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カテゴリ:ラノベ
高校生くらいのとき読み込んだ銀河英雄伝説。ふと読み返してみたらかなり面白くてとまらなくなった。とりあえず1巻感想から書いていく。
銀河英雄伝説 1 (MAG Garden NOVELS)[本/雑誌] / 田中芳樹/著 いまさら説明はいらないと思うけど、銀河英雄伝説はSF業界は1980年代の作品だからではもはや古典になるかもしれない。アニメになったり、作画を変えて漫画化していたりしていて今でも継続して作品が出てる。 30年近く前の作品だから色々とアラはあり、描写を見る限りインターネットというものがなさそうだし、携帯電話もなさそうだ。宇宙であれだけやる技術があるのに、なぜ携帯すらないのか、とかやるとキリがないのでやめておく。 さて、銀河英雄伝説は2人の、違うタイプのキャラクターを主役にするダブル主人公体制で話を進めている。野心家で戦略に優れるラインハルトと、どこか厭世的で戦術に優れるヤン・ウェンリーだ。 そういえば、僕は藤崎竜の漫画『封神演義』で「戦略と戦術が違う」ということを知ったのだが、詳しくは銀河英雄伝説になるのかな。たぶん、藤崎竜もちょうどいま、銀河英雄伝説のコミカライズを連載中だし、この作品から影響を受けてた可能性は高いな。 さて、読んでて驚いたのは、読み手の僕の成長によって楽しみ方が大きく変わった、ということだ。 初見のときの僕はせいぜい高校生くらい。働いた経験もないし、政治の興味も全くない。だもんで、銀河英雄伝説読んでいても政治的な話は「退屈だなぁ」と思って適当に読み、コメディ部分とか戦争の場面を楽しむという読み方をしていた。 ところが、今読むと政治の部分がかなり面白い。 主に銀英伝において政治というと、ラインハルトの帝国側では主役である下級貴族出身のラインハルトを格好良く書くため、敵は大貴族になる。すると、世襲の貴族制をこき下ろすことになる。だか、貴族制は身近にないから読み飛ばす。 問題は、ヤンの所属する自由惑星同盟側だ。ここでは、民主主義のシステムを取りながら独裁的な権原を振るう政治家だとか、愛国の名の下に権力者が国民を戦場に送り込んだりするといった現象が描かれる。これは現代日本にも大いに通じるところがある。田中芳樹が30年前に現代日本を予測していたというべきか、この程度の腐敗はいつの時代でもあるというべきか…。 個人的には、ヤンがヨブ・トリューニヒトの演説に対し、起立を拒否することで抵抗を示すシーンが非常に好きである。ヤンは養子のユリアンにさえ、「心の中なんか他人には見えないんだから、立って見せればよかったじゃないですか?」と言われる。 さしづめ、現代日本なら、春の風物詩と化している教師による『君が代』の拒否かな。 ただ、こんなヤンみたいな人物、身近ににいると、たとえば上司とかにいると辛そうだなぁ…。 あと、軍事面について。 高校生のころは、「数倍の敵を各個撃破で打ち破るラインハルトはすごいなぁ」と思ってたけど、たぶんこれの元ネタはナポレオンかなぁ、とか思う。 もちろん、理屈の上でできるからといって実践に移し、なおかつ成功させたラインハルトはナポレオンと同等以上なんだろう。ただ、なぜラインハルトの作戦をヤン以外の誰もが見破るとか、気がつくということがないのか。この辺は少し考え込んでしまう。 あと、ヨブ・トリューニヒトの、「同胞たちはなぜ死んだのか? 愛国心ゆえである!」と煽る演説をするのに対し、ヤンが「首脳部の作戦指揮がまずかったからさ」と呟くのは、機動戦士ガンダムでシャアが「坊やだからさ」と呟くののパロディじゃないか、と勝手に思ってる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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