想い出は心の宝石箱に。。。

　＜　​プロジェクト　バッテン​　＞も佳境に入り、毎月本社から私も

  含めて２～３名のメンバーが、フィリピンに出張しました。

​　ある時、同じホテルの予約が取れず、先輩２人は高級ホテル、若造の悠愛は

　安ホテルと分宿。昼間、政府高官との激しいやりとりで、疲労困憊の私達は

　気分転換に、夜マニラの歓楽街へと繰り出したのでした。


　　


　当時、歓楽街は駐留米軍​アメリカ人向けと、日本人ビジネスマン・旅行客向けと

　二分されており、​​後者はマビニストリートにお店が集中していたのです。​​

​　お店の​フィリピーナ​は、誰もが英語を喋れますので、酒を飲みながら

　話に興じダンスを踊ったりして、愉しい時間を過ごしました。酒が飲めない

　悠愛は、どうしていたかって？？？　鋭い質問だニャア～～！！

​　カラマンシージュース（　見かけはすだちのようで、味はレモンのごとく

　ビタミンＣが豊富な、南洋特有の果実汁　）を飲みながら、軽やかなステップで

　バンブーダンスを、踊っていたのでごじゃりまする。

　ハア～～～、ヨイヤサア～～～、ヨイヤサア～～～！！！

　先輩の究極の目的は、皆様のご推察の通り、フィリピーナのお持ち帰り。

　額に汗を浮かべながら、一生懸命くどいています。しかし、彼女にも好みが

　あるようで、なかなか首を縦にふってくれません。

　悠愛の顔をちらちら見ながら、貴方ならいいわ・・私を誘ってと目で訴えて

　いるのだす。しつっこい先輩は諦めもせず、長々と交渉を継続していることから、

​　時計は​１２時​を過ぎてしまいました。
​

​　当時フィリピンは​マルコス大統領​の統治下にあり、1972年以来全土に
​

​​　治安維持の為に、​戒厳令​が布告されており、​夜間外出禁止令​も施行
​​

　されていたのです。

　やっと諦めた先輩を乗せて、会社の車でホテルに戻ったのですが、先輩達の

　宿泊先が当然先で、その後私の安ホテルへと向かいました。

​　すると、背後から＜　プーポ～～、プ～ポー　＞と、​パトカー​が・・

​

　要は、外出禁止令違反として、運転手と共に逮捕されてしまいました。

　警察に連れていかれた悠愛は、

​　（　わいを誰とこころえるか？　ジャポンの公家、鷹司家の落しだね、悠愛

　　　なるぞ。　無礼千万なり～～！！　）

　と、パスポートを見せながら叫んだのですが、なんとそのまま、投獄されて

　しまったのです。


​

　そこには、夜のおねえちゃん達が、わんさかわんさか・・

​　＜　ひゃあ～～、初めからここに来れば、よかったべえ～！！　＞​

　マニラ湾に輝かしい朝陽が、登る頃まで拘留された悠愛は、​やっと解放され

　​パトカー​でそのままマニラ支店に、出社したので​ありました。


　　

　パトカーで出社という事例は、支店内ですぐにその噂が広まり、現地スタッフが

　私の顔を見る度に、クスッと笑うのです。

　なんやねん。先輩のスケベ根性の為に、おいらが逮捕されたのに。

　こんな、理不尽な事はないと、怒り狂ったのでありました。会社の運転手は、

　外出禁止令違反の罰として、一日中草むしりの​​強制労働​を、課せられたとの

　事でした。


 



​　　　　　　　＝＝つづく＝＝　　　　​​

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