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稲葉忍

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Jul 8, 2019
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カテゴリ:読書・コミック
妻に先立たれた本多だが、慶子との友諠は続いており世界旅行や日本の名所に向かうなど悠々自適の生活を送っていた。、天人伝説の伝わる三保の松原に行った折、ふと立ち寄った清水港の帝国信号通信所で働く青年・安永透と出会う。透の左わき腹に3つの黒子を発見した本多は清顕の生まれ変わりではないかと考え、彼を養子にする。
 本多は透に英才教育やマナーを施し、清顕や勲のように夭折しないよう教育する。しかし透の精神構造が自分そっくりと感じた本多は透が転生者ではないと疑うようになっていた。
 透は次第に悪魔のような男となり、本多の決めた婚約者を陷れて婚約をご破談にしたり、東大に行く頃になると本多にも危害を加えるようになる。
 本多はそのストレスで20年以上やっていなかった公園でのアベック覗き見を再びしてしまい、警察に取り押さえられ、その醜聞が週刊誌沙汰になる。それを聞いた透は本多を準禁治産者に追い込み自分が当主になろうと企む。本多の醜態を見かねた慶子は透を呼び、本多が透を養子にした理由、3つの黒子にまつわる転生の事を話し、あなたは偽物だと透をなじる。自分のプライドを傷つけられた透は本多から夢日記を借りた後、12月28日に夢日記を焼いて服毒自殺を図るが死ぬことが出来ず、失明してしまう。透が21になる数か月前だった。秘密を勝手にバラされた本多は慶子と絶交してしまう
 翌年の3月20日の21歳の誕生日を過ぎたが、透は大学をやめ、点字を学んで穏やかに暮らしていた。自分を絶世の美女と思ってるブサイク女の絹江の成すがままにされ、頭に花を飾って天人五衰のようになっていた。一方自分の死期を悟った本多は60年ぶりに一人で月修寺へ向かい、門跡となった聡子に会う。本多は聡子に昔の話をするが、聡子は清顕という人は知らないと答える。それを聞いた本多は何もないところへ来てしまったと悟る。

「豊饒の海」の最終章で最初考えられていた案としては本多が転生者を探すために新聞の人探し欄や私立探偵を使うなどし、聡子から手紙で〈何を探してをられる?〉と問われ、聡子を訪問した後に病に倒れて入院し、転生者の黒子がある若い〈電工の死〉(転落死)を窓越しに見て臨終を迎える大団円のプランが看取されている。1968年(昭和43年)のインタビューでも、〈ドス・パソスの有名な「U・S・A」みたいに、その時点の日本の現状にあるものをみなブチ込んで、アバンギャルド的なものにするつもりだ〉と三島は述べている。この〈若い電工〉という転生者の死が本多に救済をもたらすという構想は、第三巻の完成の〈いひしれぬ不快〉の後でも基本的には変わらなかったが、しかしその後第四巻の主題は〈悪の研究〉と変更され、〈天使の如く〉であった〈少年〉が、〈悪魔のやうな少年〉に変更された。また第四巻の完結は1971年(昭和46年)末になるであろうと三島は述べていたが、実際の掲載終了は三島の自死(三島事件)により当初の予定よりも約1年余り早まった。1970年(昭和45年)3月頃、三島は村松剛に、「『豊饒の海』第四巻の構想をすっかり変えなくてはならなくなった」と洩らしていたとされる。なお、〈天人五衰〉の前に予定されていた第四巻の題名は〈月蝕〉だった。

