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第八章
大学校内の道を、イチョウの落ち葉が、黄色に敷き詰めている。 東北の秋は短く、すぐ冬になってしまう。散り尽くしたイチョウの木々が、白い 綿帽子をつける日も間近い。
秋の陽射しは、研究室の奥まで覗きこみ、長い影を残している。
しかし、准教授に推挙しなければ、二人の関係を妻か学長に暴露すると脅かされては、 このまま放置しておくのはまずい。千佳との関係は冴子と会う前に出来たものだが、 その後もずるずるとここまできてしまった。
研究室をそろそろ託しても、いいかな・・・ )
ては、 君も本意ではなかろう。 )
かもしれない。だから、僕との関係も、今日で終わりにして、准教授への道を確実に した方が、君のためだと思うのよ。) 別れても構わないけど・・・・) わからなかった。
ここは、東京下町にある、小さなマンション。
ベッドに体を横たえながら、久実は仙台にいる夫黒田のことを想っていた。教え子で 優秀な男がいると父からの薦めで結婚し、早いもので二十数年が過ぎていた。三年前 子宮ガンが発見され、卵巣への転移が見られた末期段階であったことから、子宮卵巣を 全摘出せざるをえなかった。
それ以後他の部位への転移は認められないが、治癒の為闘病生活の日々を送っていた。 幸いなことに娘が成人しているので、身の廻りの世話はしてくれる。もともと病気がちな 久実であることもあり、黒田の仙台学院大学への転勤にも、彼女を帯同することはなかった。 それを、妻の役目を果たせずに申し訳ないと、涙ながらに久実は黒田に詫びたのだった。
黒田からは、3日に1回ぐらいの頻度で電話があり、病状を細かく聞いては励ましの 言葉をくれた。今般学部長に昇進したとの報告もあったが、久実にとってはそんなこと よりも、 単身生活での食生活で健康を害してしまう事の方が、心配であった。
きちんと食事をしているの?との問いに対して、俺は近くのスーパー・コンビニの弁当を 食いまくり、ほとんど制覇したと電話口で笑っていた。
黒田からここしばらく連絡がないが、夫は元気でいるのだろうか? 窓から見える空には、いくつもの鰯雲がなたびき、秋から冬への景色に変わっていた。
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