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稲葉忍

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Jun 1, 2019
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カテゴリ:読書・コミック
47歳の本多は訴訟の仕事で、かつて清顕と親交のあったシャム(タイ)の王子と、そのいとこの故郷であるバンコクに来ていた。案内役の菱川から日本人の生まれ変わりを主張するお姫様がいるという話を聞いた本多はそのお姫様に会いに行くことに。姫=ジン・ジャンは本多に会うなり彼のことを懐かしがり、「黙って死んだお詫びがしたい」と言った。彼女は勲が逮捕された日付も、清顕と松枝邸の庭園で門跡に会った年月も正確に答え、明らかに生まれ変わりを証明していたが、後日の姫とのピクニックでは、脇腹に黒子はなかった。それから本多はインドへ旅行し、そこで深遠な体験をする。そして、インドの土産を月光姫に献上し、本多にすがって泣く姫との別れを惜しみながら日本へ帰国する。帰国して2、3日後、日本とアメリカとの戦争が始まる。
戦争中、インドの体験と親友の生まれ変わりに触発され、仏教の輪廻転生、唯識の世界にも足を踏み入れた本多は、戦争中、様々な宗教書を読みあさり研究に没頭する。ある日、仕事の用件のついでに松枝邸跡に足をのばしてみると、そこは焼跡になっていたが、偶然にも老いさらばえた蓼科に会う。本多は聡子に会いたいと思ったが戦局のきびしさでままならなかった。

終戦後、本多は土地所有権を巡る裁判の弁護の成功報酬で多額の金を得て、その金で富士の御殿場に別荘を建てた。隣人には久松慶子という50歳前の有閑婦人がいて、本多の友人となる。別荘の客に歌人・鬼頭槙子や、その弟子・椿原夫人、ドイツ文学者・今西康らがいた。しかし、本多が一番待ち望んでいた客は日本に留学して来た18歳のジン・ジャンであったが、ドタキャンされ一度目は会えなかった。
それから10日後に東京で本多はジン・ジャンと再会。幼い時、勲の生まれ変わりを主張していたジン・ジャンだが、何も覚えていないと本多に告白。美しく官能的に成長した姫に本多は魅了され、年齢不相応の恋心を抱く。そして、ジン・ジャンに執心し翻弄され、別荘のプールに招いた彼女の脇腹に黒子が無いことを確かめた。その夜、本多は別荘の部屋に泊まったジン・ジャンを覗き穴から覗くが、そこに見たものは、慶子と裸で抱き合う同性愛(レズビアン)行為の最中の光景だった。そして、その脇腹には3つの黒子があった。驚いていたのもつかの間、やがて別荘が火事になり、別の部屋に泊まっていた今西と椿原夫人が死亡してしまう。帰国したジン・ジャンもその後、消息を絶ってしまった。
昭和42年・・仕事でアメリカ大使館に招かれ、ジン・ジャンそっくりな女性と出会う。聞くと彼女はジン・ジャンの双子の姉でジン・ジャンは帰国後、コブラに腿を噛まれて死んだと本多に告げたところで終わる。

・自分は日本人の生まれ変わりだと主張するお姫様に出会った本多。質問にはっきりと答えたものの、転生の証であるほくろはなかった。黒子がないのに、前世の記憶があるってのはおかしい。
・戦中の第1部と戦後を描いた第2部の構成となっており、第一部は本多が体験した神秘の体験、仏教の思想「阿頼耶識」、唯識の話が出てくるが、仏教系の学校に通い、仏教のことは少し知ってるとはいえ、「阿頼耶識」の記述は全然理解できなかった。
・戦争中松枝邸後に立ち寄った本多は聡子のばあや・蓼科と再会。聡子の様子を聞いたものの自分は聡子に会おうとは思わなかった。戦争中だったってのもあるが腫れ物に触るというか神聖なものに触れない感じがする。
・戦後、裁判の報酬で金持ちになった本多は富士の御殿場に別荘を建てた。留学生として日本にやってきたジン・ジャン姫に会うのを楽しみにしていたが、なぜか彼女は来なかった。数日後に彼女に会うが、ジン・ジャンは前世の記憶を忘れていた。いきなり前世の記憶がないってのはおかしいなぁ。いったんパウダールームに入って本多を待たせたという描写があるが、この時に何をしていたのかが引っかかる。タイの女友達と会って泊まっていたというのだが、この時に姉と入れ替わっていたのか?
・本多の元に飯沼が現れ本多と思い出話をする。飯沼は終戦直後妻と別れ終戦直後には切腹しようと思ったが死にきれなかったことを話し、生活に困窮してるので金をせびるところも人間の醜さを感じる
・屋敷に招かれた客の一人・椿原夫人は戦争で死んだ息子のことしか話さない、新河元男爵はパーティー好きなのは相変わらずだが物忘れがひどい人になっている、新河夫人は相変わらず日本の文化を軽蔑し、自分のことしか話さない・・・と老いた人の醜さが描かれている。三島は老いを忌避し、死に憧れていた節があるが(「天人五衰」最終話の脱稿日は11月25日でこの日に三島は自決している)、年を取ると心まで醜くなるのはよくわかる。
・本作では狂言回しである本多の視点がメイン。傍観者であることを無上の喜びとしている彼はジン・ジャンに年齢不相応な恋心を抱き、ジン・ジャンの裸体見たさにプールやのぞき穴を別荘に作ってしまうって変態。ある夜に覗きをしていたって描写があるけど、ここも変。パーティに集まった人々同様「老いることは醜い」って三島の持論を垣間見られる。
・ある夜、本多はのぞき穴からジン・ジャンを眺めるが、慶子とレズ行為の最中を目撃。この行為でジン・ジャンには転生のしるしである黒子を発見するが、ほくろがあったりなかったりと読んでる方は混乱する。転生自体あり得ないってことを言うためなのか?
本多がジン・ジャンの左わきに黒子を発見した直後に屋敷は火事になり、今西と椿原夫人は焼死。ジン・ジャンも行方知れずとなる。それから10数年後仕事でアメリカ大使館を訪れた本多はジン・ジャンそっくりの女性と会う。本多が尋ねると彼女はジン・ジャンの双子の姉で妹はコブラに腿を噛まれて死んだと告げて終わりとなるが、本作では転生者が脇役になっているため、ジン・ジャンは本当に転生者なのかわからない描写になっている​


ジン・ジャンのモデルには、タイからの留学生で22歳の東大経済学部に学んでいたスワンチットという美人学生を留学生会館で小島千加子(雑誌『新潮』の三島担当編集者)の協力によって選び、一度三島邸で面会したものの、その後に一晩東京の街で会う約束をすっぽかされたまま、彼女が帰国してしまったために作品の内容もそれに沿ったものに変更されていったという


暁の寺 豊饒の海第3巻 新潮文庫 改版 / 三島由紀夫 ミシマユキオ 【文庫】





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最終更新日  Jun 8, 2019 12:20:43 AM
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