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2007.10.29
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カテゴリ:税理士の仕事
いつものように 朝8時前に事務所にいき、電気ポットでお湯を沸かし、ゴミを出してから机やテーブルの雑巾がけをして、ダスキンモップで床を隅々まで掃除して、

パソコンに電源を入れメールを確認し、それから所沢支部のブログを読み、今日の予定を見直して仕事の準備をしているときに、一本の電話がありました。  

「先生 2年前にお世話になった○○です。」

はじめは誰か直ぐに思い当たらず、「あぁ どうもどうも」と中途半端な返事をしながら話を聞いていくと、何でもご主人が亡くなったとの事。

ここまで話を聞いてやっと思い出しました。そうです2年前にお父様をなくされて私が相続の申告をした○○さんの奥さんでした。

しかし 確か彼はまだ50代だったはずです。とりあえず予定を確認して後日事務所に来ていただくことにしました。

奥さんが事務所に来たときは、手には資料らしきものは何も持っておらず、5月29日に亡くなった事。それからの、いろいろな出来事を話し始めたのです。

私は、メモ帳を取り出して取り留めのない話を聞くこととなりました。

とりあえず、相続のことを頭に描きながら、確か土地があったなとか預金をかなり相続していたなとか、相続税がかかるかなとか、頭に思い描きながら話を聞いていたのです。

仕事に関係ある事柄のみをメモしながら、話を聞いていくのですが、奥様は話しているうちに亡くなった当時のことが甦り段々高揚してきて、

ご主人の病気の話となり胃がんであったこと、それから癌が転移したこと、病院の対応のまずさについて悔やんでいること等を話し始め、目には涙をいっぱいためておりました。

私と同年代のご主人の話でもあり、2年前の相続のときのご主人の遺産分割の見事さなどを思い浮かべておりました。

必要な資料の説明をしていたら、私の書いたメモが、因幡晃の「わかって下さい」状態になってしまいました。

・・・・・これから淋しい 秋です
・・・・・ときおり手紙を書きます
・・・・・涙で文字がにじんでいたなら  
・・・・・わかって下さい           因幡晃


また 先日 仲間の司法書士の紹介で「相続税が課税されるかもしれないので相談にのってほしい」との連絡を受けました。

早速 事務所に来ていただいたのですが、まだ 50代前半の奥様でした。

結婚が遅かったので、お子さんはまだ高校生と中学生で、これから2人とも受験を控え、大変な時期にさしかかっていることなどを、よどみなく話されるのです。

そして ご主人は二人のお子さんの将来を大変気に掛けておられた事など・・・。

ご主人は大腸がんで亡くなったとの事でした。私よりも2歳も若いのです。

私もよく知っている○○病院で治療を受けておりましたが、癌が転移していたことを見つけるのが遅れ、再手術となり他の有名な大学病院で手術を行なったが手遅れであったことなどを目に涙をいっぱい溜めて、話されるのです。

またまた うかつにもメモを取っていた文字が私の涙でにじんでおりました。

・・・・・忘れたつもりでも 思い出すのね
・・・・・町であなたに似た 人を見かけると
・・・・・ふりむいてしまう 悲しいけれどそこには
・・・・・愛は見えない

・・・・・涙で文字がにじんでいたなら  
・・・・・わかって下さい           因幡晃


年を取る、最近は加齢とも言うようです。

加齢臭などと古本を嗅ぐ時にいやな顔をする小娘どもが最近よく使っていますが、私は古本の萎びた臭いが大好きなのです????

しかし確かに涙もろくなったのか、本や映画・舞台などを観ていて何故か感動してしまい、涙を浮かべることが多くなりました。

今年は2月にも地方公務員の方で定年前に亡くなった方の相続申告をしておりましたので、今年は50代で亡くなった相続は3件目になります。

相続はいつどんな状況で起こるかわかりませんので、家族の方にとってもテレビドラマの中で展開される、しらけた話ではありません。

こればかりは、当事者でなければ理解しがたいものです。

3人とも私と同年代の相続であったため、残された家族のこれからの人生が大きく変わることを考え、身につまされております。

ただ 私と同年代の方とはいえ、私にはこれだけの財産を残すことはありえないのです。

税理士は決して儲かる商売(????)ではありません。

他人の相続の計算をしながら、ゴミ出しに気を使い一人淋しくお茶をすすり、惨めな涙を流すのです。



安西節雄





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Last updated  2007.10.29 08:22:37
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