春のこの季節、桜や桃、杏などのバラ科の花木が
花を咲かせていますが、朱色が基本の木瓜(ボケ)
も色とりどりの花を咲かせていますね。
つい先日も、スーパーでボケの展覧会がありました
ので覗いてきました。赤や白、それにしぼりの入った
花など、どれもきれいでしたよ。
ところで、この庭木でも馴染みのボケは中国原産の
植物で、日本の野山を見渡して見つかりませんが、
それはそれ、実際には日本にも固有のクサボケと
いう近縁の植物が自生しています。
人によっては「シドミ(由来不明)」と呼ぶほうが通じる
場合があるようですが、他にも「ジナシ(地梨)」とも
呼ばれています。
分布域は関東以西の暖かい地方で、日の差し込まない
林内よりは、野原や林縁などの日当たりの良い場所を
好むようです。
また、地を這うようにして生えているその光景から
「草ボケ」と表現され、小さいボケなので「コボケ」とも
呼ばれるようです。
写真はその地を這うような枝についた花を撮影した訳
ですが、ほんとに地面すれすれに咲いているのです。
クサボケ全体 posted by (C)sasama_tea
どこまでがひとつの木なのかは定かではありません
が、地下茎で地面を覆うほどにクサボケが繁殖して
います。
本来は枝が膝の高さくらいには伸びるのですが、
この場所は定期的に草刈りされてしまいますので、
その都度にざくざくと刈り込まれてこの程度しか
枝を伸ばせないのですね。
ただ、それでも充分とばかりに花は見事に咲いて
います。
(なお緑色の物体は、土砂流失防止用のナイロンネットです。)
写真はありませんが、秋には「地梨」の名の元にも
なった梨のような実がつきます。
この実は渋くて生食には堪えられないようですが、
その香りは甘く、果実酒には最適だそうです。
私はお酒にはしませんでしたが、芳香剤代わりに
机の上に飾ったことがあります。
ひと月以上も香りが続き、当時は満ち足りた思いを
させてもらえました。
ただ最近は、その実に出会う機会がなく、今年こそ
は、と探しては見つからないを繰り返しています。
刈り取らないで欲しいのですけれどね。。。
なお余談ですが、この撮影場所のすぐ近くで大きな
掘り跡を見つけてしまいましたが、その場所にも
クサボケの花が前の週まで咲いていました。
クサボケの数も減少傾向にあるそうで、何かがっかり
させられてしまいました。
以下はおまけですが、明るい場所を好むクサボケ
とは正反対に、こちらの植物は暗い場所を好みます。
ヒトリシズカ posted by (C)sasama_tea
センリョウ科の多年草で、ヒトリシズカ(一人静)です。
花弁はなく、白い棒状のものは雄しべの花糸に
あたる部位になります。そして何故か、花粉はその
基部から出ています。
何もなかった場所からボコボコと出現して、ぱっと
花を咲かせたかと思うと、あっという間に花の期間
が終わってしまうせっかちな植物です。
花の時期は清楚な静御前のような雰囲気でも、
花が終わった途端に植物体は巨大化します。
まるで、結婚当時は可愛かった若奥様が、時間
経過とともに肥大化していくような・・・そのような
ものですかね。
(私の実体験ではありません、念のため)
ヒトリシズカの開花期間は非常に短いため、
ご覧になる場合はお早めに。
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