内容も含めたいいスライド がありました。よろしければご覧下さい。〕

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