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2019.08.29
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カテゴリ:ラノベ
ついに来るべきときが来てしまった…。20年ぶりくらいに再読を始めた銀河英雄伝説。
5巻のバーミリオン星域会戦で事実上、自由惑星同盟が帝国の属国になったのも1つの区切りだが、この巻も2つ目の区切りと言えるかもしれない。いや、物語の終わりといっても過言ではないだろう。



銀河英雄伝説 8 (MAG Garden NOVELS)[本/雑誌] / 田中芳樹/著

今回の表紙は自由惑星同盟の軍服を着た女性。フレデリカかもしれないけど、若いからカリンだろうと思う。
あと、具体的なあらすじはリンク先を踏んで欲しい。このブログでは基本的にヤン・ウェンリーについて、色々と書いていきたい。

さて、ネタバレしてもいいと思うけど、この巻でヤンは死ぬ。悪名高き「魔術師、還らず」である。
銀河英雄伝説を知らない人がこの記事を読んでいるとは思えないが、ヤン・ウェンリーはこの小説の主人公のうちの1人である。三国志で言えば、劉備玄徳みたいなものか。高校生時代の僕は、ヤンが死ぬという想定外の出来事に驚き、「せめて死ぬとしたら最終巻じゃない? あと2巻は何するんだよ…。」と思ったものである。

劉備玄徳の話をしたが、ちょうどこの8巻を読んでいたのは、東京で三国志展を見た帰りの新幹線の中だった。ヤンが死ぬ、テロリストの凶弾に倒れる、そのことは知っているので、なかなか話を読みたくない。
なんとも心憎いのが、この時期の田中芳樹の筆力の高さである。恐らくは、田中芳樹の全盛期だ。田中芳樹は、けっこう作中で登場人物を、それも人気キャラを殺す。人気キャラには、格好良く散るものもいれば、ほぼ無意味に死ぬ者もいる。
ここで大切なのは、格好良く死ぬ者はもちろん、ほぼ無意味に死ぬ者にも見せ場というか、無意味なりに意味があるというところ。
たとえば、ヤン・ウェンリーが死ぬとき、ついでにと言ってはなんだが、同行していたパトリチェフやブルームハルトも殺されてしまう。この2人は、ヤンを助けるため、彼らなりに努力し、それぞれに命を投げ出した。巨体ながら大した戦闘力を持たないパトリチェフは、「よせよ、痛いじゃないか…」と言いながら蜂の巣にされたが、死んでもその巨体でドアを塞ぎ時間を稼いだ。ブルームハルトはたった1人で7人以上のテロリストを倒すが、重傷を負う。そして、救援が来たことから、「ヤンが助かった」と誤解をしつつ死んでいく。
パトリチェフの「よせよ、痛いじゃないか…。」はありそうで、いかにもパトリチェフらしい。そして、ブルームハルトにしても、結果論だが彼のやったことは無駄だった。でも、それでいいのだ。彼らはまばゆいばかりに輝いているのだ。
失礼を承知で言うけど、たとえば田中芳樹が近年完結させた『アルスラーン戦記』あたりを読みくらべると「銀英伝に比べて、アルスラーン戦記の死なせ方が雑だな…」と思うところもある。死なせればいいってもんじゃないんだよ…。

脱線したが、ヤン・ウェンリーに話を戻す。
小説の登場人物というのは、基本的に作者の分身だという考え方があるが、ヤン・ウェンリーという人物はまさしく田中芳樹の分身なのだろう。
ヤンの、「権力に対しては批判的で、愛国心を煽りながら自分は後方にいる政治家は大嫌い」という心情は、他の田中芳樹の小説を見てても、多くの主役級のキャラが持っている傾向だし、「普段はだらしないけど、本気を出すと有能」というのも1つの完成された魅力を持つ。
じゃあ、なぜヤン・ウェンリーはここで死ななければならなかったのか?

1つの答えとしては、田中芳樹がヤンを負けさせたくなかったからではないか、と思う。
ヤンは不敗の名将である。5巻でラインハルトとはバーミリオン星域で戦ったところ、戦術的には勝利していた。また、8巻のイゼルローン回廊の戦いでもラインハルトと直接対決をしたが、このときは勝てもしなかったが、負けもしなかった。帝国が撤退したというところを見れば、勝ちと判定しても良いかもしれない。しかも、ヤンは圧倒的に少ない兵力でそれを成し遂げた。
そして、作中でも繰り返し、ヤンは不敗だったということが説明されている。

かように、ヤンは戦術に関しては天才的だが、政治力が全くない。読んでてつくづくそれは思う。以前、「6巻以降のヤンは迷走してるように見える」と感想を書いたが、やりたいことが見えてこない。どうしても、2人の主人公で戦術のヤンと戦略のラインハルトと設定した以上、戦略が勝るのは必然である。
しかも、回廊の戦いでは、フィッシャーが戦死したことでヤン艦隊の機動力は激減してる。もう、ヤンの未来はラインハルトに膝を屈するしかないのだ。しかも、6巻での流れからしてもそうだが、ヤンは帝国の支配の下では生きられない。反乱をしてしまうからだ。そうなれば、物語を終わらせるには、ヤンは死なせるしかない。
ただ、著者としては、自分の分身、自分の理想の主役であるヤンを戦場で死なせたくなかったんじゃないかな…。だが、テロリストに殺されるなら、事故みたいなものだ。ヤンは負けたわけじゃない。
そんな背景があったのかもしれない。
ぶっちゃけ、ヤンが死んだあとの銀英伝はオマケみたいなもんである。ラオウが死んだあとの『北斗の拳』みたいなもんか。
最終巻でヤンを殺せない以上、ここらで殺しておくしかないんだよね…。あとは事後処理というか、広げた風呂敷を畳む作業に入らなければならい。そらに2巻を必要とした。そんなところだろうか。



銀河英雄伝説 8 (MAG Garden NOVELS)[本/雑誌] / 田中芳樹/著





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最終更新日  2019.08.30 09:49:45
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