想い出は心の宝石箱に。。。

     あっ、そういえばこんな、危ないこともありました。

  　新規顧客開拓にやっきになっていた皇子は、ある鉄鋼加工会社の社長さんと

　  知り合いました。彼は、皇子を気にいったのか、 ゴルフや飲食に度々連れていって

　　くれました。

　　ある時、

　（　悠愛さんは、単身赴任ですよね。夜は、寂しいよね～！　）

　（　はあ～～？？　）

  （　単身赴任で郡山に来て、女性問題を起こした支店長が、

       ものすごく多いんだよね。

　　 この郡山って、昔からやくざの街なのよ。女とのトラブル

       で脅され、がっぽりと手切れ金を絞りとられた、支店長

       もいてね。やくざとの手打ちを、私がやってあげたわけ。）

　　彼は、ねっとりした目つきで、皇子の表情をさぐったのでした。

　　そういえば、郡山に赴任前東北に詳しい方から、

　（　飲み屋などで絶対に騒いだらいかん。郡山は東北の

        シカゴと呼ばれ、ヤクザの抗争の地。ドンパチなど

        当たり前で、稲川会の流れを組む、紘龍一家が勢力

        を張っているんよ。）

　　と、脅かされたのでした。

　　確かに、郡山の中心街中町を通った時、黒い装束の男達がビルの前に群がっている

 　　光景を目にしたことがありました。ここが紘龍一家の本部であると、後で知った

　　のですが・・・

 　その社長は話を続け、

　（　私の知っている飲み屋の女将がいるんだけど、彼女は

         口が堅いから付き合っても全く問題ない。夜のお供

　　　として、よかったら紹介してあげますよ。）

　　と。

　　う～～～～ん、よだれが。やば・・・・でも、おいしい話しだす。

　　それで数日後、その飲み屋さんに、連れていかれました。

　（　この人が噂の支店長で、単身赴任で来ているんだわさ。

　　　どう～？付き合ってみない。　）

　（　まあ～～、いい男だこと。ドキドキ、しちゃうわね。　）

　　女将は皇子を値踏みするように見た後、色気たっぷりにそう言ったのだす。

　　う～～～～ん、じゃんねん。全く、皇子のタイプではない。

　　その店を出て、どうだ? と社長が・・

　（　すんません～。わてのタイプではおまへん・・　）

　　と、お答えしました。

　　それからある日、彼の会社に行くと、

　（　俺も歳だから、この会社を誰かに譲って、引退を考えて

　　　いるんだ。悠愛さんは人品骨柄立派で、経営者としても

　　　一流のセンスをもっているから、あんたに後を任しても

　　　いいと、思っているのよ。）

　　未だ、福島支店は再建途上にあり、ましてや鉄鋼加工業という門外漢の職種だけに、

　　即座にお断りしました。

　　なんとその数ケ月後、この会社は倒産し彼は、夜逃げをしたとの話が入りました。

　　要は、計画倒産、取り込み詐欺だったのです。

　　今考えると、女をあてがいがんじがらめにし、自分の会社をつがせて倒産責任を

　　負わせる。そのようなストーリー展開のもとに、私に仕掛けてきたのでした。あの

　　女将が、もし私のタイプの女性であったらどうだったかと、今でも背筋に冷たいものが

　　走ります。

　　私のタイプ、ってか？

      う～～～～～ん、吉瀬美智子かな・・・　

　　たまらん・・・お金も、たまらん！！！

　　おとうさんがた、おいしい話には気をつけましょうね！！

　　特に女性には、ねっ。　イヒッ・・・

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＝＝つづく　＝＝

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