・ 最初は透の視点から話が始まる。彼の仕事は清水港に出入りする船の監視と連絡。仕事柄、眺めることが至上の喜びと考えている。ここは本多と精神構造が確かに似ている
・透のところによく遊びに来るのが絹江というブサイク女。三島は彼女のブサイクぶりを「それは万人が見て感じる醜さであった。そこらに在り来たりの、見ようによっては美しくも見える平凡な顔や、心の美しさが透けて見える醜女などとは比較を絶してどこからどう眺め変えても醜いとしか云いようのない顔であった。その醜さは天稟でどんな女もこんなに完全に醜くあることはできなかった。」と書いているんだが顔は想像できないなぁ
絹江は失恋したショックから気が触れ、自分が絶世の美女と思ってる。透には「美しく生まれたことが不幸」とか「男は私を見ると獣になってる」などと妄想炸裂な言葉を吐くが、ここまで妄想を膨らませた発言をする人はいないなぁ。
・透を養子にした本多。彼に英才教育を施し早死にしないようにと思っていたが、透は次第にやりたい放題するように。本多が薦めた縁談をご破談にする、本多のお気に入りである百日紅の花を切り落としたり、虐待したり・・
・作中透の手記が挿入される。「眺める」行為に快感を覚えている。浜中家の人々の事、20になっていないのに人生を達観していることを見て取れる。また、本多を陷れたいと考える思考も出てきており、次第に俗物っぽくもなってる。
俗物っぽいところを露呈しているところが、今までの転生者と異なるから後の慶子の説教につながる?
冬の一日を述べた手記で、黑いベレー帽をかぶった男が雪の降る中、傘も差さず何かを抱えている。老人は野菜くずと鴉の死骸らしいものを落とす。唐突に現れる老人は何者だったのだろうか?「(鴉の死骸が)女の鬘のように思はれだした」とあるんだけど老人は腹案にあった転生者の「偽物」か?
・悪魔のような男となった透は本多を虐待するだけではなく、老人の醜さを軽蔑するようになる。「暁の寺」での本多の別荘に集まった人々の醜さ同様、老いの醜さが描かれ、「老いることは醜い」という三島の持論が見て取れる。
・透にいじめられたストレスから覗きをやる本多。いじめられた反動なのか「半年後に透が死ねば彼は本物ってことが証明される」(大意)と透のことを憎しみいっぱいに語ってます。そこで黑いベレー帽をかぶった男が唐突に現れて女性を刺す・・って展開になる。当初4部では清顕・勲・ジン・ジャンの偽物を出す構想があったというが、この男も野菜くずを落とした老人同様偽物?
・クリスマスに慶子に呼び出された透は慶子に自分がなぜ本多に養子に望まれたのか?と切り出される。慶子は左わき腹の黒子のこと、転生者は20で死ぬ運命など自分と本多だけが知る秘密をバラした上で透に「あなたは偽物で特別なものなど一つもありません。」と透を喝破する。慶子が透に説教するときの
「・・・あなたがあと半年うちに死ななければ、偽物だったことが最終的にわかるわけですけど、少なくとも本多さんの探していた美しい胚種の生まれ変わりではなくて、なにか昆虫で云えば擬きの亜種のようなものだということがはっきりするわけですけど、私は半年なんか待つまでもないと思っているの。見ていて私はあなたが半年のうちに死ぬ運命が具わっているようには思えない。あなたには必然性もなければ、誰の目にも喪ったら惜しいと思わせるようなものが何一つないんですもの。(略)お金と力を手に入れたら、その次に欲しいものは出世ですか、それとも幸福ですか。どうせあなたの考えることは世間一般の凡庸な青年の考えを一歩も出やしないわ。(略)あなたには特別な所など一つもありません。私があなたの永生きを保証するわ。」って所は後になって高学歴などがもてはやされるようになったり、物質社会と化しつつある・・と現代には美しいものはない、明治~戦中の方が美しいものがあったという今の若者に対する皮肉を書いたのか?
「松枝清顕は思いもかけなかった恋の感情につかまれ、飯沼勲は使命に、ジン・ジャンは肉につかまれていました。あなたは一体何につかまれていたの?自分は人とは違うという何の根拠もない認識だけにでしょう?」ってのは人間誰にでも有り得るが、自尊心だけが膨れ上がっている現代人の一部なんかによくわかる心理。
・自分のプライドを傷つけられた透は自分は選ばれた者だから20で死ななければならぬと考えたのか服毒自殺を図るが死ぬことが出来ず、失明してしまう。そのことで透が偽物であることが証明されたのだが、自殺未遂の後、透は東大を辞め点字を学ぶようになるなど人が変わったようにおとなしくなる。絹江の成すがままにされ死人同然のようになっていく透の姿は早い段階で人生を達観した人間の末路だよなぁ
・死期が近づいたと思った本多は意を決して月修寺を訪れ。聡子に会いに行く。本多は聡子に清顕の事を語るが聡子は「その松枝清顕さんといふ方は、どういうお人やした?」と清顕を知らない風な態度を取った。
「いいえ、本多さん、私は俗世で受けた恩愛は何一つ忘れはしません。しかし松枝清顕さんといふ方はお名をきいたこともありません。そんなお方は元々あらしゃらなかったのと違いますか?何やら本多さんがあるように思うてあらしゃって実は初めからどこにもおられなんだ、といふことではありませんか?お話をこうして伺ってますとな、どうもそのように思われてなりません。」
「記憶と云うてもな、映る筈もない遠すぎるものを写しもすれば、それを近いもののように見せもすれば、幻の眼鏡のようなものやさかいに」という聡子のセリフは世の無常さを示した言葉。
「それなら勲もいなかったことになる、ジン・ジャンもいなかったことになる。その上ひょつとしたらこの私ですらも・・・」と呟く本多。月修寺の何もない庭園をみて自分は何もないところへ来てしまったと思った本多・・って展開で終わる。転生ってのは夢(認識の誤認)と今まで見てきた(読んできた)人を置いてきぼりにしている。最後に書かれた日付、昭和45年11月25日は三島が切腹した日だが、死=解脱と同義に考えたのか?三島は戦後民主主義に対する批判も持っていたし。

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天人五衰/三島由紀夫





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最終更新日  Jul 8, 2019 11:59:15 PM
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