白砂青松のブログ

ポーランド大統領が政府専用機の墜落で亡くなり、その国葬が先日執り行われました。最終的にはアイスランドの火山の噴火の影響で派遣そのものが中止となりましたが、今回は江田参議院議長が弔問の政府代表に予定されていました。

この件について、朝日新聞は以下のように報じています。

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ポーランド国葬に江田議長派遣方針…噴火の影響で見送り

2010年4月17日0時37分

　政府は１６日、政府専用機の墜落事故で亡くなったポーランドのカチンスキ大統領の国葬に、江田五月参院議長を代表として送ることを決めた。外国首脳の葬儀には、首相経験者らを送るのが通例だが、「自民党の人に頼むわけにもいかない」（首相周辺）。政権交代の余波に悩んだ末の前例のない人選となった。

　カチンスキ大統領夫妻の国葬は１８日午後（日本時間同日夜）にポーランドで開かれ、オバマ米大統領も出席を表明している。日本も「首相級」（政府高官）を念頭に人選を進めたが、鳩山由紀夫首相、副総理の菅直人財務相ら主要現職大臣は国会出席などで時間をとれず、首相経験者はほとんどが自民党系。そこで「三権の長」である議長に目を転じ、足を痛めている横路孝弘衆院議長でなく、江田氏に白羽の矢を立てた。衆参両院の広報課によると、議長が外国首脳の葬儀に参列した例はないという。

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　参院は１６日夜、政府専用機の墜落事故で亡くなったポーランドのカチンスキ大統領の国葬に参列予定だった江田五月参院議長の訪欧を見送ると発表した。アイスランドの火山活動に伴う火山灰が欧州北部に達して各国の空港が休止状態に陥っており、「渡航が困難になった」としている。

　故カチンスキ大統領夫妻の国葬は１８日午後（日本時間同日夜）にポーランドで開かれ、オバマ米大統領ほか各国の首脳が参列する予定になっていた。
http://www.asahi.com/politics/update/0416/TKY201004160349.html
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前例がないねえ。

確か金大中元大統領の葬儀に派遣されたのは河野衆院議長だったはずですけど。

それとも、現職の元首（級）の葬儀に限定した話だと言うのでしょうか。

そうなると、そもそも元首が在任中に亡くなるという事態が、民主的な政体を持った国では滅多に起こらないので、ほとんどがそういう政体とは言い難い国、言い換えれば日本と政治的な付き合いは薄い国が相手となります。それにいちいち首相経験者を送っていたなんて、そんなことは日本はやっていなかったでしょう。
私が知っている範囲では

フランス／ポンピドー大統領＝田中首相
ソ連／ブレジネフ書記長＝鈴木首相
ソ連／チェルネンコ書記長＝中曽根首相
ヨルダン／フセイン国王＝小渕首相

くらいのものです（確認できませんでしたけど、韓国の朴大統領の葬儀は当時の首相が行っているのではないでしょうか）。

一方、最近の例で首相経験者が元首（級）の葬儀の際の特使とならなかった例としては、

アラブ首長国連邦ザーイド大統領＝川口首相補佐官（外相経験者）
PLO／アラファト議長＝川口首相補佐官（外相経験者）
バーレーン／イーサ首長＝町村政務次官（文相経験者）
クウェート／ジャービル首長＝麻生外務大臣
シリア／アサド大統領＝河野外務大臣

このようにいくらでもあります。

特に小泉内閣が女性の川口補佐官をイスラム圏の、しかも日本の原油の４分の１を供給しているアラブ首長国連邦の大統領の葬儀に送ったのはまさにサプライズ人事です（この時現地の新聞は、同行した日本大使を当時の町村外相と間違えてくれましたけど、おそらくアラブ首長国連邦政府が温情で誤情報を流してくれたんでしょう）。

一方、ポーランドが昭和天皇やほとんど現職と言って良いであろう小渕前首相の葬儀の際に送って来たのは誰でしょう。

昭和天皇：バルチコフスキ国家評議会副議長
小渕前総理：本国からの特使派遣は無し

別に首相経験者とか、それほどの人が来ている訳じゃありません。

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で、ここまでが事実関係ですけど、民主党政権を叩きたくて叩きたくてたまらない人々が、ネット上でこれをネタにまた吹き上がっています。

その典型例がこういう人でしょうね。

http://yomogineko.iza.ne.jp/blog/entry/1552785/
http://yomogineko.iza.ne.jp/blog/entry/1551611/

ま、どこで聞きかじったのか知りませんけど、上記のように元首が在任中に亡くなるという事自体が、普段から付き合いの深いいわゆる「先進国」と呼ばれる国では滅多に起こらない。
よって、実は首相経験者などではない「小者」が、付き合いが薄いと政府が判断した国の元首（級）の葬儀に派遣されている例はいくらでもあった。

そういう事実を自ら調べようともせず、知ったかぶりをしている姿は滑稽を通り越して哀れを誘います。

この人、この手のお間抜けは他にもやっているみたいですね。

以前にここでも触れた、中国の特殊部隊が台湾首脳を拘束したら沖縄の海兵隊ヘリ部隊が突っ込むのだから、沖縄に居なければいけないんだ～、なんてただ一部の日本人が気持ちよくなりたいために作られた仮想戦記を、やっぱり信じ込んで、大立ち回りを演じていたみたいですし。

自分にとって耳当りの良い話を聞くと裏も取らずに信じ込んで民主党叩きに邁進する、ネタは変わってもやることは一緒ってことですね。