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カテゴリ:法律
いまさら人に聞けないような初歩の,それでいて極めて実務的な法律問題についてまとめた『Q&A分けて弁護士からの相談374問』を読んだ。軽く感想を書いていく。
Q&A若手弁護士からの相談374問 [ 京野哲也 ] まずは簡単に目次を見ていこう,とおもったが全部で19章もあるので,いちいち列挙するだけで大変なことになる。とりあえず面白そうなのを3つほど上げるとこんな感じ。 第1章 情報収集と情報の取り扱い 第2章 相手方の行方不明・不在の場合 第14章 小さな会社・団体のよくある相談 まず,「職務上請求で取った戸籍を依頼者に見せていいのか」とか,「相手のおおよそ住所が分かっている場合の住民票取得」とか,基本書にはあまり掲載されていないだろう,現場での対応について書かれている。 このほか,「不貞相手への受任通知を送る際の注意」だとか,「字が書けない人からの委任状の取り方」たとか,極めて基礎的であるが,実務的に迷いやすいものばかり書いてある。 特に第14章の「小さな会社・団体のよくある相談」は必見である。法人なりしている家族会社は株式会社ではあるものの,実質は個人商店と変わらない。それでも一応は会社になっているため,株主総会をしてないとかはザラであり,名義貸し的に取締役になっているものの,登記を抹消してくれない等の奇妙な相談が来る。 会社法を知っていれば自力で答えが導き出せるのだが,意外とこういうのは自信をもって答えづらく,こんなもの解説している書籍は貴重である。 正直,374問もQ&Aを集めれば,「こんなの常識だよ」というものもあるけど,自分があまり扱わない分野だと,「危な…知らなかったぞ…。」というものもある。 具体的に,何を知らなかったかは恥ずかしくて書けないが,弁護士を5年以上やっている僕でも知らないことは平気で書いてあるし,Twitter見てると修習生時代に僕を指導してくれた民事弁護教官ですら「役に立つ」と述べているのだから。 また,量を重視しているため,1つ1つの解説は短い。その代わり,必要な参考文献を網羅して,いちいち適示してくれる。「より深く知りたければ,この参考書籍を読め」ということだ。必要な知識があるが,どの本を読めばいいか分からない,という状態を解消できるのも魅力だな。 Twitterでもバズったが,本書54頁には「無知ゆえに不安がない,というのが最も危険です」とある。これはまさしく至言であり,法律家たるもの理屈や頭で考えるより先に,危険なところが感覚的に分かるようにならなくてはいけない。そのためには広い知識を入れる必要がある。 「質より量」という考え方もあるが,「量は質を担保する」という考え方もある。この本はそのために役立つというべきだろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2019.05.07 19:23:47
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