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想い出は心の宝石箱に。。。

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2014.11.05
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                      第九章

 

 

    夫の追及は、執拗だった。



    冴子のバックから業務日報を取り出し、何月何日は何処で何をして
いたのだと、問い

    詰めてきた。外勤者は、面談者・時間・内容を時系列的に記し、翌日の朝礼時に提出の

    要があるから、いつも日報を自宅に持ち帰り、記入していたのであった。黒田と密会して

  いる時間については、曖昧な表記が多い。確かに、夫が指摘したところは総て、黒田との

    情事に費やされた日々である。

 

  ( いくら夫婦とはいえ、ひとの携帯やバックなど私物を、勝手に見ていいわけえ~~?! )


  ( うるせえ~!! お前に、そんなことぬかす、権利があるのか!!)

 

     冴子は初めの頃、夫の詰問に対し適当な返事をしていたが、途中で一々答える事が馬鹿

     らしくなり、無言を押し通した。

 

 

                     


                       

  ( なんだ。嘘の言い訳の次は、黙秘か。お前はな、俺の妻という
ことを忘れんなよ。

        馬鹿にするのも、いい加減にしろ!!!  )


 ( 私が、何をしたというの? 母として、二人の子供の面倒をみ、
妻として家事の責任は、

         果たしているでしょう。だいたい、貴方の妻というけれども、私は貴方の所有物では

         ないのよ。一人の人間として自由に生き、そして恋だってしてどこが悪いというの!! )


  (  なに~~!盗人猛々しく、よくそんな事が言えるな !いったい、
相手の男は

         誰なんだ・・・・ )


 ( 。。。。。。。。 )


 

                   

 




     激昂した夫は、冴子に飛びかかった。パジャマのボタンを引きちぎると、
冴子を押し倒し、

     乳房を鷲掴みにした。


 ( やめてくださ~~い! いったい、何をするのですか~~!!)



   冴子の悲鳴を聞きつけて、子供たちが二人の間に、割って入った。


 ( お願~~い!!、ママをいじめるは、やめてえ~~~!!! )


   荒い呼吸の中で、

 ( もう、いい。お前も覚悟の上で、浮気したのだろう。そんな
ふしだらな女に、

         子供は絶対に渡さないからな。 )


   と、夫は捨て台詞を残した。冴子の一番弱点をついた、言葉であった。

 

 



      

 

 

   その年の暮から正月にかけては、9連休の長い休みとなった。

   年が明けても冴子とは、連絡が一切とれない日々が続いた。


 ( 電話もメールも、携帯に絶対にしないでください。理由は今は、言えない

         けれども・・・・ )


    との、公衆電話からの短い連絡が年末にあった。黒田が話そうとした瞬間、電話は

      一方的にきられ、それが最後となった。

 


                

 

 

                   

   おもいあまって、会社に電話すると事務員が、

 ( 武田はただいま、外出しております。何か、お言付けでも? )


   と、恒に答える。冴子に何か異変が、起きた事は間違いない。そして
明らかに、自分との

     接触を避けている。


   逢えなくなって、冴子が自分にとって、いかに大切な存在なのか、
改めて気がつかされた。

     あの明るさが、沈みゆく己の魂を救い、成熟した肢体が、母の胎内に回帰したごとく、

     精神の安らぎを、与えてくれていた事を。


   千佳とは、単なる情欲の関係だが、冴子は黒田が忘れていた<愛>
という言葉を、

     心の中に呼び戻したのだった。


   逢いたい・・・冴子に、どうしても逢いたい・・・・

 

      

つづく~  いぬ    いぬ

 

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Last updated  2014.11.05 23:57:50
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